特定疾患に関する評価研究

文献情報

文献番号
199800886A
報告書区分
総括
研究課題名
特定疾患に関する評価研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
江口 弘久(自治医大公衆衛生)
研究分担者(所属機関)
  • 照井哲(日本大学公衆衛生)
  • 高野謙二(自治医大心理学)
  • 長谷川敏彦(国立医療・病院管理研究所医療政策研究部)
研究区分
特定疾患調査研究補助金 横断的基盤研究グループ 政策的研究部門
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
-
研究費
0円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
評価をする際に必要な基本的背景を模索し検討した。今後の特定疾患研究を一層前進させるためには、包括的な評価方法が必要と考えられる。われわれは、基本的背景を明らかにし、包括的な評価方法を確立することを目標とした。
研究方法
方法=基本的背景として、まず第一に、各研究班(班長、班員)が難病患者をどのくらいの把握しているかを調査するため、昭和63年当時の疫学調査研究班(柳川班)が実施した全国の難病受給者証交付患者の全数調査を用いた。
第二に、論文面からみた疾患研究の評価の可能性について検討した。そこで、1987年と1997年の海外とわが国の特定疾患の論文数を調査した。特定疾患指定疾患について、米国のNational Library of Medicineに接続して1987年92年97年の疾患別論文の総件数、subheading別の論文数の増加率を集計し、検討を加えた。
第三に、患者サイドからの評価について模索してみた。患者のQOLから研究の評価をすることは既に試み始められているが、患者の直接の声を第三者が耳を傾けそれが評価につながるまでは至っていないのが現状である。そこで、今年度は少数の患者のグループに対して個人・集団面接及び質問紙による調査を行った。
第四に経済的な評価を行うために、「調査研究体制に関する調査」と題する自記式質問表を臨床研究調査班の全班長(n=39)にあて郵送、回答を得た。
結果と考察
まず、第一に、特定疾患の各班が、全特定疾患患者のうち実際にどのくらいの割合の患者を把握としているか、研究班における難病受給者割合を調査した。その際、班長、班員等の医療施設に受診している治療研究対象患者数を、1988年度の受給者証交付患者調査の資料を用い算出した。1988年度では、17研究班の平均医療施設数は30.2施設で、研究対象の29疾患の平均把握受給者割合は12.5%であった。1997年の平均医療施設数は21.1であり、患者受診施設と受診数に変化がないと想定した場合、平均把握受給者割合は5.3%であった。なお1988年と1997年の医療施設を比較すると、平均12.2施設が共通であった。
第二に、海外の文献数からの評価を試みた。その結果、論文がほとんど発見されていない疾患から、急激な増加率を示している疾患まで様々であった。Subheading件数別にみると、総件数では「合併症」「診断」「病理学」が多かったが、87年に対する97年の分野別論文数の伸び率では、件数を考慮に入れると遺伝学の分野での進歩が著しいかった。わが国の疾患別論文数推移を医学中央雑誌で検索した結果、やはり米国と同じ傾向にあった。
第三に、患者及び家族に対して直接面接と質問紙による調査を行った 調査をおこなったのは3つのグループ(パーキンソン病、膠原病、ALS)で合計患者23名、家族14名である。それぞれに対して個人面談、Focus Group Interview Method(FGIM)をおこなった。患者及び家族のうち同意を得た人には質問紙(The Purpose in Life Test)をおこなった。この結果、患者及び家族から情報を得るためには、患者と直截な利害関係のない専門家が個人面談とFGIMをすることが有用であると考えられた。さらに、患者の望むことは疾患ごとに大きな差違が認められた。
第四に、臨床研究調査版アンケートでは37班のうち28班から回答を得た。研究班が最も心血を注いでいる領域について聞いたところ、31%の班が「病態把握」、ついで「病因解明」が25%、「治療法確立」が21%であった。総研究費における厚生省特定疾患調査研究事業費の割合では厚生省の研究費は48.5%を占めている。平成8年度に特定疾患調査研究体制の再編成が行われているが、全体的評価では「今のほうがよい」と評価する研究班は16班あり、「前のほうがよい」は8班であった。また「前の方がよい」と答えた班は、厚生省への経済的依存度は低い傾向があった。
結論
研究班の把握受給者割合の推定値が5.3%であったことから、各班において、班員の担当患者以外の患者も把握する方法を考案し、なるべく多数の患者の全国レベルのデーターベース化が必要と思われる。その際、患者のプライバシーについて十分に考慮する必要があることはいうまでもないことである。また海外の文献の調査や研究推移を踏まえて、斬新な研究プロジェクトの必要性も考えられた。患者及び家族への調査から、全疾患で個人面談、FGIMなどを第三者が直接患者サイドの意見(生の声)を調査するとともに、医療を供給する側の意見も調査する必要があると思われた。アンケート調査からは、平成8年度からの再編成を評価する班は16班存在し、再編体制を支持する班が多かった。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

研究報告書(紙媒体)