軽医療における受診行動の分析

文献情報

文献番号
199900015A
報告書区分
総括
研究課題名
軽医療における受診行動の分析
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
大日 康史(大阪大学社会経済研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 井伊雅子(横浜国立大学経済学部)
  • 滋野由紀子(大阪市立大学経済学部)
  • 進藤奈邦子(東京慈恵会医科大学内科学講座第2医員・国立感染症研究所感染症研究センタ-協力研究員)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
-
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国民医療費の抑制策として、需要側の削減に大きな効果をもたらすと思われるが、それを予防と受診という二つの側面から分析する。
研究方法
独自に実施したアンケートを用いて、情報を収集し、予防行動、軽医療の受診行動の実証分析を行う。個人を特定化しないで形でデータとして処理しているので、倫理上の問題は生じない。
結果と考察
予防接種に関しては、予防接種の実際の行動とConjoint Analysisの2つのアプローチを試みた。まず実際の行動の分析では、インフルエンザ罹患経験、予防接種経験が接種に影響を与えていることが明らかにされた。また、Conjoint Analysisでは一定の仮定の下で、無料になった場合には8.7%ポイント、利便性が向上した場合にはそれぞれ1.7~2%ポイント、大流行情報が流れた場合には6.6%ポイントの接種率増加になることが明らかにされた。また、機会費用や予防接種経験による習慣形成効果は非常に大きいことが確認された。予防行動の分析では、年齢、学歴、家計の総所得が増えると、予防行動が強まる傾向は確認されるが、機会費用が高いと予防行動を低めること、自己負担率が予防行動には影響しないことが明らかにされた。軽医療におけるOTC需要・受診行動の動態的な分析では、まず強い経路依存性が存在し、単純なマルコフ過程が成立していないことが確認された。また、検討された10疾病中4疾病(風邪、胃の 痛みやもたれ、便秘・下痢、打ち身・捻挫)で、医療受診確率が自己負担率の減少関数、あるいはOTC需要確率は自己負担率の増加関数となっていることが見出された。その他にも、経済変数や症状についても、医療受診確率あるいはOTC需要確率との関係が吟味された。予防接種、受診行動に関しては政策的にも有意義な分析を行うことができたが、予防行動と医療保健制度の部分はつめられていない。おそらく、皆保険制度が識別を困難にしていると予想されるが、今後のさらなる工夫が必要である。
結論
得られた結論は、さらなる吟味の必要性があるものの、極めて有意義である。今後は、さらなるデータ収集と同時に、推定方法の改善を通じてより信頼性の高い分析を行う必要があろう。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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