活力ある豊かな高齢社会実現のための方策に関する研究

文献情報

文献番号
199900019A
報告書区分
総括
研究課題名
活力ある豊かな高齢社会実現のための方策に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
増田 雅暢
研究分担者(所属機関)
  • 白石真澄
  • 野口正人
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
-
研究費
11,903,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、ともするとネガティブに、また固定的に捉えられがちであった高齢者と高齢社会のイメージを見直し、高齢者の自立を促進し、高齢者に対するサービスの充実等を図ることで、豊かな高齢化が実現できること示すことを目的とした。
研究方法
現在そして将来の高齢者像を捉えるため、(1)高齢者の経済状態及びそれに果たす社会保障の機能と(2)元気で活動的な高齢者の姿の大きく分けて2点について分析を行った。
(1)については、厚生省の「国民生活基礎調査」、「老齢年金受給者実態調査」また総務庁の「家計調査」、「全国消費実態調査」など政府の各種統計資料を用いて、高齢者の所得(貯蓄及び住宅)、消費に関する分析を行った。
(2)については、書籍や新聞等の文献検索、関係者へのインタビューを行うとともに、政府統計に限らず民間の各種統計等を用いた分析を行った。また海外調査は、現地の担当者と直接やりとりすることにより最新の情報が入手できるよう努めた。
結果と考察
(1)高齢者は平均的に豊かになっていると言われるが、これを検証すべく、様々な角度から検証を行った結果、確かに豊かな高齢者が多い一方で、一人暮らしの高齢者など低所得の高齢者も存在し、高齢者と一口に言っても、その年齢層、家族形態等により経済状態の格差が大きいという実態が明らかになった。
(2)高齢者を語る際、寝たきりや介護などといった側面が強調されることが多いが、現実には、元気で活動的な高齢者が多く、何らかの社会参加活動を行う高齢者は6割以上にも達している。また、高齢者を地域で支えるという機運が高まり、高齢者を支える多様な主体が登場している。さらに、身体機能が若干低下してきた高齢者であっても、地域における助け合いにより、今までと同じように地域の中で生活し続けることができる。
このように一口に高齢者といっても、その姿は多様である。自立した高齢者が多様な生き方を選択する社会、そしてすべての世代がともに支え合う社会にふさわしい社会保障システムが今後求められる。
結論
従来、「高齢者」は明治、大正生まれであったが、昭和生まれの高齢者が登場してきたことにより高齢者像は大きく変わり、今後、団塊の世代の高齢化によりこの傾向は一層、拍車がかかる。これからの時代の新しい高齢者像を提示した本研究は、新しい高齢者と伴にどのようにしたら活力ある豊かな高齢社会を実現できるかの方策を考えるにあたっての議論に資すると考える。また、高齢社会の到来を多くの国民は不安に思っているが、高齢者に対するネガティブかつ画一的な見方を払拭することで、豊かで活力ある高齢化(Active Ageing)の実現可能性を国民に提示できると考えられる。
さらに、昨今、社会保障に関する議論が盛んである。新しい高齢者像の登場や社会のあり方の変化などの動向を正確に把握した上で、今後の社会保障の給付と負担のあり方、制度の仕組みなどを考える必要があるが、本研究の成果は、今後の社会保障の議論に資するものと考えられる。

公開日・更新日

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更新日
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