盲ろう者に対する障害者施策のあり方に関する研究 (総括研究報告書)

文献情報

文献番号
199900272A
報告書区分
総括
研究課題名
盲ろう者に対する障害者施策のあり方に関する研究 (総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
寺島 彰(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 植村英晴(日本社会事業大学研究所)
  • 福島智(金沢大学教育学部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 障害保健福祉総合研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、今後の盲ろう者施策の充実にむけ、国内外における盲ろう者に対する施策について調査するとともに、当事者の要望調査を踏まえて、今後の盲ろう者施策のありかたについて検討することを目的とする。
研究方法
テーマとして次の5つをとりあげ、併行して調査・研究を実施した。
1.わが国の盲ろう者関係制度
2.わが国の施設サービスの実態
3.わが国の在宅サービスの実態
4.盲ろう者のニーズの実態把握のための「ニーズ調査」を次年度に本格的実施するための予備的調査
5.諸外国の制度の調査
結果と考察
1.わが国の身体障害者関係制度では、盲ろう者は、視覚障害と聴覚障害の重複障害者ととらえられているため、視覚および聴覚障害者向けのサービスの両方を利用することができるが、盲ろう独自のサービスとしては、公的なサービスとして日常生活用具として点字ディスプレイが提供されているもののその数は多くはない。また、民間のサービスとしてはも、全国盲ろう者協会が、盲ろう者通訳・介助者派遣事業および通訳用点字タイプライター「ブリスタ」を貸与している等に限定されていた。
2.わが国の施設サービスの実態について、国内の32施設を対象に電話調査、直接訪問および事例調査による調査を実施した。その結果、盲ろう重複障害者の施設入所においては、コミュニケーションの問題が大きく、訓練・援助等においては、試行錯誤しながら実施しているという状態であることがわかった。
3.わが国の在宅サービスの実態について、実際の生活実態を調査するために重度盲ろう者の自宅を訪問し事例研究を実施した。その結果、重度の盲ろう者が在宅で生活した場合、適切な援助がなければ、生活リズムが保てなくなる可能性もある等の問題点が明らかになった。
4.盲ろう者のニーズの実態把握のための「ニーズ調査」を次年度に本格的実施するための予備的調査を行った。その結果、家族と同居していても、必ずしもコミュニケーションが円滑に行われていない事等「コミュニケーション」、「移動」、「情報入手」に大きなニーズがあること等が明らかになった。
5.諸外国の制度としてアメリカ・ドイツ・フランス・イギリス・スウェーデンの盲ろうサービスの先進5か国における盲ろう者のための制度について調査した。その結果、各国とも盲ろう施策について中心的な役割を果たしている組織があり、非常に広範囲なサービスを提供していること、また、各国間の連絡も緊密で、世界盲ろう者連盟を組織し、盲ろうの定義などの統一をはかっていること、しかし、詳細にみれば、各国とも歴史性、独自性のあるサービスを提供していることが明らかになった。
今後は、今年度の研究成果を用いて、盲ろう者施策について当事者および関係者の実態および要望について規模を大きくして本調査を実施する必要がある。また、他の主要先進国についても追加して各国の制度を調査する必要があると考える。
結論
本研究は、3年計画により、盲ろう者に対する障害者施策のあり方を研究するものである。本年度は、第1年目として、盲ろう者施策について1.わが国の盲ろう者関係制度、2.わが国の施設サービスの実態、3.わが国の在宅サービスの実態、4.盲ろう者の「ニーズ調査」の予備的調査、5.諸外国の制度の調査により、国内外の現状把握を行った。

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