社会福祉事業の経営指標作成に関する研究

文献情報

• 文献番号: 199900023A
• 報告書区分: 総括
• 研究課題名: 社会福祉事業の経営指標作成に関する研究
• 課題番号: -
• 研究年度: 平成11(1999)年度
• 研究代表者(所属機関): 矢野 聡(国際医療福祉総合研究所)

研究分担者(所属機関)

• 立岡　浩(広島国際大学)
• 砂原和仁(東京海上ベターライフサービス)
• 小山　剛(長岡高齢者総合ケアセンター)

• 研究区分: 厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究事業
• 研究開始年度: 平成11(1999)年度
• 研究終了予定年度: 平成12(2000)年度
• 研究費: 8,100,000円
• 研究者交替、所属機関変更: -

研究報告書（概要版）

研究目的

我が国社会福祉事業の施設経営は、実務上では措置費という補助金システムの下で行われていた。最近の医療福祉改革において、契約システムへ転換し競争が進展しつつある。こうした競争が今まで存在しなかったことから、社会福祉事業の組織はマネジメント技術・経験の不足が著しく、戦略構築能力・組織能力の引き上げが課題となっている。
しかし、社会福祉事業の施設経営論は、我が国だけでなく、欧米諸国等でさえ、ほとんど体系化されていない。このため本研究では、欧米諸外国の実態を踏まえながら、わが国に特有な社会福祉事業の経営指標を作成するものである。

研究方法

本研究は社会福祉事業の経営指標作成に関して、4つの作業を同時並行的に行っている。すなわち、①欧米先進諸国における医療福祉事業に関する非営利組織論、経営評価論のレビューを出発とし、経営に関する基本的な指標についての取り出しと我が国における応用につき、考察した。②同時にヨーロッパやアメリカで実際の複合型医療福祉施設のヒヤリングを行い、それぞれに特有な施設経営実態を抽出する作業を行った。③また、日本においても社会福祉施設および法人の全国的な実態調査を行い、我が国の実態について分析している。④日本の代表的な複合型福祉法人に対するヒヤリング調査を行い、我が国に特有な経営特性について考察している。

結果と考察

本研究は、はじめに世界各国の先行研究の分析を通して、NPOの経営分析体系、非営利医療・福祉組織の独自経営指標、非営利・営利の医療・福祉組織の共通経営指標を、倒産・業績悪化予測、戦略経営、監査の3つの視点から導出した。その際、当該指標には、産業特性・国別特性が大きく影響することも明らかになった。さらに、当該指標には、我が国独特の付加価値生産性指標を組み込んだ指標も提示した。
なお、わが国とヨーロッパ諸国の社会福祉(法人)施設経営の実態を調査分析する限りでは、両者とも明解な経営基準を有している形跡は伺えなかった。

結論

一連の分析から、7種類・11特性・11指標の非営利福祉組織の独自経営指標、5種類・12特性・12指標の非営利・営利福祉組織の共通経営指標の試案を提示した。
なお、介護保険導入とともに、わが国の施設経営環境が大幅に変動する可能性があり、引き続き詳細な調査が必要とされる。

公開日・更新日

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