小規模事業者等におけるHACCP導入支援に関する研究

文献情報

文献番号
201924027A
報告書区分
総括
研究課題名
小規模事業者等におけるHACCP導入支援に関する研究
課題番号
H30-食品-指定-003
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
五十君 静信(東京農業大学 応用生物科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 朝倉 宏(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
  • 窪田 邦宏(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
20,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 平成30年公布の食品衛生法等を改正する法案では、全ての食品等事業者に対してHACCPによる衛生管理を義務づけることとしている。一方、小規模事業者等に対してコーデックスが規定するHACCPの導入をそのまま義務づけることは困難であり、小規模事業者等に対する弾力的な運用についての検討及び科学的知見の提供等の支援が必要である。本研究班では、HACCPの弾力的運用を必要とする小規模事業者等が手順書の作成、製造過程の検証手法に求められる事項の検討に必要と思われる科学的知見の収集、整理、提供等を行うことを目的とした。
研究方法
 研究班では、小規模事業者等向けの手順書を作成するため、以下に係る科学的知見の収集、提供等を行った。①食品業種毎(食品製造業等)における手引書作成の支援では、業界団体が手引書を作成するに当たり、科学的な観点から、危害要因分析、衛生管理の根拠となるデータの入手(文献等)及び提供、手引書(案)の作成及び取りまとめの支援を行った。②HACCPプランの作成における知見の収集では、食品等事業者や業界団体がHACCPプランを作成するにあたり、管理基準設定等の根拠となる食品ごとの加工条件等に係る知見を収集及び整理を行った。③諸外国の弾力的運用の実態及び食品に混入する異物に関する調査では、米国、EU等におけるHACCPに係る制度の運用状況について調査、分析・評価を行い、我が国における制度化にあたり、弾力的に運用すべき事項を整理した。これら3つの内容について、業界団体における手引書の作成状況等を踏まえ、各業種にそれぞれ必要と思われる科学的知見の整理、提供等を行った。
結果と考察
 深鍋調理品の冷却時における芽胞形成菌の挙動の検証では、45℃付近から生菌数が急激に増加するため、冷却方法の重要性を示した。低温増殖性のリステリアの検討では、ナチュラルチーズのタイプにより菌の消長は異なり、ソフトタイプのチーズの衛生管理の重要性が示された。生食用食鳥肉の製造加工に係る研究を通じて得られた知見を加味することで生食用食鳥肉加工のための衛生管理ガイドライン原案を作成した。加糖あんにおける水分活性及び糖度を平行的に測定し、その相関性を評価することで、水分活性の代替指標として糖度を用いることの妥当性を示した。海外のHACCPの弾力的運用状況の調査では、ヨーロッパのフランスにおける現地調査により、小規模事業者への食品衛生監視指導の運用実態を確認した。異物混入については、外部機関の情報提供を受けて事例のデータベース化を行った。
結論
 HACCPの制度化において、小規模事業者や一定の業種等を対象とした弾力的運用は、既にHACCPを導入している米国やEUでも採用されており、我が国がこのような弾力的運用を採用し実行するためには我が国の食品衛生の実情に合わせた検討が必要であり、本研究班ではその基礎となる科学的知見の収集、整理、提供等を行った。

公開日・更新日

公開日
2021-11-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-11-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201924027Z