健康食品の安全性確保に資する情報提供、品質確保、被害情報収集体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号
201924026A
報告書区分
総括
研究課題名
健康食品の安全性確保に資する情報提供、品質確保、被害情報収集体制の構築に関する研究
課題番号
H30-食品-指定-002
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
千葉 剛(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 山田 浩(静岡県立大学 薬学部)
  • 朝倉 敬子(東邦大学 医学部)
  • 梅垣 敬三(昭和女子大学 生活科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
18,175,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、プエラリア・ミリフィカを含む健康食品の摂取を原因とする健康被害が多数報告されたことを受け、食品衛生法の一部を改正する法律が公布された。その中には、「健康被害の発生を未然に防止する見地から、特別の注意を必要とする成分等を含む食品について、事業者から行政への健康被害情報の届出を求める。」ことが含まれており、事業者においては同時に、特別の注意を必要とする成分等を含む食品を製造するにあたって、その品質の確保が重要となる。本研究は「健康食品」の安全性・有効性情報サイト(HFNet)を活用し、情報提供、品質確保、被害情報の収集といった多面的な角度から健康食品の安全性を確保することにより、セルフケア実践のための環境を整えるための検討を行う。
研究方法
研究1)HFNetにおける健康食品と医薬品との相互作用情報の充実および実態の把握
研究期間中を通じ、健康食品と医薬品との相互作用に関する情報蓄積を継続的に進め、HFNetに100件の掲載を行う。
情報の活用の場である健康サポート薬局を対象に健康食品の相談体制についてアンケート調査を行う。また、女性ホルモン様作用および性機能改善をうたった製品の利用実態についてインターネットアンケート調査を行う。
研究2)健康食品(錠剤・カプセル状)の製造管理および原材料の安全性の確保
健康食品(錠剤・カプセル状)の製造管理および原材料の安全性の確保のため、健康食品の製造管理(GMP)および原材料の安全性確保に関するガイドラインを作成するとともに、現行制度の問題点、GMP導入にあたっての障害、さらには、GMPを導入できない事業者のための品質確保のための代替案を検討する。
研究3)有害事象の迅速・簡便な収集のためのアルゴリズムの実用化
事業者を対象にアルゴリズムと報告フォーマットの使用調査を行った。さらには食品業界の有識者に意見を伺うことにより、事業者用のフォーマットについて検証を行う。

研究1~3の結果を基に、注意すべき健康被害についてはHFNetにおいて積極的に情報提供を行う事によって、健康被害の拡大防止につなげる。
結果と考察
研究1)HFNetに健康食品と医薬品との相互作用情報126件の掲載を行った。また、指定成分候補(コレウス・フォルスコリー、ブラックコホシュ、プエラリア・ミリフィカ、ドオウレン)について薬物代謝酵素(CYP)への影響に関するレビューを行った。それ以外に、コラムの充実、Facebook、Twitterを介した一般消費者への情報提供を積極的に行った。
アンケート調査により、保険薬局に比較して、健康サポート薬局で栄養士・管理栄養士の在籍が高く、栄養相談へ多く対応していることが明らかとなった一方で、栄養士・管理栄養士を雇用する際の課題も明らかとなった。
15~69歳の女性を対象とした調査により、サプリメント利用率は47.8%、内女性ホルモン様作用を標榜するサプリメント利用率は30.5%であった。さらに、サプリメント利用者の4.8%がプエラリア・ミリフィカを含む製品を利用しており、一部は体調不良(女性ホルモン特有の被害を含む)を経験していた。
成人男性を対象とした調査により、サプリメント利用経験者の約2割が性機能改善製品の利用経験があり、その内の約1割が体調不良を経験していた。
研究2)各業界のヒアリングと安全性評価の最新の情報をもとに錠剤、カプセル状等食品の原材料の安全性に関する自主点検ガイドライン及びそのフローチャートを改訂し、その素案を作成した。また平成30年度研究成果の指定成分等のGMP素案を改良し、告示案(骨子案)を作成した。
機能性表示食品(905製品)のGMP認証率は94.4%(854製品)であり、機能性表示食品においては概ねGMPに対応している実態が明らかとした。
研究3)「指定成分等含有食品」の健康被害情報の届出を行う際に用いる報告フォーマットについて、食品業界の有識者、厚労担当官同席の下、分担研究班および全体の研究班にて検討を行い、研究班としての最終版を確定した。
健康食品による有害事象報告におけるアルゴリズムについては、医療従事者(医師、薬剤師、登録販売者)に架空事例を用いた使用調査を行った結果、アルゴリズムは一定の妥当性を有することが示された。
結論
改正食品衛生法 第8条に対応するため、これまでのGMP制度の見直しおよび健康被害の報告フォーマットの検証を行った。同時に、実際に健康食品を利用する消費者に対して相談を行う健康サポート薬局、さらにはそこで働く薬剤師、栄養士・管理栄養士、アドバイザリースタッフの役割は重要であることから、アドバイスの際に参考となるHFNet掲載情報の充実を図る必要がある。

公開日・更新日

公開日
2020-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-06-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201924026Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
23,625,000円
(2)補助金確定額
22,746,351円
差引額 [(1)-(2)]
878,649円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,955,350円
人件費・謝金 7,728,448円
旅費 684,028円
その他 4,928,525円
間接経費 5,450,000円
合計 22,746,351円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-06-27
更新日
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