脳死判定手順に関する研究

文献情報

文献番号
199900055A
報告書区分
総括
研究課題名
脳死判定手順に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
貫井 英明(山梨医科大学脳神経外科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臓器の移植に関する法律の施行後に行われた4例の臓器提供事例について公衆衛生審議会疾病対策部会臓器移植専門委員会において医学的な検証作業が行われた結果、脳死判定上の様々な混乱が明らかとなった。こうした混乱を解消するために、法律施行規則、ガイドライン、及び関連文献等の知見を集約し、法的脳死判定に係る必要最小限の判定手順マニュアルを作成することを目的とする。
研究方法
国内の有識者による検討会を数度重ね、「脳死の判定指針及び判定基準(厚生省厚生科学研究費特別研究事業“脳死に関する研究班"昭和60年度研究報告書)」、「脳死判定基準の補遺(厚生省“脳死に関する研究班"による脳死判定基準の補遺)等の国内文献をもとに外国の文献等も参考にしながら、法的脳死判定の手順を簡便にまとめる。
結果と考察
本研究班よりとりまとめた法的脳死判定の手順を以下のとおりである。
1.前提条件として、1)器質的脳障害により深昏睡及び無呼吸を来していること、2) 原疾患が確実に診断されていること、3)現在行いうる全ての適切な治療をもってし ても回復の可能性が全くないと判断されることを確認する。
2.除外例として、1)脳死と類似した状態になりうる症例、2)15才未満の小児及び 3)知的障害者等意思表示が有効でないと思われる症例を除外する。
3.生命徴候の確認として、1)体温(直腸温、食道温等の深部体温が32℃以下でな いこと)、2) 血圧(収縮期血圧が90㎜Hg以上であること)、3)心拍,心電図(重 篤な不整脈がないこと)等の確認を行う。
4.脳死判定として、1) 深昏睡、2) 両側瞳孔径4mm以上、瞳孔固定、3) 脳幹反射消 失の確認、4) 平坦脳波の確認、5)自発呼吸の消失を確認する。なお、2)、3)、4) の相互の順序は問わないが、5)は必ず1)~4)の確認の後に実施する。1回目の脳 死判定終了後、少なくとも6時間を経過した後に2回目の脳死判定を行う。
結論
本研究班では上記のように脳死判定の手順をまとめた。これらの脳死判定の手順は、あくまでも現時点において適正に脳死判定を行うための標準的な手順をとりまとめたものであり、臓器移植法あるいは関連政省令の改正、新しい医学的知見の普及等に併せて、適宜その内容が更新されるべきであろう。

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