レポーター遺伝子導入動物を用いたクロロプロパノール類の発がん機序の解明

文献情報

文献番号
201924031A
報告書区分
総括
研究課題名
レポーター遺伝子導入動物を用いたクロロプロパノール類の発がん機序の解明
課題番号
H30-食品-若手-001
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
高須 伸二(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 松下 幸平(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1,3-dichloro-2-propanol (1,3-DCP)は主に酸加水分解植物性たん白を原材料としたしょうゆ等の調味料の原材料やチーズ,穀物加工品など種々の食品に含まれる汚染物質である.1,3-DCPは肝臓および腎臓等に明確な発がん性を示すものの,遺伝毒性を含む発がん機序に関する情報は限定的である.本研究では,レポーター遺伝子導入動物であるgpt deltaラットを用いた遺伝毒性・発がん性包括的検索モデル及びgptラットを用いた肝中期遺伝毒性・発がん性試験法(GPGモデル)による1,3-DCPの発がん機序の解明を目指す.
研究方法
遺伝毒性・発がん性包括的検索モデルでは,6週齢の雄性gpt deltaラットに1,3-DCPを27, 80及び240 mg/Lの用量で13週間飲水投与した.投与終了後,血液学的検査及び肝臓の病理組織学的検索を実施した.GPGモデルでは,6週齢雄性F344系gpt deltaラットに1,3-DCPを50 mg/kg体重の用量で反復強制経口投与し,対照群には蒸留水を投与した.実験開始4週間後に2週間休薬して部分肝切除を行い,得られた切除肝組織を用いてgpt assayを実施した.部分肝切除の18時間後にdiethylnitrosamineを10 mg/kg体重の用量で単回腹腔内投与し,さらに1週間の休薬期間を設けた後に投与を再開した.実験開始13週間後に残存肝組織を採取し,肝前がん病変マーカーであるglutathione S-transferase placental form (GST-P)の免疫染色を実施した.
結果と考察
遺伝毒性・発がん性包括的検索モデルによる検索では,1,3-DCP投与群において赤血球系パラメータの変動が認められ,肝臓の病理組織学的検査の結果,小葉中心性肝細胞肥大が認められた.GPGモデルによる検索では,切除肝組織を用いたgpt assayの結果,1,3-DCP投与群においてgpt変異体頻度の明らかな増加が認められた.GST-Pの免疫染色では,1,3-DCP投与群において小葉中心帯の肝細胞がGST-Pに陽性を示したものの,GST-P陽性細胞巣については対照群と比して明らかな増加を認めなかった.
結論
GPGモデルによる検索の結果,1,3-DCPは肝臓において変異原性を示すことが明らかとなった.今後,腎臓における中期遺伝毒性・発がん性試験法を実施し,腎発がん機序における遺伝毒性の機序の関与についても検討する.また,遺伝毒性・発がん性包括的検索モデルにおける肝臓及び腎臓のレポーター遺伝子変異頻度解析を実施し,発がん標的臓器における遺伝毒性の関与を明らかにすると共に,全身諸臓器における病理組織学的検査を実施し,1,3-DCPの毒性影響を明らかにする.

公開日・更新日

公開日
2021-11-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-11-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201924031Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,000,000円
(2)補助金確定額
10,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 8,230,243円
人件費・謝金 0円
旅費 238,306円
その他 1,531,451円
間接経費 0円
合計 10,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2021-08-27
更新日
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