食品由来が疑われる有症事案に係る調査(食中毒調査)の迅速化・高度化に関する研究

文献情報

文献番号
201924001A
報告書区分
総括
研究課題名
食品由来が疑われる有症事案に係る調査(食中毒調査)の迅速化・高度化に関する研究
課題番号
H29-食品-一般-001
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
大西 真(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 林 哲也(九州大学 大学院医学研究院)
  • 大岡 唯祐(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 鈴木 匡弘(藤田医科大学 医学部)
  • 砂川 富正(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
27,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食中毒の迅速な探知を実施するため、全国地方衛生研究所(地衛研)と国立感染症研究所は腸管出血性大腸菌(EHEC)分離株の分子型別が実施されてきた。IS-printing (IS-P)法とMLVA法が感染研と一部の地衛研で実施可能となっている。これらの方法の対象範囲を拡大するとともに、新規簡易迅速型別法(PCR-based ORF typing, POT法)をEHECにも利用可能とすることで、より迅速で高精度の解析手段の開発を目標とする。また、わが国では分子型別法データと疫学情報との統合が困難となっているため、分子型別法の結果と疫学情報を効率良く簡便に統合するシステムも合わせて開発することを目的とした。
研究方法
迅速型別法に関して、昨年度までに開発した系について複数の地方衛生研究所に試行を依頼し、その精度等を検討した。問題点の抽出、評価がなされた。新規の検査系開発プログラムを開発した。高精度な比較手法であるMLVA法の対象を拡大した方法も実践で活用し、その評価を行った。MLVA-NESIDデータ突合プログラムの実際に使用し、また広域散発事例探知システムを試行させた。
結果と考察
EHEC O121, O103, O111に対するIS-P法およびPOT法の開発が進められ、地方衛生研究所における試行を経て、開発が終了した。MLVA43法は実証が行われ利用可能であることが示された。POT法においては、O121及びO157以外の多様な血清型において良好な菌株識別能力を実現した。NESIDの過去データから算出したベースラインとの比較により、2018年に開発した広域事例疑い探知システムの改良を行い、2019年6月より本格的に稼働させた。主な改良点は、2018年データを用いた試行結果から、発生頻度を考慮しつつ迅速に情報提供を行うためのアラート閾値を設定したことである。結果として、6月以降に計4回厚生労働省の関係部局への情報提供を行い、調査へとつなげた。
結論
MLVA43法およびIS-PとPOT法の組み合わせにおいて様々な施設で解析が可能となり、NESIDデータを用いた広域散発事例の早期探知と組み合わせることで、広域集団事例の発生時にも迅速な対応の準備が完了したと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2020-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201924001B
報告書区分
総合
研究課題名
食品由来が疑われる有症事案に係る調査(食中毒調査)の迅速化・高度化に関する研究
課題番号
H29-食品-一般-001
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
大西 真(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 林 哲也(九州大学 大学院医学研究院)
  • 大岡 唯祐(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 鈴木 匡弘(藤田医科大学 医学部)
  • 砂川 富正(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食中毒の迅速な探知を実施するため、全国地方衛生研究所(地衛研)と国立感染症研究所は腸管出血性大腸菌(EHEC)分離株の分子型別が実施されてきた。IS-printing (IS-P)法とMLVA法が感染研と一部の地衛研で実施可能となっている。これらの方法の対象範囲を拡大するとともに、新規簡易迅速型別法(PCR-based ORF typing, POT法)をEHECにも利用可能とすることで、より迅速で高精度の解析手段の開発を目標とする。また、わが国では分子型別法データと疫学情報との統合が困難となっているため、分子型別法の結果と疫学情報を効率良く簡便に統合するシステムも合わせて開発することを目的とした。
研究方法
EHEC菌株のゲノム情報の利用および新規取得、参照株のISの分布解析(IS-P法)、特異的ORFの検索(POT法)、リピート配列の探索と選定(MLVA法)がなされた。またNESID情報の解析プログラムを作成した。
IS-P法:参照株ゲノムを精査し、各株に存在する主要ISの詳細情報を取得した。最も解像度の高い標的部位を効率的に選抜できる解析パイプラインを構築した。地衛研に配布して現場での試用を依頼した(プロトタイプの検証)。POT法:データベースからダウンロードしたゲノムデータを比較、検討し、解析対象ORFを選抜した。
高精度な比較手法の開発:O121, O103, O145, O165 および O91のゲノムデータを取得し、MLVA法プロトタイプを作成した。H27-28年分離株を用いて検証するとともに、感染研に提供されたH30-R1年の分離株に対しても利用した。
調査手法の整備:疫学情報から広域発生事例を迅速探知するシステムを構築した。年間を通じて運用し、いくつかの課題が明らかにした。菌株情報(MLVAデータ)と患者情報(NESIDデータ)を突合するプログラムを作成した。
結果と考察
IS-P法:地衛研に配布して現場でのプロトタイプの検証の結果、いくつかの問題点が浮上したのでその改善に取り組んだ。O121およびO103に関しては、効率的に選抜できる解析パイプラインを構築し、再検討を行った。EHEC O121, O103, O111の最終版の完成に至った。既存のEHEC用POT法の菌株識別能力向上に寄与する9個のORFを特定することに成功した。改良型POT法の検証が全国地方衛生研究所の協力で実施された。O121及びO157以外の多様な血清型においてD index 0.997(O111)~0.961 (O145)と良好な菌株識別能力を実現した。MLVA43法は実証が行われ利用可能であることが示された。MLVAデータの統一的分析手法も提案し、運用を開始した。NESIDの過去データから算出したベースラインとの比較により、特異な患者報告数の増加を機械的に探知するシステムを用いて広域事例疑い探知システムの開発し、2019年6月より本格的に稼働させた。主な改良点は、2018年データを用いた試行結果から、発生頻度を考慮しつつ迅速に情報提供を行うためのアラート閾値を設定したことである。結果として、6月以降に計4回厚生労働省の関係部局への情報提供を行い、調査へとつなげた。
結論
MLVA43法およびIS-PとPOT法の組み合わせにおいて様々な施設で解析が可能となり、NESIDデータを用いた広域散発事例の早期探知と組み合わせることで、広域集団事例の発生時にも迅速な対応の準備が完了したと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2020-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201924001C

収支報告書

文献番号
201924001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
30,000,000円
(2)補助金確定額
27,863,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,137,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 14,829,327円
人件費・謝金 6,667,488円
旅費 1,865,331円
その他 2,101,187円
間接経費 2,400,000円
合計 27,863,333円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2021-08-27
更新日
-