理学療法士等リハビリテーション関連職種の適正配置に関する研究

文献情報

文献番号
199800820A
報告書区分
総括
研究課題名
理学療法士等リハビリテーション関連職種の適正配置に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
信川 益明(杏林大学医学部医療科学教室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成9年度厚生行政科学研究事業「理学療法等リハビリテーション関連
職種の就業の実態と需給予測」(主任研究者 信川益明)では、PT,OTの養成
校数、定員、医療施設調査を基に現状を把握し、中長期的なPT,OTの需給の動
向について重回帰分析を用いて推計した。しかし今後、平成12年度から実施され
る介護保険の導入等の環境の変化が予測される。
このため全国の関連施設におけるPT,OTの就業人員数、勤務形態、業務内容な
どの実態調査を行うことが必要である。さらに、これらに基づいた中長期的なPT、
OTの需要について試算を行い、質の高い人材確保、効率的な人的資源配分の
観点から、PT、OTの需要のあり方について検討を行うことが必要である。
研究方法
全国の医療機関から、理学療法士ならびに作業療法士協会員が所属する
584医療機関を抽出し、OT,PTに関する医療機関調査Aおよび医療機関調査
Bの内容について、郵送質問紙法によるアンケート調査(医療機関調査票A、医療
機関調査票B)を行った。213ヶ所から回答を得た。(回収率36.5%)
医療機関調査Aは、医療機関におけるリハビリテーションに関連する基礎情報につ
いて質問しており、院長、リハビリテーション関連部署の総括責任者に医療機関調
査票Aの記入をお願いした。主な質問項目は特定機能病院の有無、臨床研修病院の
有無、標榜診療科名、病床数、病床利用率、平均在院日数、外来患者延べ数、リハ
ビリテーション占有病床の有無、理学療法・作業療法に携わる職員数等。
医療機関調査Bは、平成11年2月4日に、理学療法担当者、作業療法担当者が取
り扱った患者に関して症例ごとに、質問しており、理学療法者、作業療法者に医療
機関調査票Bの記入をお願いした。主な質問項目は職種および勤務形態、年齢、性
別、処方診療科名、主疾患名等。
理学療法士ならびに作業療法士協会員が所属する精神病院、老人保健施設、特別養
護老人ホーム、児童福祉法関連施設、身体障害者福祉法関連施設の中から466ヶ
所の対象施設を抽出し、OT,PTに関する施設調査Aおよび施設調査Bの内容に
ついて、郵送質問紙法によるアンケート調査を行った。回収件数は、特別養護老人
ホーム16ヶ所(回収率26.6%)、老人保健施設73ヶ所(回収率38.8%)であっ
た。
施設調査Aは、精神病院、関連施設におけるリハビリテーションに関連する基礎情
報について質問しており、院長、施設長、リハビリテーション関連部署の総括責任
者に施設調査票Aの記入をお願いした。主な質問項目は保健施設、社会施設の分類、
併設する施設、実施事業の種類、入所定員、平均入所者数、平均通所者数、理学療
法・作業療法に携わる職員数、理学療法・作業療法対象者延数等。
施設調査Bは、平成11年2月4日に、理学療法担当者、作業療法担当者が取り扱
った患者または利用者に関して症例ごとに、質問しており、理学療法者、作業療法
者に施設調査票Bの記入をお願いした。主な質問項目は職種、勤務形態、性別、年
齢、主疾患名、障害名、入所・通所の別等。
結果と考察
病床規模による分類では、リハビリテーション関連職種の適正配置の
状況を比較検討できない。理学療法・作業療法の1ヶ月間の取り扱い患者数及び
理学療法・作業療法担当職員は、共に200床以上の一般病院において最も多かった。
一人の担当者の一日平均取り扱い患者数を試算すると、
作業療法は、理学療法よりも負担が多く、さらに、
診療所では、病院よりも担当患者数が多く、負担が多いことが明らかとなった。理
学療法が主に対象とする疾患は、運動機能関連疾患であり、作業療法が主に対象と
する疾患は運動機能関連疾患と痴呆であった。理学療法が高頻度に実施する対処者
への対応内容が運動機能評価であり、作業療法が高頻度に実施する対処者への対応
内容は精神機能評価であった。平成12年度から実施される介護保険への対応とし
ての特別養護老人ホーム、老人福祉施設に対するPT、OTの需給を検討する際に
は、今回の調査結果を踏まえ、次の3つの点を考慮して検討すべきである。1)特
別養護老人ホーム、老人保健施設の今後の整備予定数、2)現状の特別養護老人ホ
ーム,老人保健施設において、PTのみ配置の施設実数、OTのみの配置施設実数
3)平成3年の理学療法士及び作業療法士の需給計画見直しの結果状況。
結論
今後は、関連施設と担当者本人に対するPT、OTに関する実態調査に基づき
介護保険制度による影響を踏まえたPT、OTの将来的な需給を推計することが必要である。

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