文献情報
文献番号
199900252A
報告書区分
総括
研究課題名
介助犬の基礎的調査研究 -介助犬の実態と身体障害者への応用に関する研究-
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
高柳 哲也(あいち健康の森・健康科学総合センター健康科学館)
研究分担者(所属機関)
- 真野行生(北海道大学大学院医学研究科リハビリテーション医学分野)
- 藤田紘一郎(東京医科歯科大学医動物学教室)
- 長谷川篤彦(日本大学生物資源科学部獣医学科獣医臨床病理学教室)
- 宮尾 克(名古屋大学大学院多元数理科学研究科)
- 高柳泰世(愛知視覚障害者援護促進協議会)
- 鷲巣月美(日本獣医畜産大学獣医学部臨床病理学教室)
- 高柳友子(東京医科歯科大学医学部医動物学教室)
- 原 和子(名古屋大学医学部保健学科作業療法学教室)
- 植村 興(大阪府立大学農学部獣医公衆衛生学教室)
- 太田光明(麻布大学獣医学部応用動物科学科動物人間関係学教室)
- 藤原佳典(東京都立大学都市研究所)
- 大林博美(愛知新城大谷大学介護福祉専攻)
- 青木人志(一橋大学法学部助教授)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 障害保健福祉総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
介助犬の有効性に関する調査によりわが国における福祉政策としての介助犬の将来性を検討し、効率的育成及び社会整備における課題を明らかにし、その確立を目指す。
研究方法
研究を障害、社会、犬の3分科会に分けて各分科会の構成員の調査結果から分科会のまとめをした。海外の介助犬使用者へのアンケート調査により使用者の障害種や介助犬の介助項目等について調査を行うと共に国内の自立障害者における介助犬の需要を調査した。介助犬使用者の社会参加において企業及び住民がどのような意識を持っているか調査すると共に盲導犬使用者の社会参加状況等に関する実態調査を行った。諸外国の介助犬関連法及び介助犬の導入及び基準に関する実態を調査し、また、委託機関で介助犬の育成を行いながら、介助犬希望障害者に対するリハ評価を訪問調査により行った。介助犬に用いられる犬種の導入時の獣医学的適性評価方法について文献的検討を行った。
結果と考察
介助犬使用者実態調査及び介助犬希望者訪問調査より介助犬が個人ケア、移動、身体配置及び運動、器用さ等の能力低下の代償的手段となることが明らかとなった。適応は主に肢体不自由障害で脊髄損傷や神経・筋疾患、脳性麻痺等が代表的疾患であった。介助犬希望者は頚髄損傷者が3名で、現在1名が合同訓練中である。障害者によっては介助犬の動作に伴う自助具の処方が必要であり、介助犬処方にはリハ医学的評価及び処方が必要であると考えられた。自立障害者の生活において緊急時連絡手段の確保、転倒時への対処、外出時の不安等に関して介助犬の需要があったが、育成や犬の飼育及び獣医医療等に関する不安が挙げられた。企業や市民への介助犬の認知度は高かったが、社会で受け入れる上では衛生面・行動面における不安が挙げられた。また、市民権を得ているといわれる盲導犬においても使用者は社会参加に支障を来している実態が明らかとなり、通達のみでは社会整備として不十分と考えられた。犬の適性評価には獣医学的・行動学的適性評価が必要であり、公衆衛生上安全で、かつ質の高い介助犬を育成するための基準設置が必要であると考えられた。候補犬導入、育成及び訓練場所の確保が困難であることから過剰な交通費等がかかり、効率的導入・育成体制を確立することで育成費用は削減できると考えられた。各分科会の報告により、1)介助犬の適応障害及び効果と介助内容、2)公衆衛生学的基準と社会啓発における課題、3)候補犬導入法と適性評価及び育成における課題をまとめた。
結論
介助犬はリハビリテーション医学的に能力低下の代償手段として有効性があり、肢体不自由障害者の自立や社会参加推進、生活の質の向上に寄与する方法であり、リハ医療情報にもとづいた処方がなされることが好ましい。介助犬希望障害者が介助犬と共に自立を果たすためには育成及び社会での受け入れ体制整備、介助犬使用に伴う経済的・肉体的負担の軽減が
整備される必要があり、諸外国の法律のように障害者の社会参加としての使用者の権利が保障される法整備及び啓発が必要と考えられた。さらに、社会での受け入れを促進するためには早急に介助犬の基準設置が必要である。経済的かつ質の高い介助犬が育成されるためには、獣医学的・行動学的適性評価方法の確立及び、効率的候補犬導入法、育成者及び育成機関の養成が急務であると考えられる。
介助犬の定義としては、「肢体不自由者の日常生活介助をするよう、然るべき訓練者によって訓練された犬が、訓練を共に終了した使用者が使用する際に介助犬といい」、基準としては、公衆衛生基準としての獣医学的及び行動管理基準、使用者適性基準、介助訓練基準を満たすことが必要である。
整備される必要があり、諸外国の法律のように障害者の社会参加としての使用者の権利が保障される法整備及び啓発が必要と考えられた。さらに、社会での受け入れを促進するためには早急に介助犬の基準設置が必要である。経済的かつ質の高い介助犬が育成されるためには、獣医学的・行動学的適性評価方法の確立及び、効率的候補犬導入法、育成者及び育成機関の養成が急務であると考えられる。
介助犬の定義としては、「肢体不自由者の日常生活介助をするよう、然るべき訓練者によって訓練された犬が、訓練を共に終了した使用者が使用する際に介助犬といい」、基準としては、公衆衛生基準としての獣医学的及び行動管理基準、使用者適性基準、介助訓練基準を満たすことが必要である。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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