新型H5インフルエンザワクチンの第1相臨床試験と管理に関する研究

文献情報

文献番号
199900078A
報告書区分
総括
研究課題名
新型H5インフルエンザワクチンの第1相臨床試験と管理に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
田代 眞人(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 神谷斉(国立療養所三重病院)
  • 板村繁之(国立感染症研究所)
  • 西藤岳彦(国立感染症研究所)
  • 堀内清(細菌製剤協会)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
-
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
A型インフルエンザは数10年周期で新型ウイルスが出現して大流行を起こし、大きな健康被害と社会的損失をもたらす。1997年に香港でトリ強毒型のH5インフルエンザウイルスがヒトに感染し、18名の患者中6名が死亡するという事態が発生して汎流行への進展が危惧された。そこで、WHOに協力してワクチンの開発が進められ、国立感染研においてウイルスの弱毒化に成公した。このワクチン候補株を用いて試験ワクチンを製造し、昨年度は動物を用いた前臨床試験において安全性が確認された。そこで、ヒトにおける安全性と免疫原性を確かめるために、第1相臨床試験のデザインを検討し実施した。また、トリ由来のワクチン製造株の開発方法および免疫原性の評価方法を検討した。
研究方法
遺伝子操作技術により弱毒化したH5N1型インフルエンザウイルス株から、現行の製造方法に準じてGMP基準ならびに生物学的製剤基準を満たす試験ワクチンを製造して用いた。GCP基準に準じて、健康成人男子の被験者10名、対照者5名に対して、試験ワクチンまたは対照薬(生理食塩水)0.5mlを3週間間隔で2回皮下接種し、経時的に臨床上への影響、臨床検査所見および血清抗体価を測定し、安全性および有効性を検討した。
結果と考察
試験ワクチン接種者および対照薬接種者のいずれにおいても、異常反応、異常臨床所見、異常臨床検査所見は認められなかった。このことから、第1相臨床試験においては、安全性上問題は無いものと判断された。また、血清抗体価の推移については近く結果が出る予定である。
結論
1997年にホンコンで流行したトリ強毒株から、遺伝子操作技術により弱毒化したH5N1型インフルエンザウイルス株を用いて現行ワクチンに準じて作製した試験ワクチンは、生物学的製剤基準を満たしており、更に動物を用いた前臨床試験において安全性が確認された。今回の第1相臨床試験の結果、ヒトにおける安全性も問題がないことが示唆された。このことにより、今後新型インフルエンザが出現した場合にトリインフルエンザウイルスを用いた緊急ワクチン開発が現実的となり、新型インフルエンザ危機管理体制の構築に大きく寄与したものと評価できる。

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研究報告書(紙媒体)

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