乳幼児発育基準値のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
199900287A
報告書区分
総括
研究課題名
乳幼児発育基準値のあり方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 則子(国立公衆衛生院母子保健学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 子ども家庭総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)平成12年(西暦2000年)に行われる厚生省乳幼児身体発育調査並びに発育基準作成が円滑に運ばれるためには準備が必要である。本研究事業により、乳幼児の発育値の意義、発育基準の活用状況、発育値作成上の問題点と改善方法、2000年調査を行うにあたって起こりうる問題点、2000年調査の調査内容や調査票等について議論を行い課題を把握しておく。
2)前回(平成2年)調査結果を元にした発育曲線の平滑化においては、偶然変動が大きく、パーセンタイル曲線の間隔が不揃いになるなどの技術的な問題が多かった。最近新しい平滑化の方法が開発されたため、前年度これを14カ月まで試用したが、今年度においては厚生省の発育調査と同様の年月齢幅において試用し、旧来の年月齢区分別の集計との結果の相違について明らかにする。
3)基本的母子保健事業が市町村に移管されたことにより、健診を委託によって行う市町村が増えたため、集団健診形式を基本とする2000年厚生省乳幼児身体発育調査の円滑な実施が可能であるかについて明らかにする。また、保護者の間で、母子健康手帳の発育基準グラフがどのように活用されているか、どのような基準値の表し方をしたら分かりやすく不安や見落としが少ないか等について検討する。
研究方法
1)2000年の4月には厚生省調査の調査票の検討のための専門委員会が開かれることから、過去に発育調査にかかわった経験者、学識経験者を集めて研究会を開催し数回に渡って意見を求め、平成2年調査の調査票や手引き書を参考に2000年調査におけるそれらのあり方を検討した
2)厚生省調査は集団健診の形を取ることを原則としているが、集団健診を行っていない町村への対応に関して、県の担当等に問い合わせてみた。また、母子健康手帳のグラフの活用状況,パーセンタイルの線のみで表す表し方の受け入れの現状に関して、健診現場の市町村保健婦に意見を聞いた。
3)発育基準作成のための平滑化の方法の検討に関しては、専門家の協力を得てソフトを開発した。昨年度は研究班で収集した出生から14ヵ月までのデータを、平成2年とちょうど例数等が類似した規模に調整した。本年度は一病院のデータを用い、15カ月以降6歳までのデータを調整し、平滑化のシュミレーションを行った。パイロットデータの作成に取り組んだ。
結果と考察
1)2000年の4月には厚生省調査の調査票の検討のための専門委員会が開かれることから、本研究班でも平成2年調査の調査票を参考に検討したところ、胸囲の計測手法は人類学的にいう乳頭位胸囲がよく、説明も明確にするのがよい点、妊娠中の母親の喫煙に関しては、受動喫煙に関しても問題にしたらどうか、その他調査必携の分かりにくい点、調査票の記入しやすさ等について議論された。
2)厚生省調査は集団健診の形を取ることを原則としているが、移譲の際に集団健診を条件にしている自治体が多く、委託状況はおおむね良く把握されておりフィードバックについても配慮されていた。母子健康手帳のグラフの活用状況については、小さく産まれた等、問題背景がある場合に頻用している状況が分かり、それをふまえての提供の仕方に関心が持たれた。10~90パーセンタイルの帯を除き、3及び97パーセンタイルの線のみで表す表し方は、不要な不安を軽減することが分かった。境界線を強調せず増加量も加味した表し方については、分かりにくいという声が大きいことが分かった。さらに、体格の地域差により全国的な発育値では実状に合わない場合もあることから、地域差検討のためのスタディーデザイン検討や調査地区への協力の依頼等を行った。
3)専門家の協力を得てソフトを開発し計測値の平滑化のシュミレーションを行ったところ、間隔が揃った滑らかな曲線が得られたが、生後2~4カ月における特有の成長スパートが少なめに評価される曲線であることが分かった。既存の施設データにより出生児の身長、頭囲、胸囲を解析したところ、1cm単位あるいは5mm単位にまるめた値が多くを占めることが分かったが、評価基準の使用目的の上で問題になるものではないと考えられた。
結論

公開日・更新日

公開日
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更新日
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