パス法による臨床経過の医療管理手法の有用性の研究

文献情報

文献番号
199800826A
報告書区分
総括
研究課題名
パス法による臨床経過の医療管理手法の有用性の研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
阿部 俊子(東京医科歯科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 鎌田ケイ子(東京都老人研究所)
  • 山田ゆかり(財団法人ダイヤ高齢社会研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
クリティカル・パスという臨床経過に基づく医療管理手法の使用が、臨床経過、特に経過に対して有効であるかという検証。
研究方法
医療管理手法であるパス法の介入の前後比較。対象患者層は急性期病院の脳梗塞患者パス
使用前100と使用後20例。データ収集はカルテと満足度の調査から行った。
結果と考察
研究結果としては、対象患者はパス導入前N=102、パス導入後N=12であった(合計N=114)。年齢の平均はパス導入前が74歳で導入後が63歳。パス導入後のデータがまだ収集途中であるために、現段階では統計学比較は難しい。簡単集計で入院料や検査料、臨床アウトカムはパス導入後がよいという方向ではある。
パス導入後のデータ収集を継続することも重要であるが、さらにパス適応の基準を定めていかないと、前後比較するのに影響因子が大きすぎることになる。パス使用後が100となった段階で、統計処理をかけるとこの判断が可能となる。パス適応基準を改めて定めた段階で、パス導入前が100ケースになるようにデータ入力しなおす必要もある。
パスを病院に導入する経過ではTQMとしてチーム医療としての話し合いが何度ももたれて、システム改善を行うことができた(MRI検査日の確定、患者の家族の退院後の決断を早めるための説明、さらには患者の家族と医師の告知の日程のすりあわせの方法など)。
パスは導入してまだ4ヶ月であるので、バリアンス収集は現段階では行っていない。在宅へのフォローアップ調査も今後の課題として残されている。
結論
パス導入後のデータはまだ十分な数にならないので、統計学的に比較できる段階ではない。単純比較としては、パス導入後の方が全体的に臨床のアウトカムや経済アウトカムはよくなっている。しかしながら、患者層の属性もかなり異なるので、この因子の分析を前後のデータが出た上で行わなくては行けない。また、対象患者層が脳梗塞のオペなしという適応基準だけでは、変化要因が多すぎるので、もう少し適応基準を猜疑にする必要がある。パスを作成する過程でTQMは可能となったが、ケアの標準化はまだできていない。これは分析データが出でから、チームで行っていく作業である。パスの標準化ができてから、その上でバリアンス分析を行わないと、バリアンスだらけとなる。さらに、脳梗塞だけではなく、他疾患、さらに他病院でも同じデータを収集し必要することで効果測定の結果を一般化できるようになる。

公開日・更新日

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更新日
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