大規模イベント時の健康危機管理対応に資する研究

文献情報

文献番号
201927024A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模イベント時の健康危機管理対応に資する研究
課題番号
19LA2002
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 智也(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 冨尾 淳(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 嶋津 岳士(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 森村 尚登(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 和田 耕治(国際医療福祉大学 医学研究科)
  • 松井 珠乃(国立感染症研究所感染症疫学センター)
  • 市村 康典(国立国際医療研究センター 国際医療協力局)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、過去の国内外の大規模国際イベント等における健康危機管理に関する取り組みを明らかにすることを目的とする。また、マスギャザリングイベント実施の公衆衛生対応の体系的な記録と検証を目的として、東京オリパラ等、国内での主要な国際イベント実施時の公衆衛生対応のアフターアクションレビューを実施する。これらを通じて、国内外で利用可能な、マスギャザリング計画時の公衆衛生危機管理体制整備のあり方を明らかにすることが期待される。
研究方法
① アフターアクションレビュー手法の検討・オールハザード対応、② G20準備体制に関する検討、③ 官学連携体制に関する検討、④ 公衆衛生リスクの検討、⑤ 感染症サーベイランスに関する検討、⑥ 海外事例の検討、⑦ 世界健康安全保障イニシアチブ(GHSI)における大規模イベント対策連携体制の検討、⑧ 即位の礼の対応に関する検討、⑨ 成果還元のための国際ワークショップの実施、⑩ 大規模イベント等のイベントの性質と公衆衛生リスクの性質の観点からの分類方法の検討、を実施した。研究代表者のほか、研究分担者6名、研究協力者5名の体制で実施した。
結果と考察
過去の大規模イベントにおける公衆衛生対策に関して網羅的な文献収集と情報整理により、関連文献を簡易データベース化し、過去の五輪における公衆衛生対策に関する事例を集約した文書を作成した。また、大規模イベントの分類方法を検討し、「開催地の特徴」「イベントの特徴」「会場の特徴」「混雑の特徴」「イベントの安全に関する注意事項」「公衆衛生に関する注意事項」「保健サービス」を柱とする分類を試行した。アフターアクションレビュー(AAR)の手法について諸外国の手法等について検討を行い、1)医療提供体制、2)リスク評価、3)訓練、4)準備・対応、5)レガシーを主な項目として、ラグビーW杯のAARを進めた。G20大阪サミットについては、救急医療体制を主とした系統的レビューを実施した。東京2020大会に向けては、全国的な国際イベントにおける医療行政と医療・医学専門家との効率的な官学連携を得るための活動方法について、「2020年東京オリンピック・パラリンピックに係る救急・災害医療体制を検討する学術連合体」の事例を検討した。感染症サーベイランスについては、3つのマスギャザリングイベント(2016年のG7伊勢志摩サミット、2019年のG20大阪サミット、2019年のラグビーワールドカップ2019日本大会)と東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京大会)についてその特性を比較しながら、東京大会準備における残る課題を明らかにした。これら過去のイベントへの取り組みと、東京2020大会に向けた備えについては、国際シンポジウム開催し、日英併記の報告書を公開することにより、内外に広く共有することができた。
近年国内では様々なイベントを経験し、イベントのリスク評価手法と強化手法が整理され確立されつつある。AARについては、計画・運営と同時進行で実施することが重要であり、AARの実施を計画に入れておく必要がある。また、研究期間中に新型コロナウイルス感染症が発生し、マスギャザリングイベントで検討すべき公衆衛生リスクとして新たに本疾病が大きな課題となっている。今後、マスギャザリングイベントにおける新型コロナウイルス感染症対策に関しても、アフターアクションレビューを計画に織り込みつつ進めていくことが重要である。
結論
過去の大規模イベントにおける公衆衛生対策に関して網羅的な文献収集と情報整理により、公衆衛生対策に関する事例を集約できたとともに、マスギャザリングイベントの比較検討手法(ミニマムデータセット)に関して検討を行うことができた。令和元年度に国内で行われたG20大阪サミット、ラグビーW杯については、主な資料を整理・収集することができた。感染症サーベイランスについては、東京大会準備における残る課題を明らかにした。これら過去のイベントへの取り組みと、東京2020大会に向けた備えについては、国際シンポジウム開催により、内外に広く共有することができた。AARについては、計画・運営と同時進行で実施することが重要であり、AARの実施を計画に入れておく必要がある。また、未来への遺産化のためには、内部の手順書等のさらなる整備が必要である可能性が示唆された。また、今後、マスギャザリングイベントにおける新型コロナウイルス感染症対策に関しても、アフターアクションレビューを計画に織り込みつつ進めていくことが重要と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2020-11-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-11-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201927024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,000,000円
(2)補助金確定額
11,293,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,707,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,017,262円
人件費・謝金 540,320円
旅費 1,696,829円
その他 8,038,793円
間接経費 0円
合計 11,293,204円

備考

備考
新型コロナウイルス感染症の発生により、班員の多数が患者対応や政府対応にあたることとなり、予定していたヒアリングや班会議が中止となったことから、当初予定していた協力者への謝金(人件費)の支出が減った。
また、交付申請時に予定していた海外出張の行き先に変更が生じたことにより、出張に係る旅費が安価となったため、旅費の支出が減った。

公開日・更新日

公開日
2021-02-09
更新日
-