生体影響予測を基盤としたナノマテリアルの統合的健康影響評価方法の提案

文献情報

文献番号
201926009A
報告書区分
総括
研究課題名
生体影響予測を基盤としたナノマテリアルの統合的健康影響評価方法の提案
課題番号
H30-化学-一般-004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 昌俊(三重大学 大学院医学系研究科 )
研究分担者(所属機関)
  • 中江 大(東京農業大学 応用生物学部 )
  • 大野 彰子(国立医薬品食品衛生研究所 安全性予測評価部)
  • 林 幸壱朗(九州大学 歯学研究院)
  • 戸塚 ゆ加里(国立研究開発法人 国立がん研究センター研究所 発がん・予防研究分野)
  • 花方 信孝(国立研究開発法人 物質・材料研究機構 技術開発・共用部門)
  • 三宅 祐一(静岡県立大学 食品栄養科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は2年目として、①ナノマテリアルのin vitro安全性評価法の高度化とin vivo実験による当該評価法の検証、②自験、文献などのデータによるAOPの確立、③自験、文献などのデータによる生体影響に関するワールドワイドなデータの集積に基づくデータベースの構築、④それらの成果に機械学習などによるin silico生体影響予測を組み合わせたナノマテリアルの統合的健康影響評価方法の提案の4点を引き続き目的とした。
研究方法
1)ナノマテリアル供給および物理化学的性状解析および評価:本研究グループが使用するナノマテリアル、二酸化チタンナノ粒子などの供給および物理化学的性状の評価および文献などのデータについての妥当性の評価を行った(林)。2)ナノマテリアルのin vitro安全性評価系の高度化およびin vivo動物実験による当該法の有効性の検証:ヒト経皮曝露を想定したヒト3D皮膚再構成系のin vitro安全性評価系や共培養系を利用して、細胞毒性・遺伝毒性を評価した。これらin vitro安全性評価系および従来の2次元培養系を利用して、ナノマテリアルによる遺伝子・蛋白発現などキーイベントの解析とネットワーク解析を行い、AOPを解明した(戸塚、中江、渡邉)。 3)ナノマテリアル 毒性評価のための機械学習環境の整備を行った(花方)。4)ナノマテリアルの安全性評価に関わる試験データ項目等の探索・精査:特にQSAR/Read-across解析を行うために有用なナノマテリアル安全評価に関する試験データ項目の探索・精査を行った(三宅、大野)。
結果と考察
ナノマテリアルのin vitro安全性評価法の高度化に関して、共培養、ヒト皮膚三次元再構成系を用いて、旧来の二次元培養とは異なる特性およびナノ粒子の性状による細胞反応性の差などを明らかにした。加えて、変異原性試験や小核試験と組み合わせる評価方法を試みた。有害性発現経路の確立に関して、microRNAの発現誘導に着目し、ナノ粒子のROS産生に関わる3種類のmiRNAを抽出し、その標的と思われるタンパク質eIF5を同定した。また、ROS依存性、非依存性の細胞障害の可能性を見出した。機械学習のための予備的準備やナノマテリアル毒性試験データベースの作成、ナノマテリアルの使用状況、安全性などの既存情報の収集・整理を行った。物理化学的性状と毒性を結びつけ、二酸化チタンや酸化シリカナノ粒子を対象に解析を行った。一方入手可能なデータの標準化などの問題を明らかにした。
結論
in vitro系とin silico系の統合を図るべく、共通のナノ粒子(二酸化チタンナノ粒子など)を用い、①ナノマテリアルのin vitro安全性評価法の高度化、③自験、文献などのデータによる生体影響に関するワールドワイドなデータの集積に基づくデータベースの構築の実現化を目指した。特に、③に関しては、6種の二酸化チタンナノ粒子(TiO2 NPs)及び5種類の二酸化ケイ素ナノ粒子(SiO2NPs)を利用し、OECDのナノマテリアル安全性評価プログラムにおいて作成されたドシエの評価文書およびナノマテリアルのデータベースeNanoMapperに収載されている物性データと有害性情報の試験データについて収集し、可能な限りの物性について、様々な統計方法による特性解析および毒性評価を行い本解析手法の有用性ついて検討した。ナノマテリアルの安全性評価において、多変量解析法は物性と有害性の関連性について有用な解析手法であることが示唆された。この手法を用いて、酸化鉄、二酸化ケイ素ナノ粒子についても解析を進める。酸化鉄(マグネタイト)で構築されたin vitro系評価系について、自験データを③に組み込むように、また本研究のin vitro評価系の有用性についての評価のために二酸化チタンナノ粒子などを用いた解析をさらに進める。

公開日・更新日

公開日
2020-12-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-12-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201926009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
18,197,000円
(2)補助金確定額
18,197,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,872,667円
人件費・謝金 2,528,407円
旅費 569,754円
その他 4,029,172円
間接経費 4,197,000円
合計 18,197,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-11-25
更新日
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