医療技術評価総合研究の企画と評価に関する研究

文献情報

文献番号
199800838A
報告書区分
総括
研究課題名
医療技術評価総合研究の企画と評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
松田 朗(国立医療・病院管理研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小山秀夫(国立医療・病院管理研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
-
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、今後わが国の医療保健行政施策にとって、大変重要な分野である、医療技術評価研究の発展に資するため、厚生科学研究に今年度から新設された、医療技術評価研究事業に申請された課題研究の内容をデータベース化し、医療技術評価研究分野におけるわが国の現状と課題を把握することを目的とする。
医療技術評価研究の分野は、わが国においてはまだ始まったばかりといえるが、医療の標準化、医療費の適正配分など、医療保健をめぐる様々な課題に対処していくために、その発展が期待されることは明らかである。その端緒として、現在のわが国における医療技術評価に関する研究の動向について把握することは、必要不可欠な研究であると考えられる。
研究課題のデータベース化により、現在のわが国においてどのような領域がどの研究機関で行われているのか、どの領域が必要なのか、などの情報が共有されることになり、今後各研究者が、適切な研究課題を進めるための重要な資料となる。厚生科学研究に対しては、全国の関連分野研究機関から申請がなされており、これをデータベース化することで、わが国における現状及び課題を的確に捉えることが可能である。
研究方法
厚生科学研究医療技術評価研究事業に申請された、それぞれの研究申請書より、題名、申請者の属性、および研究概要の項目をコンピュータに入力し、基本的なデータベースを作成した。次に、それぞれの研究において重要あるいは内容を反映していると考えられる単語をキーワードとして抽出した。それぞれのキーワードにつき、他のすべての申請書について単語検索を行い、各キーワードの有無を索引項目として、データベースに追加した。
各キーワードの有無と、申請の採用の有無とを比較検討した。検定にはカイ二乗検定を用いた。但し、期待度数が10以下の項目がある場合には、Fisherの直接確率を使用した。さらに、採用の有無を最も左右するキーワードの組み合わせを、CHAIDを用いて解析した。以上の解析には、統計解析パッケージSPSSを使用した。
作成されたデータベースは、CD-ROMとして配布可能とした。
結果と考察
今回申請された研究課題は応募件数166、うち採用課題は66件であった。
全体の傾向を捉えるため、申請書より、表題及び研究概要の項目から、それぞれの課題について内容を反映するキーワードを抽出した。抽出された57のキーワードにつき、他の課題での出現の有無を検索し、索引に加えた。
次に、抽出したキーワードの出現度数の、採用・不採用別有意差を検定した。「評価」、「システム」、「情報」等の単語は、採用・不採用を問わず、出現頻度が高かった。カイ二乗検定(あるいは Fisher の直接確率)により、採用課題で有意に多かったキーワードとしては、「評価基準」、「提供体制」、「シュミレーション」、「災害」、「救急」、「搬送」、等が挙げられる。一方、「訪問」、「介護」、「QOL」等の項目は、むしろ不採用側に多い傾向が認められた。
さらに、採用の有無を最も左右するキーワードの組み合わせを、CHAIDを用いて解析したところ、分岐条件に挙げられたキーワードは、「提供体制」、「シュミレーション」、「搬送」、「QOL」、「評価基準」、「介護」、「アセスメント」、「ネットワーク」であった。このうち、「QOL」「アセスメント」および「介護」は、ない方が採用される傾向があり、他のキーワードは、ある方が採用される傾向があった。
採用の有無という点に着目すると、題名の比較、キーワードのクロス集計、および
CHAIDによる樹形図のいずれにおいても、より具体的、実用的な成果を期待できる課題が多いという、同様の傾向がみられている。「QOL」「介護」などは重要な概念ではあるが、研究内容としては明確でないとの印象があるのかもしれない。「アセスメント」よりも「評価基準」の方が選ばれていることなども同様な傾向といえる。その意味で、救急、或いは災害対策に関する項目が重要視されているのは当然といえるかもしれない。ただし、類似した内容を持つ課題は、そのいずれかが抽出されている傾向があるので、課題の独自性という要素が重要であるといえる。
結論
ある研究事業において、申請された研究課題をデータベース化することにより、今後の研究動向を決定するための重要な資料を作成することが出来た。また、キーワード等を用いて採用・不採用課題を比較検討することにより、事業の目的に即した課題内容の選択等、研究事業費を有効に活用するための参考となる結果が得られた。
今回は採用条件を中心に解析したが、今後課題達成状況、報告の内容などもパラメータに加えた解析を継続する必要があると考えられる。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-