文献情報
文献番号
201927018A
報告書区分
総括
研究課題名
住宅宿泊事業における衛生管理手法に関する研究
課題番号
19LA1008
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
阪東 美智子(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
研究分担者(所属機関)
- 堀田 祐三子(和歌山大学 観光学部)
- 本間 義規(宮城学院女子大学 生活科学部)
- 山田 裕巳(長崎総合科学大学 工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
住宅宿泊事業法の施行上の問題や届出案件の衛生管理上の問題点を明らかにし、行政や事業者が実施すべき衛生管理手法について提案を行うことを目的とする。
研究方法
以下の5つの調査を実施した。
(1)住宅宿泊事業法の施行状況に関する調査:自治体ホームページ等から住宅宿泊事業の届出・登録件数からその動向を整理する。また、住宅宿泊事業に関する条例・ガイドライン・要項等を収集し、記載内容のうち衛生管理に関する規制内容を抽出する。
(2)民泊の衛生管理等に関する事業者意識に関する調査:清掃事業者(現場管理請負事業者)を主たる対象として、民泊の衛生管理の実情についてインタビュー調査を行う。併せて、民泊の衛生管理の特徴をつかむため、ホテル・旅館の衛生管理に関して文献調査および宿泊産業関係者や清掃を主たる事業としない衛生管理事業者にもインタビュー調査を行う。
(3)民泊施設の汚染評価方法の検討と寝具に対するアレルゲン除去手法の評価:簡易宿所と民泊施設の居室の各部位の汚染状況を測定し測定方法の課題を明らかにする。また清掃を行わない滞在を継続することで、汚染がどのように変化するかを明らかにする。測定項目は、温湿度、二酸化炭素濃度、浮遊真菌濃度、落下真菌数、付着真菌(スワブ法とコンタクトプレート法による)、ATP指標、調査者の主観的評価である。また、民泊施設で使用される寝具のアレルゲン対策として、掃除機による吸引のアレルゲン量低減効果を、介入群(掃除機による吸引有)と対照群(吸引無)の2群で比較分析する。測定項目は、アレルゲン量(Elisa法にてコナヒョウヒダニの糞Der f1とヤケヒョウヒダニの糞Der p1を分析)、温湿度である。
(4)寝具・台所周りの汚染状況と清掃効果の検討:枕のダニ汚染度(ダニアレルゲン量)を把握する。測定項目は、枕内部の温湿度、寝具・居室の温湿度、換気量、アレルゲン量(屋内塵性ダニ簡易検査キットダニスキャンによるものと、Elisa法にてコナヒョウヒダニの糞Der f1とヤケヒョウヒダニの糞Der p1を分析)等である。また、キッチンフキンの汚染度合いに伴うテーブル等家具の汚染状況とその除去具合について、ATPふき取り検査により実験的に行う。
(5)感染症対策リーフレットの試案の作成:民泊施設における感染症対策の事業者及び宿泊者向けの啓発リーフレットを作成し各自治体の民泊担当窓口に配布する。
(1)住宅宿泊事業法の施行状況に関する調査:自治体ホームページ等から住宅宿泊事業の届出・登録件数からその動向を整理する。また、住宅宿泊事業に関する条例・ガイドライン・要項等を収集し、記載内容のうち衛生管理に関する規制内容を抽出する。
(2)民泊の衛生管理等に関する事業者意識に関する調査:清掃事業者(現場管理請負事業者)を主たる対象として、民泊の衛生管理の実情についてインタビュー調査を行う。併せて、民泊の衛生管理の特徴をつかむため、ホテル・旅館の衛生管理に関して文献調査および宿泊産業関係者や清掃を主たる事業としない衛生管理事業者にもインタビュー調査を行う。
(3)民泊施設の汚染評価方法の検討と寝具に対するアレルゲン除去手法の評価:簡易宿所と民泊施設の居室の各部位の汚染状況を測定し測定方法の課題を明らかにする。また清掃を行わない滞在を継続することで、汚染がどのように変化するかを明らかにする。測定項目は、温湿度、二酸化炭素濃度、浮遊真菌濃度、落下真菌数、付着真菌(スワブ法とコンタクトプレート法による)、ATP指標、調査者の主観的評価である。また、民泊施設で使用される寝具のアレルゲン対策として、掃除機による吸引のアレルゲン量低減効果を、介入群(掃除機による吸引有)と対照群(吸引無)の2群で比較分析する。測定項目は、アレルゲン量(Elisa法にてコナヒョウヒダニの糞Der f1とヤケヒョウヒダニの糞Der p1を分析)、温湿度である。
(4)寝具・台所周りの汚染状況と清掃効果の検討:枕のダニ汚染度(ダニアレルゲン量)を把握する。測定項目は、枕内部の温湿度、寝具・居室の温湿度、換気量、アレルゲン量(屋内塵性ダニ簡易検査キットダニスキャンによるものと、Elisa法にてコナヒョウヒダニの糞Der f1とヤケヒョウヒダニの糞Der p1を分析)等である。また、キッチンフキンの汚染度合いに伴うテーブル等家具の汚染状況とその除去具合について、ATPふき取り検査により実験的に行う。
(5)感染症対策リーフレットの試案の作成:民泊施設における感染症対策の事業者及び宿泊者向けの啓発リーフレットを作成し各自治体の民泊担当窓口に配布する。
結果と考察
住宅宿泊事業法の施行状況からは、届出件数が落ち着き始め、自治体の業務は相談・受付業務から、適切な運営に向けた助言・指導業務に移行する時期にきている。また、住宅宿泊事業から特区民泊や旅館業法への転換も増えており、特に旅館業法緩和後の1室・1棟型の旅館・ホテルや簡易宿所の動向にも注意を向ける必要がある。
既存の条例やガイドライン・手引き等は、住宅宿泊事業の開設にあたり近隣トラブルの予防に重点が置かれていた。今後は、適切な運営に欠くことのできない衛生管理や感染症対策を推進することが重要であるが、実際に管理や清掃を担う管理事業者や清掃業者については、衛生管理に対する意識が低く、技術や知識も十分ではなく、研修体制もないことから、これらの人々に向けた対策が必要である。
民泊施設は簡易宿所等に比べて汚染やアレルゲンの除去が十分でないことが実測や実験から明らかになっている。衛生管理を効率よく有効に行うためには、目に見えない汚染状況を簡易に評価する仕組みが必要であり、これについては計測部位や方法の一部を提示できた。有効で簡易な清掃法や寝具の管理については継続して調査を行う。
既存の条例やガイドライン・手引き等は、住宅宿泊事業の開設にあたり近隣トラブルの予防に重点が置かれていた。今後は、適切な運営に欠くことのできない衛生管理や感染症対策を推進することが重要であるが、実際に管理や清掃を担う管理事業者や清掃業者については、衛生管理に対する意識が低く、技術や知識も十分ではなく、研修体制もないことから、これらの人々に向けた対策が必要である。
民泊施設は簡易宿所等に比べて汚染やアレルゲンの除去が十分でないことが実測や実験から明らかになっている。衛生管理を効率よく有効に行うためには、目に見えない汚染状況を簡易に評価する仕組みが必要であり、これについては計測部位や方法の一部を提示できた。有効で簡易な清掃法や寝具の管理については継続して調査を行う。
結論
衛生管理や感染症対策を進めるためには、衛生管理の実務を担う管理事業者や清掃業者に対する啓発や研修が必要であり、これらの人々に向けたガイドラインや啓発媒体の作成、研修会の企画などが必要である。本研究では試案として感染症対策リーフレットを作成し行政窓口に配布をした。次年度はさらにブラッシュアップをした成果物の作成を目指す。
公開日・更新日
公開日
2021-06-14
更新日
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