保健機能食品に関する専門家と非専門家のリスク認知の差を解消した効果的なリスクコミュニケーション推進を目的とした研究

文献情報

文献番号
201924034A
報告書区分
総括
研究課題名
保健機能食品に関する専門家と非専門家のリスク認知の差を解消した効果的なリスクコミュニケーション推進を目的とした研究
課題番号
H30-食品-若手-004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
種村 菜奈枝(慶應義塾大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小野寺 理恵(札幌医科大学 医学部)
  • 柿崎 真沙子(名古屋市立大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
2,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
【研究全体の目的】
食品に関する専門家と非専門家のリスク認知の差を解消した効果的なリスクコミュニケーション推進のため,ベネフィット/リスク情報の質や消費者への伝達技法を提言する.

【分担研究1:誤誘導の解消に向けた検討に関する研究】
昨年度の機能性表示食品の届出表示およびキャッチコピー等の表示に関する実態調査の結果を踏まえて作成したベネフィット情報提供における論点を「リスクコミュニケーションの推進方策に関する検討作業部会(以下,専門家会議)」で討論後,それを踏まえたリスクコミュニケーションを一般消費者及び高校生を対象に実施すること,またベネフィット/リスク情報提供における論点(案)の作成方針を決定することを研究目的とした.

【分担研究2:基盤の違いを補足するための伝達方法の検討に関する研究】
食品に含まれる(機能性関与)成分の有効性及び安全性に関する一般消費者向け情報に含まれる難解語候補(本研究では,医学または臨床試験用語の専門用語を難解語候補と定義)を抽出した後,一般消費者を対象とした認知・理解度調査を実施した上で,難解語/理解乖離語を特定することを研究目的とした.特定した難解語/理解乖離語に対して,平易化表現(案)の提案を行うことが今年度の研究目的である.
研究方法
【分担研究1】
効果的なリスクコミュニケーション推進のための方策に関する検討作業部会を設置した後,専門家会議を開催した.討論を踏まえたベネフィット/リスクコミュニケーションを一般消費者及び高校生を対象に実施した上で,ベネフィット/リスク情報提供における論点集(案)の作成方針を決定した.

【分担研究2】
研究デザインは,無記名自己記入式質問紙調査とし,消費者パネルを対象に2019年6月に予備調査100例、2019年8月に本調査1000名で実施した.難解語候補525語の認知の有無を予備調査で確認し,認知割合80%以上の用語を除いた468語を本調査の調査対象語とした.本調査では,調査対象語の認知・理解度を調査し,難解語(認知割合80%未満の用語)及び理解乖離語(認知割合と理解度の差が20%以上の用語)を特定した.
結果と考察
【分担研究1】
専門家会議(産業界,アカデミア,及び消費者から構成された計14名の検討委員)を計3回開催した.「ベネフィットからリスクを考える」といった視点で,誤誘導を生じさせないためのメッセージの産出について,次の論点ごとに意見交換を行った.「論点1:対象者に関する表示乖離」,「論点2:保健の用途に関する表示乖離」,「論点3:機能性関与成分ごとのエビデンスのレポジトリ作成の必要性の有無」.専門家会議での討論結果を踏まえたリスクコミュニケーションを一般消費者及び高校生を対象に実施した.対象者のヘルスニーズを考慮したコミュニケーションが有用であった.

【分担研究2】
難解語候補に関する認知・理解度調査を,2019年6月に予備調査(100例)及び2019年8月に本調査(1000例)実施した結果,難解語446語および理解乖離語1語を特定した.難解語はいわゆる低認知語であり一般的に言葉が知られていない用語である.理解乖離語は認知しているが理解が不十分である用語である.後者の理解乖離語は,”デザイン”という1語であった.本調査で特定した446語の難解語および理解乖離語に対する平易化表現(案)を種村班で作成した.その後,種村班の研究代表者,研究分担者および一般消費者の観点を持つ研究事務の3名でエキスパート・レビューを行った.当班で提案した平易化表現(案)は,国語辞典等に記載されている一般的な意味とそれを基にさらに平易な言葉や表現に置き換えた改良版の意味例示を作成することで,各難解語の平易化作業を行った.
結論
【分担研究1】
効果的な食品のリスクコミュニケーションを推進するための方策として,リスク・ベネフィットの両面でのコミュニケーションに基づき,消費者が健康増進のために利活用可能な情報提供も重要である.

【分担研究2】
今後,食品の効果的なリスクコミュニケーション推進や臨床現場等での利活用に向け,本研究で作成したベネフィット/リスク情報提供の論点集や形態素解析用辞書の実証研究の実施とともに今年度特定した難解語および理解乖離語とそれぞれの用語における認知割合や認知割合と理解度の差,およびそれら各用語に対した当班内でエキスパート・レビューした平易化表現(案)の利活用が望まれる.

公開日・更新日

公開日
2020-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201924034Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,400,000円
(2)補助金確定額
3,400,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 86,220円
人件費・謝金 888,623円
旅費 233,300円
その他 1,408,456円
間接経費 784,000円
合計 3,400,599円

備考

備考
自己資金:584円、その他:15円

公開日・更新日

公開日
2021-10-12
更新日
-