コンピューター2000年問題における災害時医療危機管理計画の作成に関する研究

文献情報

文献番号
199900051A
報告書区分
総括
研究課題名
コンピューター2000年問題における災害時医療危機管理計画の作成に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
山本 保博(日本医科大学付属病院高度救命救急センター)
研究分担者(所属機関)
  • 熊本一朗(鹿児島大学医療情報管理学教室)
  • 辺見弘(国立病院東京災害医療センター)
  • 浅井康文(札幌医科大学救急集中治療部)
  • 石原哲(白鬚橋病院)
  • 甲斐達朗(千里救命救急センター)
  • 杉本勝彦(昭和大学医学部救急部)
  • 川井真(日本医科大学医学部救急医学)
  • 二宮宣文(日本医科大学医学部救急医学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
-
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
コンピューター西暦2000年(以下Y2K)問題は、欧米ではすでに5、6年前から問題視されてきていたが、わが国では、2年ほど前から、行政やマスコミが取り上げ始めてきた。特に、我が国の医療分野においては、欧米製品が多く、製造会社の特定もできないマイクロチップも多数存在することが判明し、1999年1月ごろからにわかに騒がれだした。
Y2K医療問題は、医療機器・病院設備機能などの問題で発生する院内災害と、ライフラインや交通機関の障害により災害が発展する院外災害に分けられる。わが国において、これらの問題がもし発生したときの危機管理計画をシステム化しておかなければ多くの貴重な生命を失うことにもなりかねない。
この班研究の目的は、Y2K問題発生時における医療機関において、個々の処理能力を超えたとき、外部からの応援体制や患者の他病院への搬送のためのネットワークを構築する。さらに院外における災害に対する医療対応のシステム化、緊急医療チームの編成待機出動などを研究しシステム化を図ることである。
特に医療分野におけるY2K問題は、一般災害とは異なり日時は確定されるが、災害は広範囲にわたる可能性がある。このため、各医療圏での救命救急センターや災害拠点病院などによるネットワーク構築と病院外における災害への対応を行うと共に、全国レベルにおける救急医療の危機管理計画を作成することにより有機的に対処できるようにすることである。具体的にはこれらの活動計画に当たってのガイドラインを示し、これにより災害時でも平時と同等の医療が供給できるように、組織化が可能となる。
研究方法
本研究は、平成11年9月までに成果を出し、Y2Kにおける災害危機管理計画報告を提出しなければならない。また、6月末には中間報告を公表する。
計画と方法については、1)災害時における、救命救急センター・災害拠点病院・保健所を中心とした地域医療を配慮した病院間のネットワーク。2)広域災害における、近隣の救命救急センター・災害拠点病院を中心とした連携およびその対応。3)全国レベルにおける緊急医療チームのよる医師の派遣および危機管理。4)全国の医療機関における通信システムの保全方法 の4項目を掲げた。
結果と考察
コンピューター西暦2000年問題(以下Y2K)は、医療分野も重点課題の一つであったため、厚生省指導のもと、1999年6月および9月の準備完了を目標に努力してきた。様様な分野の検討を踏まえ、9月に「医療分野におけるコンピューター西暦2000年問題 地域における危機管理計画策定の手引き」を作成し、これを中間報告として発表し、各都道府県衛生局をはじめ、各医療機関へ配布を行なった。また、1999年9月8日~9日にかけては,9月9日問題を対応すると共に、模擬訓練を行ない、院内災害に対して対応および検討を行なった。Y2K医療問題は、医療機器・病院設備機能などの問題で発生する院内災害と、ライフラインや交通機関の障害により災害が発展する院外災害とが考えられるが、本研究にて、我が国においてこれらの問題が発生した時の危機管理計画のシステム化を目指し、救命救急センター・災害拠点病院・保健所等、2次医療圏を中心としたんネットワークの構築をマニュアル化し、Y2K医療問題におけるクライシスマネージメントを有機的に行なえるよう各方面への提言を行なったといえる。
また、「医療分野におけるコンピューター西暦2000年問題を想定した訓練マニュアル策定の手引き」を報告し、災害発生時の対応に対する訓練の必要性、広域災害発生時の各分野との協力体制・報告体制・トリアージ訓練等の重要性を唱えた。また、これらを元に、各重点医療機関および、行政との協力により、訓練を行ない、完全には予防できないであろうこの問題に対し、万全の体制を整えることができ、病院内・外における災害に対する医療対応のシステム化を図ることができた。
結論
今回の研究にて、医療分野におけるY2K問題の地域における危機管理計画の策定の手引きを検討し、中間報告の形で平成11年8月末日までに作成し、9月には各都道府県衛生部に配布し活用していただくこととした。次に、医療分野におけるY2K問題を想定した訓練マニュアル策定の手引きを作成し、各都道府県および各重点医療機関に配布した。これに基づき、11月には各分担研究者の病院でもシュミレーション訓練を行なった。今後は、Y2K問題を広く災害時における危機管理計画の策定について応用していくものと考えている。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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