臓器移植に係るコーディネーションの質の向上に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
199900069A
報告書区分
総括
研究課題名
臓器移植に係るコーディネーションの質の向上に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
篠崎 尚史(東京歯科大学角膜センター)
研究分担者(所属機関)
  • 小中節子(社団法人日本臓器移植ネットワーク)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臓器移植法の施行後、4例の脳死下での臓器提供が行われたが、医療現場等において、家族・遺族への対応、マスコミへの対応等、様々な混乱がみられた。このため、移植医療を円滑に進めるため、心停止下の臓器提供の標準的なマニュアルを作成する。また、臓器移植を成功させる上で、移植側と摘出側の橋渡し役となるコーディネーターの役割は大きく、医学等の専門性とともに、職業倫理、迅速な対応などが求められる。コーディネーターの研修は極めて重要な課題となっており、公衆衛生審議会臓器移植専門委員会においても教育、育成の必要性が指摘されている。このため、コーディネーターの資質向上について検討する。
研究方法
既存の各地域で用いられている臓器提供マニュアルを参考として、十分な経験を積んだ移植コーディネーター、臓器提供施設の医師を含むメンバーより脳死下での臓器提供が円滑に行なえる方法を検討しマニュアル化する。また、移植コーディネーターの資質向上のために具体的な研修内容を検討、実施してその効果を評価する。
結果と考察
心停止下の臓器提供についての必要事項をリストアップして、標準的提供マニュアルを作成した。また、移植コーディネーターに必要とされる資質を実際の研修会、実習を開催して評価した。
心停止下の特に腎臓の提供に関する誤解は医療現場でも多く、そのために提供者数も減少している。臓器提供は国民の権利であり、その意思を活かすためには本研究で作成されたマニュアルをどう普及させるか検討を要する。
また、移植コーディネーターには苛酷な状況での仕事を長期間に渡り実施するため、燃え尽き症候群(バーンアウト)による離職者が後を断たない。今後さらに資質や職場環境についても検討しなければならない。
結論
臓器移植法の施行により、脳死下と心停止下の臓器提供が平行して実施されるようになった。しかし、医療現場ではかえって混乱を招きその結果提供者数が減少している。臓器移植による恩恵は公衆衛生上非常に大きく、本医療の一層の発展が望まれる。社会的基盤の薄い分野であり、社会的助成も十分でないために専門性の高い医療としての質の向上と共に、国民に文化として移植医療が定着するための効果的な普及・啓発が検討されなければならない。

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研究報告書(紙媒体)

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