保険者機能に関する研究プロジェクト

文献情報

文献番号
199900021A
報告書区分
総括
研究課題名
保険者機能に関する研究プロジェクト
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 泰彦(上智大学文学部教授)
研究分担者(所属機関)
  • 尾形裕也(国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部長)
  • 府川哲夫(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部長)
  • 西田在賢(川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科教授)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
10,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、医療保険制度の要の存在である医療保険者の役割を検討することにより、医療制度改革に対して一定の政策提言を行うことを目的とするものである。
医療保険制度は現在制度疲労ともいえる状況におかれている。この状況を改善するための方法のひとつとして保険者機能の強化が考えられる。保険者は医療とそれにかかわる問題の鍵となる情報の収集が患者や医療機関よりも容易に行える立場にある。それゆえ、保険者の機能を適切に設定することにより現在議論されている医療に関連する問題に対する解答が得られる可能性がある。
研究方法
平成11年度は保険者機能論の先行研究の整理、国内外の保険者の実態を把握することを研究班の中心的な課題とした。この課題を達成するために1)保険者機能論文献調査、2)保険者機能関連法制度調査、3)国内保険者ヒアリング、4)海外医療保険者調査、を行った。1)保険者機能論文献調査については社会保障関係学術雑誌、新聞記事、各種団体の政策提言について保険者機能に関連する文献を収集し、データベース化した。またこれを研究班の委員に回覧し、研究の基礎的知識の共有化を図った。2) 保険者機能関連法制度調査については国民健康保険法、健康保険法及び関連法案について、制定当初からの条文の改正経過を逐次追うことにより、保険者の権限が如何に変遷してきたかを把握することとした。3)国内保険者ヒアリングは市町村国保・健康保険組合からそれぞれ2保険者を選定し、調査対象となった保険者が保険者としてどのような活動を行っているかについて実態をヒアリングした。4)海外保険者調査は今年度は米国を対象とし、HCFA及び公的医療保険に関連する保険者に事前に調査項目に関する質問票を送付した後に訪問調査を行った。
結果と考察
保険者機能関連文献データベースを作成した。また、保険者機能関連法制度調査結果についても結果表を国民健康保険法及び健康保険法について作成した。保険者機能関連法制度調査結果表は条文ごとに改正経緯が追跡できるものである。
国内保険者ヒアリングについてはヒアリングを行った保険者の数が少数であることもあり、一般化される結論は得られていない。しかしながら、国内の医療保険者の抱える実状の一端が把握された。
米国における公的医療保険者調査については報告書中に概要報告が掲載されている。本研究班の研究結果については、初年度ということと、テーマが壮大であるということもあり、急ぎ結論を出すべきではない。しかしながら、保険者機能関連文献データベース及び法制度調査結果表は行政上の利用にも耐えられる有益な情報源であると考えられる。
米国公的医療保険者調査結果は次年度行われる予定のヨーロッパ保険者調査の結果と比較して分析が行われるべきものである。しかしながら、米国の医療制度における情報管理方法等について新たな知見を得るなど、単独で一定の成果が得られた。
結論
本研究班の今年度の研究成果は保険者機能論文献調査データベースの作成、保険者機能関連法制度調査結果表など行政的な利用も可能な充実した成果をあげた。今年度の研究成果と、次年度に予定されている研究課題に関する研究成果とあわせれば、更に高い水準の研究成果が得られ、行政的にも有益な情報が生産されるものと考えている。

公開日・更新日

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