文献情報
文献番号
201925029A
報告書区分
総括
研究課題名
「医療用医薬品の販売に係る情報提供ガイドライン」の施行に伴う企業側実体の調査研究
課題番号
19KC2010
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
渡邊 伸一(帝京平成大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
- 山浦 克典(慶應義塾大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
3,079,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
患者に対する情報提供の実態を把握し、製薬企業から医療関係者以外の患者を含む一般国民に対する情報提供のあり方について留意事項をとりまとめる。
販売情報提供活動において行われる広告又は広告に類する行為を適正化することにより、保健衛生の向上を図ることを目的として、2018年(平成30年)9月に厚生労働省が公表した「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」の社内体制の整備等に関する規定の適用直後のガイドラインの遵守状況を明らかにする。
販売情報提供活動において行われる広告又は広告に類する行為を適正化することにより、保健衛生の向上を図ることを目的として、2018年(平成30年)9月に厚生労働省が公表した「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」の社内体制の整備等に関する規定の適用直後のガイドラインの遵守状況を明らかにする。
研究方法
1.「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」に基づく社内体制の整備等に関する調査
日本製薬工業協会(製薬協)、日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)、日本漢方生薬製剤協会(日漢協)及び日本医薬品卸売業連合会(卸連)の事務局に、電子ファイルで調査票を送付し、会員企業に対して連絡し、電子ファイルで回答を収集した。
2.抗がん剤副作用情報の入手に関する経験と患者の服薬調節行動の関連性
過去5年以内に、抗がん剤治療を経験した初発のがん患者を対象とし、Web方式の無記名自記式質問紙調査を行った。
3.患者の処方薬に関する情報源の実態と入手情報の満足度およびニーズ調査
過去1年以内に定期的な外来受診による薬物治療を受けている20歳以上の患者,あるいは治療中の子供がいる者を対象に、Web方式の無記名自記式質問紙調査を行った.
4.くすり相談窓口の患者・国民に対する情報提供に関する調査及び患者から問合せを受けて医薬品製造販売業者が医療用医薬品に係る情報を提供する場合の留意事項
日本製薬工業協会(製薬協)を対象としたくすり相談窓口の患者・国民に対する情報提供に関する調査結果並びに2.及び3.の結果を踏まえて、患者から問合せを受けて医薬品製造販売業者が医療用医薬品に係る情報を提供する場合の留意事項をQ&A形式でとりまとめた。
日本製薬工業協会(製薬協)、日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)、日本漢方生薬製剤協会(日漢協)及び日本医薬品卸売業連合会(卸連)の事務局に、電子ファイルで調査票を送付し、会員企業に対して連絡し、電子ファイルで回答を収集した。
2.抗がん剤副作用情報の入手に関する経験と患者の服薬調節行動の関連性
過去5年以内に、抗がん剤治療を経験した初発のがん患者を対象とし、Web方式の無記名自記式質問紙調査を行った。
3.患者の処方薬に関する情報源の実態と入手情報の満足度およびニーズ調査
過去1年以内に定期的な外来受診による薬物治療を受けている20歳以上の患者,あるいは治療中の子供がいる者を対象に、Web方式の無記名自記式質問紙調査を行った.
4.くすり相談窓口の患者・国民に対する情報提供に関する調査及び患者から問合せを受けて医薬品製造販売業者が医療用医薬品に係る情報を提供する場合の留意事項
日本製薬工業協会(製薬協)を対象としたくすり相談窓口の患者・国民に対する情報提供に関する調査結果並びに2.及び3.の結果を踏まえて、患者から問合せを受けて医薬品製造販売業者が医療用医薬品に係る情報を提供する場合の留意事項をQ&A形式でとりまとめた。
結果と考察
販売情報提供活動監督部門の設置状況、販売情報提供活動部門の人数、販売情報提供活動に係る業務を行うための手順書の作成、販売情報提供活動について苦情を受け付ける窓口の設置の状況等が明らかとなった。
抗がん剤治療を経験したがん患者を対象としたWeb調査により、治療開始時に薬剤師から説明を受けたことは服用調節を「考える」ことを抑制する方向に、一方、製薬企業の問い合わせ窓口の利用頻度の増加は、服用調節を「考える」ことの促進方向に影響を及ぼすことが示唆された。
過去1年以内に外来受診による定期的な薬物治療を行っている患者を対象としたWeb調査により、医療従事者の情報提供に対する患者の満足度はインターネットよりも高く、希望する情報源としての患者の支持も高いこと、医療従事者の内訳として医師に並び薬局薬剤師が互角の存在であったことから、薬局においては薬剤師がその役割を十分に果たしていることが明らかとなった。
くすり相談窓口に関する調査結果及び前述の患者に対するWeb調査の結果も踏まえて、患者から問合せを受けて医薬品製造販売業者が患者に対して医療用医薬品に係る情報を提供する場合の留意事項をQ&A形式でとりまとめた。
抗がん剤治療を経験したがん患者を対象としたWeb調査により、治療開始時に薬剤師から説明を受けたことは服用調節を「考える」ことを抑制する方向に、一方、製薬企業の問い合わせ窓口の利用頻度の増加は、服用調節を「考える」ことの促進方向に影響を及ぼすことが示唆された。
過去1年以内に外来受診による定期的な薬物治療を行っている患者を対象としたWeb調査により、医療従事者の情報提供に対する患者の満足度はインターネットよりも高く、希望する情報源としての患者の支持も高いこと、医療従事者の内訳として医師に並び薬局薬剤師が互角の存在であったことから、薬局においては薬剤師がその役割を十分に果たしていることが明らかとなった。
くすり相談窓口に関する調査結果及び前述の患者に対するWeb調査の結果も踏まえて、患者から問合せを受けて医薬品製造販売業者が患者に対して医療用医薬品に係る情報を提供する場合の留意事項をQ&A形式でとりまとめた。
結論
「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」に基づく社内体制の整備等に関する調査は、個別の行政指導に利用することを目的に行ったものではないことから、各企業は、この結果も参考に、必要に応じ、ガイドラインに基づく社内体制について自主点検や検討を行い、適切な医療用医薬品の販売情報提供活動を行う体制を整備することが望まれる。
本研究でとりまとめた医薬品製造販売業者が医療用医薬品に係る情報を提供する場合の留意事項は、特に原則的な考え方を示すことが有用と考えられた事項を中心にまとめたものであり、患者から問合せを受けて医薬品製造販売業者が医療用医薬品に係る情報を提供するに当たっては、QAに記載されていない事項についても、医薬品製造販売業者は患者に対する薬物治療を阻害することがないことに心がける必要がある。
この留意事項により、製薬企業から患者に対して適切に情報提供が行われることにより、患者に対する適切な薬物治療が阻害されることなく、患者の医薬品情報に対するアクセスが改善されることを期待する。
本研究でとりまとめた医薬品製造販売業者が医療用医薬品に係る情報を提供する場合の留意事項は、特に原則的な考え方を示すことが有用と考えられた事項を中心にまとめたものであり、患者から問合せを受けて医薬品製造販売業者が医療用医薬品に係る情報を提供するに当たっては、QAに記載されていない事項についても、医薬品製造販売業者は患者に対する薬物治療を阻害することがないことに心がける必要がある。
この留意事項により、製薬企業から患者に対して適切に情報提供が行われることにより、患者に対する適切な薬物治療が阻害されることなく、患者の医薬品情報に対するアクセスが改善されることを期待する。
公開日・更新日
公開日
2021-06-04
更新日
-