再生不良性貧血について治療薬の組み合わせを評価する多施設共同研究

文献情報

文献番号
199800894A
報告書区分
総括
研究課題名
再生不良性貧血について治療薬の組み合わせを評価する多施設共同研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
溝口 秀昭(東京女子医科大学血液内科)
研究分担者(所属機関)
  • 浅野茂隆(東大医科研病態病理)
  • 小峰光博(昭和大学藤が丘病院内科血液)
  • 澤田賢一(北海道大学医学部第二内科)
  • 朝長万左男(長崎大学医学部附属原医研内科)
  • 仁保喜之(九州大学医学不第一内科)
  • 小澤敬也(自治医科大学血液学)
  • 村手隆(名古屋大学医学部第一内科)
  • 吉田弥太郎(京都大学東南アジア研究センター人間環境部門)
  • 浦部晶夫(関東逓信病院血液内科)
  • 大野竜三(浜松医科大学第三内科)
  • 大屋敷一馬(東京医科大学第一内科)
  • 金倉譲(大阪大学医学部血液腫瘍内)
  • 厨信一郎(岩手医科大学第三内科)
  • 堀田知光(東海大学医学部内科学第四教室)
  • 別所正美(埼玉大学第一内科)
  • 金丸昭久(近畿大学医学部第三内科)
  • 八幡義人(川崎医科大学血液内科)
  • 木村昭郎(広島大学原放医研血液内科)
  • 上田孝典(福井医科大学第一内科)
  • 平井久丸(東京大学医学部無菌治療部門)
  • 中尾真二(金沢大学医学部第三内科)
  • 三輪哲義(国立国際医療センター血液内科)
研究区分
特定疾患調査研究補助金 重点研究グループ 事業名なし
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
-
研究費
0円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重症の再生不良性貧血患者に対する薬物治療としては、本邦ではシクロスポリン(CyA)、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、あるいは顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)が用いられている。外国の報告からATGとCyAの併用療法がATG(あるいはALG)単独療法より有効であることが示されているが、それにG-CSFを併用することの有用性については不明である。そこで本臨床試験は、未治療の成人重症再生不良性貧血患者に対するCyA、ATG併用療法とそれにG-CSFを併用することの有用性について明らかにすることを目的とする。本臨床研究により本邦の患者におけるATG、CyA併用療法の有用性、G-CSF併用の有用性の有無が明らかになると考えられ、その結果は本邦における成人重症再生不良性貧血の治療の標準化につながると考える。また、この臨床試験で得られた治療法の適用により、本邦の本症患者の予後およびQOLの著しい改善が期待される。また、本臨床試験ではHLA-DRB1のタイプやheat shock protein72(HSP72)誘導性と免疫抑制療法の有効性との相関、治療による異常クローンの出現、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)や骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)の併発頻度、治療による患者のQOL改善の程度について明らかにすることも目的としている。
本年度はこの重点研究の初年度でもあり共同研究体制の構築を主な目標とする。つまり、再生不良性貧血は希少疾患であり、患者の集中する血液臨床の専門施設の協力を得る必要がある。そのため、23名の班員とそれ以外に日本血液学会認定施設を中心とする協力病院を募り重症再生不良性貧血の新規発生患者の本研究への登録をはかることにした。

研究方法
結果と考察
結論
班員23名をもって研究班を組織し、それ以外にこの研究に協力してくれる施設を全国から求め協力施設は71施設になっている。
まず治療プロトコールを作成した。具体的な研究方法は下記の通りである。未治療の成人重症再生不良性貧血患者を対象とする。対象年齢は18歳以上、75歳以下である。ATGはリンフォグロブリン15mg/kg/日を5日間連日点滴静注する。 CyAはサンディミュンを6mg/kg/日で経口投与開始し、その後は投与量を適宜調節しながら12週間投与する。G-CSFの投与に関しては、プロスペクティブに投与群と非投与群に割付をする。投与群では最初の4週間は隔日投与、それ以降は週1ないし2回投与し、12週間投与する。投与3ヶ月後、6ヶ月後、1年後に両群の有効率、感染の頻度、血液学的所見、輸血の依存の有無の差を検討し、G-CSF投与の有用性を判定する。HUMARA法によるクロナリティ検査、FISH法によるモノソミー7検査、染色体検査、CD59検査を治療前と治療12週後と1年後に行い、治療後のPNH、MDS、AMLの併発を検査する。治療前にHLA-DR及びheat shock protein 72誘導性の解析を行い治療効果との相関を見る。なお、本臨床試験はその実施に先立ち、治験担当医師により患者さん本人に、臨床試験の目的および方法、予期される効果および危険性、他の治療方法の有無およびその内容について十分な説明がなされ、文書にて試験への参加の同意を得た後に行われる。
平成10年4月から患者登録を開始し、平成10年12月24日現在、CyAとATG併用群14例、G-CSF併用群15例が登録され研究が開始された。年間登録の目標症例数は各群25例であるので、今後さらに登録症例数を増やすべく班会議、日本血液学会総会や各地における講演会を通じて努力する予定にしている。現在のところ本研究の継続に支障を来すことは起こっていない。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)