大規模災害時の保健医療活動に係る行政の体制モデルの構築と災害時の情報を活用した運用に関する研究

文献情報

文献番号
201927019A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模災害時の保健医療活動に係る行政の体制モデルの構築と災害時の情報を活用した運用に関する研究
課題番号
19LA1009
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
市川 学(芝浦工業大学 システム理工学部)
研究分担者(所属機関)
  • 原田 奈穂子(宮崎大学 医学部)
  • 木脇 弘二(熊本県菊池保健所)
  • 服部 希世子(熊本県天草保健所)
  • 高橋 礼子(愛知医科大学 災害医療研究センター)
  • 笠岡 宜代(坪山 宜代)(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 国際栄養情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
過去の大規模災害の経験を踏まえ、厚生労働省や都道府県庁、市区町村などの自治体(以降、各行政レベル)において、災害時の保健医療支援活動を行うための体制整備、マニュアル作成、訓練や研修の実施など防災減災体制が推進されてきている。そのような中でDMATやDPAT、日赤救護班、DHEATなどの各支援チームでは、全国的な訓練・研修を通じて支援・受援の標準モデルが確立されてきており、実災害時の支援・受援経験を経て、災害時に対応すべき保健医療活動の項目の複雑化と、保健・医療・精神などの各領域を超えた対応の必要性が明らかとなってきている。一方、行政側では、各支援チームと連携しつつ領域横断的な対応を行うことができる体制作りが求められている。これらの課題を踏まえ、本研究においては、SIP第2期「国家レジリエンス(防災・減災)の強化)」と連携し、各支援チームと行政組織が災害時に協働できる体制モデルの検討と、その体制を運用するための情報共有の中身と方法、及び訓練や研修を通じた体制の実証と評価を行うことを目的とする。
研究方法
本研究で目標とする2つの研究目的を達成するために、医療領域(精神医療含む)・DMAT/DPATを研究分担者の高橋・河嶌、保健領域・DHEATを研究分担者の服部、福祉領域・DWAT/DCATを研究分担者の原田、栄養領域・JDA-DATを研究分担者の笠岡、日本赤十字社の領域を研究分担者の近藤、そしてこれらの領域と連携する行政領域の担当として木脇というように、保健・医療・福祉の各領域や災害時の支援チームの種類に応じて研究分担者を割り当てることにした。なお、災害時は、医療・保健・福祉の各領域及びDMATをはじめ、DPAT、DHEAT、日赤救護班、JDA-DAT、DWAT/DCATなどの各支援チームは連携を取りつつ協働しなければならないため、本研究においても、分野ごとの担当の割り当ては行なったものの、研究遂行にあたっては研究代表者・研究分担者全員で同じ課題に向かい合い解決していくこととした。そのため、研究代表者から全ての研究分担者へ同一の依頼をかけ、それぞれの分野における見解・意見・情報提供を経るプロセスにて研究活動を行なった。
結果と考察
2019年度は、研究目的達成のため、体制モデルを運用する上で、必要になると思われる情報項目の抽出を行なった。情報項目については、大分類・中分類・小分類の構成とした。大分類については、国の発令情報、災害の状況、施設等被災状況、交通情報など16項目で構成され合計198の小分類に整理された。また、体制モデルを構築する前の現状分析として、災害発生後から時間経過に応じた保健・医療・福祉領域における行政と各支援チームの関係性を明らかした。発災後からフェーズを分けた支援チームの活動タイムラインの整理を医療・保健・薬務・精神・福祉の領域で大まかに分類することで、統括する行政と各支援チームのそれぞれが役割を把握し、お互いの状況を把握しつつ活動できる具体的な指針につながることが期待される。さらに、体制モデルの実証・評価プロセスにおいて机上演習の利用を検討しているが、そのためのプロトタイプを試作した。災害時の対応力を高めるためには、演習や訓練を繰り返し行う必要があり、また同一シナリオよりは異なるシナリオを体験できる方が、対応時の幅が広がり結果として対応力の向上が期待される。
結論
大規模災害時の保健医療活動に係る行政の体制モデルの構築に向けて、災害発生直後から時間軸に応じて被災地で協働する支援チーム及び行政の体制の整理を行なった。被災地のステークホルダー及び保健・医療・福祉の各領域の連携性が明らかとなった。また、行政及び支援チームが協働するにあたって情報の共有は不可欠であり、必要とされる情報項目を整理することで、情報項目の取得の優先順位や必須事項の整理が行えた。支援チーム間・行政の動きを把握する意味では、クロノロジーの共有が今後の課題となりそうな点が判明しており、今後の行政と支援チームの協働体制を構築する上で必要となる可能性がある。なお、体制モデル及び情報項目、情報共有を実証する環境として机上演習の試作を行なったが、机上演習で発生するイベントを動的に与え、その対応についても動的に変化させることによって、机上演習を繰り返し活用することを可能にし、対応力向上につながる環境を提供できる可能性があることを示した。

公開日・更新日

公開日
2021-06-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-06-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201927019Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,900,000円
(2)補助金確定額
3,121,000円
差引額 [(1)-(2)]
779,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 576,593円
人件費・謝金 789,000円
旅費 843,488円
その他 12,500円
間接経費 900,000円
合計 3,121,581円

備考

備考
自己資金:581円

公開日・更新日

公開日
2021-06-14
更新日
-