不妊治療を受けている患者・家族に対する看護支援ガイドラインの作成とネットワークの構築に関する研究

文献情報

文献番号
199900300A
報告書区分
総括
研究課題名
不妊治療を受けている患者・家族に対する看護支援ガイドラインの作成とネットワークの構築に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
森 明子(聖路加看護大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 子ども家庭総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
看護者が行なう患者支援の強化につなげるために、不妊看護に関するガイドラインを作成すること、および不妊や不妊看護について情報や意見を交換・発信するネットワークを構築し、評価することである。1999年度は、ネットワークの構築に主眼をおく。
研究方法
まず、先行研究およびヒアリングを行ない、看護の現状把握と問題を分析する(1998年度)。ガイドライン作成については、その結果をもとに、ガイドラインを用いる対象を明確化し、同時にガイドライン開発過程の検討を行なう(1999年度)。そして、ガイドライン作成作業を行なう(2000年度)。ネットワーク構築については、同様に分析した問題の解決がはかられるような目的・形態をもったネットワークを明らかにし、立ち上げる(1999年度)。そして、その成果を評価する(2000年度)。
結果と考察
1.ガイドラインの開発:ガイドラインとその開発に関する文献検討を行なった結果、近年はエビデンスに則ったガイドライン開発が活発に行なわれていた。不妊の診断・治療・管理に関するガイドライン開発は、とくに欧州において、その動きがみられた。不妊看護に関しては欧米の専門職集団によるガイドラインやプロトコルが作られていた。また、日米の助産婦の職能および学術団体において、不妊に関するケアを行なう能力を助産婦に必要であることを認めたり、継続教育のプログラムを作成する動きがみられた。エビデンスに則ったガイドライン開発には複数の段階があることがわかり、本年度は、前年度の研究結果をもとに、第1段階である、ガイドラインを用いる対象や範囲を決めるところまで行なった。また、前提ともいえる基本理念の検討を試みた。
2.ネットワークの構築:ネットワーク構築のプロセスは、準備期、形成期、活動期に分けられた。準備期には、前年度の研究結果をもとに、構築するネットワークの目的(ねらい)を明らかにし、聞き取り調査を行なった看護者数名と、不妊看護やネットワーク活動に関心をもつ看護者に発足をもちかけた。つながること(Linking)、問題解決(Problem-solving)、エンパワーメント(Empowerment)、社会へのアピールの4つをこのネットワークの目的(ねらい)とした。形成期には、正式名称を「日本不妊看護ネットワーク;Japan Infertility Nursing Network(J.I.N.N.)」とし、運営方法や活動の方向性、会則等について検討した。当面、会員は看護職と限定することとし、「情報の発信・交換」と「研修会・勉強会の企画・運営」の二つを活動の柱とした。活動期に入ると、ニュースレターの発行、広報活動を行ない、次年度の研修会・勉強会に関する計画を立てた。世話人ミーティングでの情報・意見交換が活発化した。
2000年3月7日現在、会員数は70名となり、北海道から沖縄まで、広く全国に分布していることがわかった。保健所や保健センター、病院、クリニックなど臨床に所属をおく者がもっとも多く、次いで教育職であった。現在、寄せられる不妊の当事者からの相談への対応と、他職種の入会を含め、どのようにネットワークを展開して行くかということが課題となった。当面はニュースレターや研修会、勉強会などを通じ、会員間の交流を深めていくこと、将来は情報発信の手段の1つとしてホームページを開設することなども視座に入れることが検討された。また、ネットワークの評価方略を検討した。その結果、目的の達成度を測ること、および会員にとっての意味を明らかにすること、の主に二つの方法で行なうこととした。
結論
本研究で作成する看護支援ガイドラインの開発方法、基本理念を検討し、これを用いる対象を明確化した。不妊看護のネットワークの目的と構築プロセスを明らかにし、ネットワークの評価方略を検討した。

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研究報告書(紙媒体)

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