文献情報
文献番号
199800853A
報告書区分
総括
研究課題名
神経変性疾患
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
田代 邦雄(北海道大学)
研究分担者(所属機関)
- 進藤政臣(信州大学)
- 中村重信(広島大学)
- 永津俊治(藤田保健衛生大学)
- 水野美邦(順天堂大学)
- 中野今治(自治医科大学)
- 阿部康二(岡山大学)
- 阿部隆志(岩手医科大学)
- 岩崎泰雄(東邦大学)
- 岡本幸市(群馬大学)
- 小川紀雄(岡山大学)
- 郭伸(東京大学)
- 梶龍兒(京都大学)
- 加知輝彦(国立療養所中部病院)
- 葛原茂樹(三重大学)
- 久野貞子(国立療養所宇多野病院)
- 祖父江元(名古屋大学)
- 高橋均(新潟大学)
- 田中順一(東京慈恵会医科大学)
- 中島健二(鳥取大学)
- 中田力(新潟大学)
- 中野亮一(新潟大学)
- 森若文雄(北海道大学)
- 山田猛(九州大学)
- 長谷川一子(北里大学東病院)
研究区分
特定疾患調査研究補助金 臨床調査研究グループ 神経・筋疾患調査研究班
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
-
研究費
0円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究班は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性進行性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症(Kennedy-Alter-Sung病)、脊髄空洞症、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病、進行性核上性麻痺、線条体黒質変性症、ペルオキシソーム病、ライソゾーム病の10対象疾患の基礎的ならびに臨床的研究を発展させ、これら難病の治療法の開発も視野に入れた調査研究を行うことを目的としている。
研究方法
1997年までの班長1名、班員5名、研究協力者16名、特別研究員1名、横断的基礎研究班から7名から構成された研究体制に、本研究班の最終年度となる1998年には研究の推進、新たな発展に伴い、研究協力者として2名を追加した。本研究班の伝統である班員の自由な発想のもとに研究を進めるとともに、横断的なつながりがみられるテーマでの共同研究、研究協力の推進を計り、神経変性疾患の基礎的研究から臨床・治療までの幅広い分野の研究を進めた。
結果と考察
1999年2月5日~6日に1998年度の2つのワークショップと班会議を開催した。ワークショップは「神経細胞死」をテーマに「神経細胞死に応答するミクログリア遺伝子の機能」、「パーキンソン病における神経細胞死」、「パーキンソン病とサイトカイン・神経栄養因子」、「パーキンソン病:αーsynuclein/NACPの蓄積と細胞死」の4題、「神経変性疾患の治療」をテーマに「パーキンソン病の遺伝子治療 ー基礎研究についてー」、「運動ニューロン損傷モデルに対するGDNF組換えアデノウイルス・ベクターの治療効果」、「複合薬剤によるALS治療 ー動物実験の成績を中心にー」、「超大量メチルコバラミン筋注によるALS治療の試み」も4題が発表された。班会議での研究発表は、「神経変性疾患関連」では鉄代謝のマスター蛋白、パーキンソン病におけるボルナ病ウイルスに関する3題、筋萎縮性側索硬化症関連の「基礎・病因」ではTNF-αの神経細胞傷害、AMPA受容体の分子変化、Apaf-1の発現解析、tランスジェニックマウスでの軸索輸送速成分の変化、変異Cu/Zn SODの運動ニューロン傷害機構、分子インデックス法による探索の6題、「遺伝子・病理」では紀伊半島の筋萎縮性側索硬化症とパーキンソン痴呆複合におけるタウ遺伝子多型と変異、同疾患の最近の疫学像と臨床的病理学的疾患概念、痴呆を伴う運動ニューロン疾患の大脳病変の3題、「臨床・治療」では事象関連電位の検討、axotomized motor neuruon deathに対するIGF-1、riluzoleの効果、超大量メチルコバラミン筋注による二重盲検クロス・オーバー試験の3題、また、沖縄地方の脊髄性進行性筋萎縮症の臨床・病理学的検討と遺伝子連鎖解析、球脊髄性筋萎縮症における変異アンドロゲン受容体のショック蛋白による凝集体形成抑制効果の2題が発表された。パーキンソン病関連の「基礎・病因」ではmetallothionein-・ mRNA変化、髄液中3-nitrotyrosine濃度、MPP+による培養細胞へのα-シヌクレイン蓄積、glycationの関与の4題、「遺伝子」では
家族性パーキンソン病の変異解析、常染色体劣性若年性パーキンソニズムにおけるParkin遺伝子解析、相模原地区のパーキンソニズムの遺伝子検索、human Nurr1の遺伝子構造とプロモーター領域の解析、MTHFR遺伝子多型とホモシステイン関与の5題、「病理」ではlewy body disordersとmultiple system atrophyにおけるα-synuclein/NACPの蓄積、パーキンソン病におけるα-synuclein/NACP positive astrocytic inclusionsの出現、大脳皮質チロシン水酸化酵素の免疫組織化学、L-dopaのMPTPマウスドパミン細胞への影響、日本脳炎ウイルスによるパーキンソン病モデルラットでのapoptosisi解析の5題、「薬理・治療・臨床」ではL-dopa反復投与のFos発現への効果、モノアミン酸化酵素阻害薬Aの抗パーキンソン病効果、パーキンソン病のIMP脳血流SPECT、自律神経不全症の有無による精神症状の4題、「生理・機能解析」で痙縮とパーキンソン病における運動障害と高次神経機能、単一運動単位による瞬目反射の検討、磁気共鳴画像による拡散テンソル解析を用いた非侵襲的軸索機能解析の3題、進行性核上性麻痺関連で進行性核上性麻痺のMRIの検討、髄液中タウ蛋白の診断的意義、視機能異常に関するアンケート調査の3題、計41題が発表された。また、本研究班の対象10疾患の重症度分類基準を作成した。
家族性パーキンソン病の変異解析、常染色体劣性若年性パーキンソニズムにおけるParkin遺伝子解析、相模原地区のパーキンソニズムの遺伝子検索、human Nurr1の遺伝子構造とプロモーター領域の解析、MTHFR遺伝子多型とホモシステイン関与の5題、「病理」ではlewy body disordersとmultiple system atrophyにおけるα-synuclein/NACPの蓄積、パーキンソン病におけるα-synuclein/NACP positive astrocytic inclusionsの出現、大脳皮質チロシン水酸化酵素の免疫組織化学、L-dopaのMPTPマウスドパミン細胞への影響、日本脳炎ウイルスによるパーキンソン病モデルラットでのapoptosisi解析の5題、「薬理・治療・臨床」ではL-dopa反復投与のFos発現への効果、モノアミン酸化酵素阻害薬Aの抗パーキンソン病効果、パーキンソン病のIMP脳血流SPECT、自律神経不全症の有無による精神症状の4題、「生理・機能解析」で痙縮とパーキンソン病における運動障害と高次神経機能、単一運動単位による瞬目反射の検討、磁気共鳴画像による拡散テンソル解析を用いた非侵襲的軸索機能解析の3題、進行性核上性麻痺関連で進行性核上性麻痺のMRIの検討、髄液中タウ蛋白の診断的意義、視機能異常に関するアンケート調査の3題、計41題が発表された。また、本研究班の対象10疾患の重症度分類基準を作成した。
結論
本研究班の対象疾患の中では、筋萎縮性側索硬化症(ALS)とパーキンソン病(PD)が主体をなしているが、これらの疾患に関して、病因・病態、疫学、薬理、生理、機能解析、病理、臨床、治療などの幅広い方面からの研究が、横断的基礎研究班との連携、プロジエクト研究や研究協力で進められた。
また、本研究班に関連する厚生省特定疾患重点研究事業としては、1998年度から開始された「パーキンソン病治療」研究班(湯浅龍彦班長)があるが、本研究班班会議で1998年の初年度中間研究報告がなされた。
特記すべき研究成果としては、ALS関連では変異Cu/Zn SODの運動ニューロン障害機構などの遺伝子解析、超大量メチルコバラミン筋注による治療の試み、さらには紀伊半島の筋萎縮性側索硬化症とパーキンソン痴呆複合の最近の疫学像と臨床病理学的解析および遺伝子解析があげられる。PD関連での家族性PDの遺伝子解析が進められ、常染色体劣性若年性パーキンソン病家系が染色体6番長腕に連鎖し、Parkinと命名された遺伝子変異が報告された。
また、本研究班に関連する厚生省特定疾患重点研究事業としては、1998年度から開始された「パーキンソン病治療」研究班(湯浅龍彦班長)があるが、本研究班班会議で1998年の初年度中間研究報告がなされた。
特記すべき研究成果としては、ALS関連では変異Cu/Zn SODの運動ニューロン障害機構などの遺伝子解析、超大量メチルコバラミン筋注による治療の試み、さらには紀伊半島の筋萎縮性側索硬化症とパーキンソン痴呆複合の最近の疫学像と臨床病理学的解析および遺伝子解析があげられる。PD関連での家族性PDの遺伝子解析が進められ、常染色体劣性若年性パーキンソン病家系が染色体6番長腕に連鎖し、Parkinと命名された遺伝子変異が報告された。
公開日・更新日
公開日
-
更新日
-