社会保障制度の中における心身障害者扶養保険制度のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
199900263A
報告書区分
総括
研究課題名
社会保障制度の中における心身障害者扶養保険制度のあり方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
府川 哲夫(国立社会保障・人口問題研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 戸田五七朗(株式会社第一勧銀情報システム)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 障害保健福祉総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成11(1999)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、心身障害者扶養保険制度の将来予測システムを構築するとともに、現行制度に基づく扶養保険制度の将来予測を行い、財政を健全に維持するための具体的な方策を検討することを目的とする。
研究方法
前年度の研究成果を引き継ぎ、将来予測システムの詳細設計を行い、システムを完成させた。さらに、一定の前提をおいて現行制度に基づく扶養保険制度の将来予測を行うとともに、今後の課題について考察をすすめた。
結果と考察
(1)完成した将来予測システムにより、現行制度に基づく扶養保険制度の将来予測を行った。運用利回り4.5%のシミュレーションの結果、保険収支は健全に維持されることがわかったが、一方、年金収支については、将来の収支が赤字になることがわかった。(2)一定のシナリオを想定して年金資産の期待収益率の予測を行った。現在のポートフォリオの期待収益率は4.4%と予測され、ポートフォリオについて改善が必要であることがわかった。(3)資産の効率運用という面から運用基本方針の策定が必要である。また、現在信託8社に限定されている運用受託機関の体制について再検討が必要である。(4)当面の運用環境からみて予定利率4.5%を確保するのは困難である。予定利率の再検討が必要である。ただし、保険料の引上げについては、既加入者への影響あるいは新規募集への影響が懸念されるので、慎重な配慮が必要である。(5)公費負担は保険・年金均等に投入されているが、保険については収支が健全に維持される一方、年金については将来の収支が赤字となり、公費負担投入の効果にアンバランスがみられる。(6)障害者の多様なニーズに対応するため、障害基礎年金の水準とのバランスを考慮しつつ、任意加入の口数の増加も検討すべきである。(7)現在法案が提出されている確定拠出年金との関連については、扶養保険制度の加入者が確定拠出年金に加入する場合と、扶養保険制度に確定拠出年金を設ける場合の2つの側面から検討が望まれる。
結論
(1)年金財政の健全化に向けて早急に検討が必要である。(2)運用基本方針の策定が必要である。(3)予定利率について再検討が必要である。ただし、保険料の引上げについては既加入者への慎重な配慮が必要である。(4)公費負担の配分方法の見直しも視野に入れるべきである。(5)任意加入の口数の増加も検討すべきである。(6)確定拠出年金については、当面加入者に対し十分な情報提供を行っていくことが必要である。

公開日・更新日

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更新日
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