医療・介護施設の供給メカニズムの解明と地域間格差の評価に関する研究

文献情報

文献番号
199900016A
報告書区分
総括
研究課題名
医療・介護施設の供給メカニズムの解明と地域間格差の評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
福重 元嗣(神戸大学大学院経済研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤志のぶ(名城大学短期大学部)
  • 赤木博文(名城大学都市情報学部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
-
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
総括研究の目的は、医療・介護施設の供給メカニズムと地域間格差の評価という全体の分析に関連して、基礎的な分析を行い。最終的に総括を行うものである。
研究方法
研究方法としては、まず地域間での人口の変動の将来予測を中心に、社会保障関連需要の地域格差について検討する。続いて、研究と中で、その必要性と重要性が課題となった、都道府県別の医療費の需要予測モデルの構築を行った。最後の分担研究を含め、全体の研究の総括を行った。
結果と考察
第1は、人口構成の変化について地域間格差があり、これを無視して、医療・介護施設の供給の地域間格差を評価する事は難しいという事。第2は、医療に限ってみても、都道府県レベルでの需要の将来予測はなく、医療・介護施設の供給を評価するためには、都道府県レベルでの需要の将来予測がまづ必要である・本研究では、都道府県レベルでの医療費の将来予測については、予測モデルを構築した。第3は、分担研究のよって明らかになった事であるが、既に社会福祉施設の地域間での供給格差は人口移動を誘発する程度に達していること。第4は、これも分担研究で明らかになった事であるが、医療に関しては多くの都道府県において未だ需要超過の傾向が続いており、近年緩和傾向にあるが、今後とも供給を増加させてゆかなければならないと考えられる事。第5点は、第4点と関連して、医療供給を決定する要因として医師の給料が重要な要因となっている事が明らかとなった。最後に考察として、第1に指摘しておかなければならないのは、今後予想される人口及び人口構成の変化には地域間格差があり、現状での医療・介護施設の地域間格差は単純には評価できなことである。一方、現状での医療・介護施設についても、例えば福祉施設が人口移動の原因となる、あるいは医療の需要超過傾向が多くの都道府県で見られるなど、こちらのほうも地域間格差が存在する。これらの問題を解決するには、まず最初のきちっとした将来予測を行わなければならない事。その予測に基づいて、供給をどの程度行わなければならないのかを検討する必要がある。経済学的に見れば、地域間格差を考慮した需要関数と供給関数を推計し、行政側の費用負担と需要者の価格を考慮しながら、需給の均衡点をどこに定めるかを検討しなければならない。
結論
医療・介護施設の供給に関連して、将来予測を考慮すると、現状において正確な将来予測がない状態での地域間格差の評価は危険である。この点については、特に重要な事として、将来の人口の増減や移動も考慮した、医療・介護施設の需要が予測できなければならないという点が指摘できる。一方。医療・介護施設の供給そのものも、現状において地域間格差が生じており、これも問題である。全国一律の医療・介護施設の供給を目指すのであれば、需要サイドの人口移動をどのように考えるのか、すなわち地域ごとの人口の分布をどうデザインするかという問題と、供給サイドにおいて、供給水準を均一化するような決定要因、例えば医師の給料といったものの、地域間格差をいかに付けていくのかという問題を、同時に考えなければならない。この問題は、需要側と供給側の両面を同時に分析する必要があり、このような大掛かりな分析については今後の課題としたい。

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