高齢者糖尿病の漢方薬による合併症予防の研究(総合研究報告書)

文献情報

文献番号
199900185A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者糖尿病の漢方薬による合併症予防の研究(総合研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
武井 泉(慶應義塾大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 大前和幸(慶應義塾大学医学部)
  • 島田朗(慶應義塾大学医学部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢者糖尿病に対して漢方薬(牛車腎気丸)を投与することにより糖尿病合併症の進展防止もしくは予防が可能かどうかを検討する。
研究方法
慶應義塾大学病院内科および関連病院通院中の糖尿病患者のうち、50-70歳の2型糖尿病患者でHbA1c 8.0%以上の患者を対象とする。対象人数は300人とし、牛車腎気丸服用群150名、非服用群150名とする。研究はコホート研究によるオープンコントロールスタディとする。観察項目は、代謝指標(血糖、HbA1c、血清脂質)、合併症に関する評価項目(眼底検査、尿中微量アルブミン、アキレス腱反射等)を、6-12ヶ月毎に行い、追跡調査を行うものとする。
結果と考察
本年度は3年計画の1年目に当たり、研究の開始に先立ち、研究計画および研究協力体制を固めることに主眼を置き、研究を進めてきた。現在までにまず、慶應義塾大学病院内科通院患者において予備研究を開始した。その結果をふまえて、多施設での研究のプロトコール試案を作成した。本研究は多施設による共同研究であり、関連施設に参加協力を要請したところ、30施設、40人の医師が参加することが決定した。その中で代表医師12人から構成される世話人会を発足させ、具体的なプロトコールや研究計画について詳細な検討を行なった。本研究においては、漢方薬投与群と非投与群で同等の血糖コントロールがなされることが重要と考えられるが、前述のごとく、本研究は多施設による研究であり、各関連施設の研究担当医師の理解、協力に加えて、一定の基準で糖尿病患者が管理されることが必要である。そこで、現在までに、慶應義塾大学病院ならびに関連施設の参加医師の間で、血糖コントロールのためのコンセンサスを統一するため、勉強会を2回開催し、患者管理ならびに治療方針につき確認した。現在各施設における治験委員会等への申請を行っている段階である。さらに、倫理的に患者に研究の主旨を十分説明した上で同意を取得する必要があり、各施設の倫理委員会の承認を得ることも不可欠と考えられた。慶応義塾大学医学部での倫理委員会の承認は得られており、現在他の施設でも倫理委員会等に申請を行っている状況である。現在これらの作業が一段落し、承認確認後にエントリー開始予定である。
結論
漢方薬は臨床的には7割以上の医師に使用経験があり、その効果は多くの医師に認められているが、経験に基づくものが多く、きちんとしたevidence based medicineで示された例はほとんどない。本研究は漢方薬の効果として期待されている糖尿病合併症予防に関して、その有用性を検討する研究であり、特にしっかりした研究計画により進行させるべきと考え、準備段階に時間を割いた。

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