大規模災害時における死体検案体制に関する研究

文献情報

文献番号
199800804A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模災害時における死体検案体制に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
高津 光洋(東京慈恵会医科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 三澤章吾(筑波大学)
  • 高濱桂一(宮崎医科大学)
  • 西克治(滋賀医科大学)
  • 福永龍繁(三重大学)
  • 西村明儒(滋賀医科大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
-
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
大規模災害における死亡者の権利と尊厳を保持し、将来大規模災害時における人身傷害を予防するためには、国や都道府県の救急医療体制の一環として、法医学の修練を受けた医師を中心に死体検案体制を確立し、死因をできる限り正確に診断することが不可欠である。このためには平時から異状死体における死体検案の重要性を認識し、検案医師の確保と検案実務の充実、検案支援体制の確立を行っておく必要があり、これまでに法医学者及び及び警察嘱託医の意識調査と可動者リストの作成、法医学専門家集団の死体検案支援体制の確立、救急医を対象に大規模災害時における医療活動(救急医療,死体検案)についての意識及び可動性調査、異状死体、死体検案、日本法医学会死体検案認定医制度等に対する意識についてのアンケート調査を行ってきた。本年度は一般臨床医・警察(嘱託)医を含めた大規模災害時における死体検案実施マニュアル(案)を作成した。
研究方法
平成8年度に研究した法医学専門家の死体検案支援体制及び死体検案支援可動者リストの作成,警察(嘱託)医を対象とした大規模災害時の死体検案に対する意識調査と可動調査,平成9年度に研究した救急医を対象とした大規模災害時における医療活動(救急医療,死体検案)についての意識及び可動性調査,及び異状死体,死体検案に対する意識調査の結果を詳細に分析し,大規模災害時の死体検案マニュアル作成のための資料を作成した.各都道府県における地域防災計画を収集し,死体検案体制が構築されているか,死体検案がどのように行われているかについて調査し,マニュアル作成の参考とした.以上の資料を参考として大規模災害時の死体検案実務マニュアルを検討し,原案を作成した.
結果と考察
阪神・淡路大震災における現場での死体検案を中心的に行った経験をも参考にして,大規模災害時における死体検案実務マニュアル(案)を作成した.
このマニュアルの主な内容は次の通りである.
(1)検視・死体検案に関する基本的事項
わが国における異状死体の取り扱い,死体検案の重要性,大規模災害時の死体検案の特殊性等について記載する.
(2)大規模災害時における死体検案体制の概略
検視・死体検案活動に関連する指揮・命令系統,法医学専門集団における死体検案支援体制,遺体収容・搬送,遺体収容所の設置等についての望ましい体制について記載する.
(3)検視・死体検案活動の実際
大規模災害時の実際の死体検案における注意点や問題点等について災害の種類別,規模別視点を含め記載しています.また,遺体の保存方法、火葬実施に対する阪神淡路大震災での体験に基づいた望ましい方法を記載する.厚生省生活衛生局の火葬デ-タベ-スを活用する.
(4)死体検案書について
重要性,記載方法,交付と保管,大規模災害時用死体検案書及び死体検案調書の様式等について記載する.
結論
大規模災害時における死体検案体制のマニュアルの原案を呈示した.死体検案の一般的な方法等は今回割愛したが,最終案では記載する予定である.死体検案支援者における二次災害の補償問題,各自治体における防災計画の検討等は不十分であり,次年度の研究テーマである.この段階で各方面からの意見を集め,改良していきたい.

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