植物性自然毒による食中毒対策の基盤整備のための研究

文献情報

文献番号
201924014A
報告書区分
総括
研究課題名
植物性自然毒による食中毒対策の基盤整備のための研究
課題番号
H30-食品-一般-008
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
登田 美桜(国立医薬品食品衛生研究所安全情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 一成(国立医薬品食品衛生研究所生化学部)
  • 南谷 臣昭(岐阜県保健環境研究所食品安全検査センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
自然毒のうち「植物性自然毒」に焦点をあて、それを原因とする食中毒事件の発生予防と原因究明に役立てることを目的とした。食中毒の発生時に植物性自然毒が原因として疑われた場合には、当該地域の地方衛生研究所(以下、地研)が中毒残品の化学的分析と遺伝子解析により原因となった植物種/毒成分の同定を行う。そのため本研究では、全国の地研に設置されている分析機器を考慮して化学的分析(研究課題1)と遺伝子解析(研究課題2)の標準法の開発を目指す。さらに、今後の食中毒の重点的な予防策の検討に資する情報研究(研究課題3)に取り組む。
研究方法
化学的分析では液体クロマトグラフ-タンデム質量分析計(LC-MS/MS)による毒成分の多成分同時同定法を、遺伝子解析ではリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法と野外で実施可能なLoop-Mediated Isothermal Amplification(LAMP)法を応用した植物種の同定法の開発を検討する。情報研究では、信頼性の高い情報源として国・地方自治体が有毒植物による食中毒について消費者に向けてどのような情報提供を行っているのかを調査する。また、食中毒の発生時の迅速な原因究明につなげるために地研の研究者等の意見をもとに情報共有ネットワークについて検討する。
結果と考察
研究課題1:昨年度の研究でLC-MS/MSによる分析の対象とすべき毒成分として有毒植物の44成分と有毒キノコの12成分を選定した。今年度は、調理済み食品中の毒成分を定量するための前処理法として、抽出時にトリクロロ酢酸溶液を加えて除タンパク処理を行い、脂質除去機能を有する精製カートリッジを通液した後、希釈するという簡易な操作フローを構築した。有毒キノコの成分分析ではいくつか解決すべき課題が残されたが、有毒植物の成分分析については概ね良好な結果が得られた。
研究課題2: LAMP法を用いた有毒植物5種(トリカブト、イヌサフラン、バイケイソウ、スイセン、チョウセンアサガオ)に対する検査法を開発するため、各植物に特異的なプライマーを設計し、その性能確認を行った。スイセンを除く有毒植物4種について、食用植物20種とも交差反応しない検出系を確立できた。さらに昨年度までに遺伝子配列に基づく特異的な検出同定法を、中毒事例が多いキノコ2種、植物5種について簡易法と確定法のそれぞれの検出法を確立してきた。それらの検出法を広く使用してもらうために、関連情報をまとめて整理した自然毒データベースMushPlantを作製して公開した。
研究課題3:国や都道府県、政令指定都市が有毒植物を原因とする食中毒についてどのような情報を提供しているのかを調査した結果、自治体によって提供する情報の質、量ともに大きく異なり、東日本に位置する自治体の方が充実していた。中には独自に注意喚起のためのリーフレット/パンフレットを作製している自治体もあった。それらは今後、自治体に関係なく広く利用できるリーフレット/パンフレットを作成する際に参考となる。さらに、食中毒の原因特定の最前線に位置づけられる全国地研の研究者等の意見を聞き取り、原因究明を行う上での現状と問題点について調査し、改善のための方策を検討中である。
結論
植物性自然毒の原因となる植物種/毒成分を同定する分析法の開発を行っている。化学的分析については、調理済み食品への適用を検討した結果、有毒植物の成分分析については概ね良好な結果が得られ、調理済み中毒残品中の毒成分を同定、定量する試験法として有用であると考えられた。今後、試験室間共同試験を実施した上で全国地研が広く導入できるような標準法にすることを目指す。遺伝子解析については、LAMP法を用いた有毒植物の同定法の開発で課題が残されたため、それらを今後改良する。化学的分析と遺伝子解析ともに、最終的に標準法が確立されれば、地研の検査技術を一定の水準に保つことができ、植物性自然毒による食中毒発生時の迅速な原因究明につながることが期待される。また、これまで開発した遺伝子解析による同定法の情報共有につながる植物性自然毒データベースMushPlantを確立できた。さらに情報研究では、国や自治体関係者も広く利用可能な植物性自然毒に関する注意喚起や情報提供のリーフレット又はパンフレットの作成を目指しており、その参考となる情報を得ることができた。

公開日・更新日

公開日
2020-06-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-06-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201924014Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,630,000円
(2)補助金確定額
5,621,000円
差引額 [(1)-(2)]
9,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,386,604円
人件費・謝金 0円
旅費 523,070円
その他 82,051円
間接経費 630,000円
合計 5,621,725円

備考

備考
8,275円を支出しなかったことから、超過交付となり、金9,000円を返還済みである。

公開日・更新日

公開日
2021-08-27
更新日
-