OECDプログラムにおいてTGとDAを開発するためのAOPに関する研究

文献情報

文献番号
201926016A
報告書区分
総括
研究課題名
OECDプログラムにおいてTGとDAを開発するためのAOPに関する研究
課題番号
H30-化学-指定-003
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター安全性予測評価部第二室)
研究分担者(所属機関)
  • 小川 久美子(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
  • チョウ ヨンマン(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
  • 西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
  • 相場 節也(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科)
  • 大森 清美(神奈川県衛生研究所 理化学部)
  • 尾上 誠良(静岡県立大学・薬学部 薬剤学分野)
  • 足利 太可雄(国立医薬品食品衛生研究所 安全性予測評価部)
  • 杉山 圭一(国立医薬品食品衛生研究所 変異遺伝部)
  • 松下 幸平(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
  • 山田 隆志(国立医薬品食品衛生研究所 安全性予測評部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
25,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
動物実験3Rsの浸透に加えて、実験動物とヒトとの種差等の克服のために、既存の毒性試験法の見直しが世界的に進んでいる。経済協力開発機構(OECD: Organisation for Economic Co-operation and Development)においても、全身毒性試験の有害性発現経路(AOP: Adverse Outcome Pathway)を開発し、動物実験代替法を念頭においた試験法ガイドライン(TG: Test Guideline)の公定化やin silico法の確立にAOP情報を活用する一方で、AOPをベースとした毒性情報を網羅したIATA (Integrated Approaches to Testing and Assessment)を開発し、それに基づき、TGと同格の扱いになるDA (Defined Approach)による化学物質の安全性評価を推進している。このような国際的な潮流に乗り、日本が得意とする分野で主導権を握って、AOPやTGを公定化し、さらにはIATAやDAの開発に協力することが本研究班の目的である。
研究方法
化学物質の毒性情報等を集積しながら、免疫毒性、非遺伝毒性発がん性及び光安全性等に関する日本発のAOP開発を進める。その過程を踏まえて我が国におけるAOP作成マニュアルをまとめる。さらに、通常の反復投与毒性試験で採取される下垂体、甲状腺などを用いて、各種ホルモンなどの発現量の増減を免疫組織化学染色法によって半定量する評価方法の確立を目指す。また、エピジェネティック変異原性や腎毒性の作用機構の解明も行い、これらの結果をAOP開発に反映させる。
一方、既存のAOP情報をもとに開発された皮膚感作性試験、免疫毒性試験、発生毒性試験、光安全性試験及び腐食性試験についてのTGを開発する。また、OECDでの非遺伝毒性発がんIATAに、形質転換試験Bhas42法及びラット肝中期発がん性試験などを組み込むことを目指すとともに、光安全性IATA及び皮膚感作性DAの開発に関与することを通じて、IATAやDAの国内での普及に務める。
結果と考察
免疫抑制のAOP154案 ”Inhibition of Calcineurin Activity Leading to impaired T-Cell Dependent Antibody Response”は外部peer reviewの指摘に基づいてAOP案を修正した。他にも光安全性、免疫抑制(IL-1の発現)は外部peer reviewに移行し、免疫毒性で3件、非遺伝毒性発がん性1件がコーチと協議する段階にあり、来年度以降、種々のAOPを成立させることができると期待している。これらのAOPは全体像を明確化するため、他のAOPとのネットワーク化を念頭においている。
AOP開発を支援する評価法の確立においては、非遺伝毒性発がん性の免疫組織化学染色による評価法の確立、エピジェニック変異原性のメカニズム解析及び腎毒性における尿細管再生機構に関する解析を進めており、これらの成果をAOP開発に生かせるような研究の進展を期待している。
皮膚感作性試験代替法ADRA、光安全性 ROSアッセイ及びLabCyte EPI-MODEL24を用いる腐食性試験代替法に関しては、2019年6月にTGが採択された。引き続き、日本からOECD TG成立への働きかけを続けていきたい。
非遺伝毒性発がんIATAや感作性DAに関するOECD活動に引き続き協力していく予定である。来年度は光安全性IATAの開発着手する予定であり、動物実験を用いない安全性評価の体系化を日本主導でも進めていく。
毒性等情報収集では、厚生労働科学研究化学物質リスク研究事業(公募型)で実施された成果を、IATAのコンセプトに基づいた安全性評価やその基盤となるAOP開発に役立てるため、年次報告書を精査した。各研究課題の分担研究について、特にAOP開発へ向けた位置づけと課題を整理できた。
結論
本年度に以下に示す3試験法がOECD のTGとして2019年6月に採択された。
1)光安全性 ROSアッセイ(TG495)
2)皮膚感作性試験代替法 ADRA(TG442)
3)培養表皮モデルLabCyte EPI-MODEL24を用いる腐食性試験代替法(TG431)
AOPに関しては、“Inhibition of Calcineurin Activity Leading to impaired T-Cell Dependent Antibody Response”のAOP案が外部peer reviewに進んでいる。引き続き、OECDの活動の中で、日本が得意とする分野で主導権を握って、AOPやTGを公定化し、さらにはIATAやDAの開発に協力していく。

公開日・更新日

公開日
2020-12-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-12-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201926016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
25,600,000円
(2)補助金確定額
25,069,000円
差引額 [(1)-(2)]
531,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 13,996,393円
人件費・謝金 1,788,453円
旅費 6,350,703円
その他 2,933,866円
間接経費 0円
合計 25,069,415円

備考

備考
自己資金415円

公開日・更新日

公開日
2021-09-07
更新日
-