心肺蘇生法の国際規格作りと研修プログラムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
199900050A
報告書区分
総括
研究課題名
心肺蘇生法の国際規格作りと研修プログラムの開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
小濱 啓次(川崎医科大学救急医学)
研究分担者(所属機関)
  • 新井達潤(愛媛大学麻酔救急医学)
  • 小川雄之亮(埼玉医科大学総合医療センター小児科)
  • 田中経一(福岡大学救命救急医学)
  • 田中茂夫(日本医科大学第二外科)
  • 野口宏(愛知医科大学救命救急センター)
  • 平盛勝彦(岩手医科大学第二外科)
  • 丸川征四郎(兵庫医科大学救急・災害医学)
  • 宮坂雄平(日本医師会救急担当)
  • 山本保博(日本医科大学救急医学)
  • 神波豊(日本赤十字社救護・福祉部健康安全課)
  • 白谷裕二(全国消防長会救急委員会)
  • 美濃部嶢(日本救急医療財団)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
心肺蘇生法(CPR)は心臓や肺臓がその機能を停止もしくは停止に近い状態になったときに、その機能を回復させるための方法である。すなわち、CPRは人命救助を行ううえで欠かすことのできない知識であり技術である。このことから、関連学会や団体、また関係省庁はCPRを一般市民に普及すべく努力している。しかし、その方法や用語に関しては、それぞれの学会や団体で一部異なっており、全国的に統一されていない。欧米諸国においては、American Heart Association(AHA)やInternational Liaison Committee on Resuscitation(ILCOR)等が中心となって、国際的に統一されたCPRを実施しようと努力している。このことから、わが国においても早急これらの組織に加わり、世界の一員としての責任を果たすとともに、わが国のCPRの統一を図る必要がある。これを踏まえ、この研究においては、CPRに関係する学会、団体、省庁等の参加と協力を得て、国際的なCPRに関する組織に参加するとともに、国際的に通用するわが国として統一されたCPRの規格作りと研修プログラムを開発することを目的とする。
研究方法
まずCPRに関係する学会、団体、省庁等の代表に参集してもらい、各々の領域における問題点をリストアップし、これらについて討議する。その後、CPRに関して国際的に認められているAHAおよびILCORの会に参加し、ここでの議論、規格、研修プログラム等をもとに、わが国のCPRに関する国際規格の作成や研修プログラムの開発についての討議を行う。
結果と考察
CPRに関する知識や技術は、1950年代後半から1960年代前半にかけて、CPRを手と口とで行っても十分な効果が得られると理解されて以来、世界的に急速に広まっていった。そして、わが国に現在のCPRが最初に具体的に導入されたのは1968年にPeter Safarらによって書かれたCardio-pulmonary Resuscitation、World Federation of Societies of Anesthesiologistsが出てからである。その後、1974年にJournal of American Medical Association(JAMA)に、AHAおよびNational Academy of Sciences-National Researchi Councilによって、Standards for Cardiopulmonary Resuscitation(CPR) and Emergency Cardiac Care(ECC) が発表されたが、わが国でも、これをもとに多くのCPRに関する講義や実習、書物が出版されるようになった。しかし各々の学会や団体がそれぞれの解釈を加えてCPRを広げていったために、わが国でのCPRの知識の解釈、手順に一部違いを生じてきた。CPRは人命を救助するためのものであり、各々の学会や団体によって違いがあっては、全国的にCPRを広げるのに支障を生じる。このことから、今回の研究を行おうとしたのであるが、関連学会や団体からの意見や報告をみると、それぞれに主張があり、これを国内だけの調整をするのは困難と判断された。AHAやILCORでのCPRに関する議論は、世界各国からCPRに関するEvidenced Based Medicine(EBM)を集め、これをまとめてGuidelines(指針)にしようとするものであり、世界的にも権威がある。このことから、わが国においても、AHAが今年作成するGuidelines 2000のconferenceに参加し、その内容を検討したのであるが、十分わが国にも導入すべきGuidelinesと判断さ
れた。そして今後決定されるCPRに関するGuidelines 2000をもって、わが国のCPRに関する規格、研修プログラムを作成することとした。
結論
わが国のCPRに関係する学会、団体、省庁、その他の学識経験者等の代表によるCPRに関する問題の調査・検討・研究、またAHAやILCORが行ったInternational Guidelines 2000 Conferenceの結果から、以下の結論を得た。(1)わが国のCPRに関する統一された規格と研修プログラムの開発は、AHAのGuidelines 2000をもとに作成する。(2)関連学会、団体、省庁等は、この統一された規格、研修プログラムをもとに、わが国のCPRの教育、啓蒙、普及を行う。

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研究報告書(紙媒体)

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