食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発のための研究

文献情報

文献番号
201924030A
報告書区分
総括
研究課題名
食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発のための研究
課題番号
19KA2001
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 堤 智昭(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 鈴木 美成(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 畝山 智香子(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
  • 井之上 浩一(立命館大学 薬学部)
  • 岡 明(東京大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
35,593,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品からのダイオキシン類(DXN)、難燃剤、有害元素等の有害物質の摂取量を推定する。またDXN対策の効果の検証や乳幼児への影響を調べるために、人体汚染の指標として母乳中のDXN濃度を分析し、その経年変化を調査する。さらに母乳からのDXN等が乳幼児の発育発達に与える影響を検討する。
研究方法
全国7~10地域で調製するトータルダイエット試料(TD試料)を用いてDXNs、PCB類、有害元素類摂取量を推定した。ヒ素や水銀については、形態別摂取量を推定した。食品中のダイオキシン類分析の迅速化・省力化を目的として、自動前処理装置を用いた分析法を検討した。有機フッ素化合物(PFCs)を対象として、具体的な分析法開発とモニタリング調査を実施した。出産1か月の母乳提供を求め(3地域、計約22名)、母乳中のDXNs濃度の測定と児の発育を評価した。
結果と考察
TD試料を用いて、DXNs(PCDD/PCDFs及びCo-PCBs)の国民平均一日摂取量を推定した。体重(50 kgと仮定)あたりのダイオキシン類の全国平均摂取量は0.46(範囲:0.19~1.00)pg TEQ/kg bw/dayと推定された。ポリ塩化ビフェニル(PCBs)の国民平均一日摂取量推定では、体重(50 kgと仮定)あたりでは8.4 ng/kg bw/dayと推定され、この値は日本の暫定耐容一日摂取量(TDI)の0.2%であった。ヒ素 (総ヒ素および無機ヒ素(iAs)を含むヒ素化学種),カドミウム,水銀 (総水銀及びメチル水銀 (Me-Hg)),鉛を含む33元素および5化学種の全国・全年齢層における平均摂取量 (推定1日摂取量) を推定した。主要な元素類の推定全国摂取量はカドミウム:17.2 μg/man/day、鉛:8.88 μg/man/day、スズ:152 μg/man/day、クロム:30.0 μg/man/day等と推定された。総ヒ素と無機ヒ素の全国摂取量は、それぞれ259 μg/man/day、14.0 μg/man/dayと推定された。総水銀とメチル水銀の全国摂取量は、それぞれ5.67 μg/man/day、4.62 μg/man/dayと推定された。自動前処理装置を用いて魚中のDXNs分析法を確認するため、マグロとブリを分析し、手作業による精製カラムを使用した従来法とダイオキシン類異性体の濃度を比較した。本分析法の異性体濃度の平均値は、従来法の89~128%であり、概して良好な分析結果であった。PFCsに関しては飲料に伴う食品の調査を目的で添加回収実験を行った結果、良好な回収率や再現性を得ることができた。本分析法を用いて、飲料水や市販飲料などを調査した結果、殆ど5 ng/L以下となった。初産婦の出産後1か月の母乳中のDXNs濃度を測定した母乳中のDXNs濃度(PCDDs+PCDFs+Co-PCBsの合計)は、平均 6.87pg-TEQ/g-fatであった。平均値の経緯をみると2013年度以降、横ばいを推移しており、それまで認められた漸減傾向が明らかではなくなってきている。
結論
DXNsの摂取量調査を実施した結果、平均一日摂取量は0.46 pg TEQ/kg bw/dayであった。DXNs摂取量は行政施策の効果などもあり経年的な減少傾向が示唆されている。しかし、依然としてTDIの11%程度を占めており、この値はDDT等の塩素系農薬やPCBsの摂取量がそれらのTDIに占める割合と比較すると非常に高い値である。今後もDXNs摂取量調査を継続し、DXNs類摂取量の動向を見守る必要があると考えられる。PCBsの摂取量調査を実施した結果、一日摂取量の全国平均値は420 ng/person/dayと推定された。体重あたりでは8.4 ng/kg bw/dayと推定され、この値は日本の暫定TDIの僅か0.2%であった。自動前処理装置を用いて魚中のDXNs分析を検討した結果、概して良好な分析結果が得られた。PFCsに関しては、LC-MS/MSによる分析では16種類のPFCsの一斉分析を確立した。国内で市販される飲料水(ボトル)、お茶、野菜ジュース、フルーツジュースを分析した結果、すべて目標とする定量の下限以下であった。2019年度に提供を受けた母乳中のDXNs濃度は、調査開始時からの長期間の漸減傾向の後、2013年以降は同レベルで推移しており、定常的なレベルに達していることが考えられた。

公開日・更新日

公開日
2020-10-09
更新日
2022-03-18

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-10-09
更新日
2022-03-18

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201924030Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
37,000,000円
(2)補助金確定額
37,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 22,978,210円
人件費・謝金 993,200円
旅費 1,777,842円
その他 9,844,108円
間接経費 1,407,000円
合計 37,000,360円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
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更新日
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