文献情報
文献番号
201923019A
報告書区分
総括
研究課題名
自動走行可能な自律制御運搬台車の機能安全の実証手順開発
課題番号
19JA1005
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
澤田 浩之(株式会社アラキ製作所 営業統括部 企画開発グループ)
研究分担者(所属機関)
- 黒川 功太郎(株式会社アラキ製作所 技術統括部 機械設計課)
- 酒井 英希(株式会社アラキ製作所 技術統括部 電気設計課)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
6,836,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
高齢化・労働人口減少問題や更なる生産効率の向上を目的とした作業・物流の支援(省力化・省人化)のための自動化・自律化への必要性及びニーズが高まり、様々な技術革新により協働ロボットをはじめとした人-機械の協調を前提とした機械・装置・システムの開発・導入が進んで来ました。
また、平行して労働安全を目的とした機能安全を活用した機械設備の安全対策やその妥当性確認への取組み、国際規格に基づいた導入要点のまとめ等が推進されて来ました。(参考文献:厚生労働省HP掲載、機能安全活用テキスト)しかしながら、それらは固定された装置や機械構成が前提となっており、特に自動走行可能な自律制御機械に対しての、開発・導入に向けた要点や、リスクアセスメント事例、安全確保についての安全機能の要求水準を満たす具体的な指針は不足していると言えます。
本研究では、Safety2.0の概念に基づき、リスクアセスメントを実践し保護方策を織り込んだ実証試験機にて自律制御時の各種データを収集し、それを元に機能安全の要求水準を満たす指針の実証手順の開発を目的とします。
また、平行して労働安全を目的とした機能安全を活用した機械設備の安全対策やその妥当性確認への取組み、国際規格に基づいた導入要点のまとめ等が推進されて来ました。(参考文献:厚生労働省HP掲載、機能安全活用テキスト)しかしながら、それらは固定された装置や機械構成が前提となっており、特に自動走行可能な自律制御機械に対しての、開発・導入に向けた要点や、リスクアセスメント事例、安全確保についての安全機能の要求水準を満たす具体的な指針は不足していると言えます。
本研究では、Safety2.0の概念に基づき、リスクアセスメントを実践し保護方策を織り込んだ実証試験機にて自律制御時の各種データを収集し、それを元に機能安全の要求水準を満たす指針の実証手順の開発を目的とします。
研究方法
《初年度》改めて現在の国内外規格を、自律(AI)制御装置の導入を前提に精査(ハード・ソフト両面の安全機能の要求水準を確認)し、最新技術や環境、客先ニーズに照らし合わせてリスクアセスメントを検討・実施した。それらを踏まえて実証試験装置の構想・検討を実施、ここまでの作業を繰り返し試験装置の製作を開始した。当然、現在導入が進んでいる各メーカーの装置・システムには様々な開発が織り込まれているが、試験装置の制御自体には特別な開発は含まず、一般的なSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)制御と、画像処理(OpenVINO)を使ったシステムによる運行にて試験を実施する。
リスクアセスメントの実践に先立って、一般的なRA手法と基準に乗っ取りつつ、
1)危険源種類・ライフサイクル毎作業工程の同定表作成(装置構成要素分類、作業工程の仮定)
2)安全機能チェック表作成(内外の規格を精査し関連規格と必要な認証プロセスをピックアップし紐付け)
3)リスクアセスメントシート(保護方策及び安全防護物の明確化、機器関連規格情報の紐付け)
4)RA実施後のリスク評価及びチェック結果一覧(残留リスクの明確化)
これらを一式の資料として作成。
《次年度》実証試験装置の製作(初年度、研究計画自体が採択後の研究期間の考慮不足から相当な遅れが発生。これに対して自身及び研究協力者のエフォート率の増加及びメンバーの増員で対応中)を継続中。選定した機器やセンサ類の規格適合状況の確認と共に、安全機能の要求水準を満たす実装根拠となるデータ(主に「CE適合宣言書」「第三者認証機関の認証」「各規格準拠情報(PL:Performance Level、Cat.:Category、SIL:Safety Integrity Level)」)を収集し、各機器のスペック比較基準を明確化する。収集データの内容について、専門家・有識者にアドバイスを頂きながら妥当性を都度確認しセンサの検出精度やAIの算出結果と人の認識の違いを、どう実証手順に織込むか協議して行く。
《次々年度》検討内容と実証試験データのまとめ。収集データを含め研究結果を公表して行く。
リスクアセスメントの実践に先立って、一般的なRA手法と基準に乗っ取りつつ、
1)危険源種類・ライフサイクル毎作業工程の同定表作成(装置構成要素分類、作業工程の仮定)
2)安全機能チェック表作成(内外の規格を精査し関連規格と必要な認証プロセスをピックアップし紐付け)
3)リスクアセスメントシート(保護方策及び安全防護物の明確化、機器関連規格情報の紐付け)
4)RA実施後のリスク評価及びチェック結果一覧(残留リスクの明確化)
これらを一式の資料として作成。
《次年度》実証試験装置の製作(初年度、研究計画自体が採択後の研究期間の考慮不足から相当な遅れが発生。これに対して自身及び研究協力者のエフォート率の増加及びメンバーの増員で対応中)を継続中。選定した機器やセンサ類の規格適合状況の確認と共に、安全機能の要求水準を満たす実装根拠となるデータ(主に「CE適合宣言書」「第三者認証機関の認証」「各規格準拠情報(PL:Performance Level、Cat.:Category、SIL:Safety Integrity Level)」)を収集し、各機器のスペック比較基準を明確化する。収集データの内容について、専門家・有識者にアドバイスを頂きながら妥当性を都度確認しセンサの検出精度やAIの算出結果と人の認識の違いを、どう実証手順に織込むか協議して行く。
《次々年度》検討内容と実証試験データのまとめ。収集データを含め研究結果を公表して行く。
結果と考察
本研究の目的である安全機能の実証手順開発には、先ずは適切なリスクアセスメントの実践が不可欠であると考えます。しかし、従来のリスクアセスメントでは専門家や経験豊富な人材の支援が無ければリスク低減の妥当性を検証する事は困難で、危険源の同定漏れや保護方策に対するリスク低減の評価が不適切になりがちと考えられました。前提条件や様々な情報をリスクアセスメント時点に準備する事で後の3ステップメソッドによる保護方策検討からの反復的なリスク低減プロセスを短縮出来たと共にリスクアセスメントを実践する者の能力差の影響を少なく出来たと考えられます。
結論
本研究対象である、自動走行可能な自律制御機械に対してリスクアセスメントとリスク低減サイクルを実践した結果から、リスク低減の各ステップでの方策(情報提示によるリスク低減は除く)により意図した低減が達成されているか、特に自律制御部分に関しては機械の認識とその結果による動作が人のそれとどれくらいの差があるかが大きな課題となると考えられます。単純に人の認識との比較は困難なため、リスク低減の妥当性検証と機能安全の要求水準を満たすかを、機械の認識を各種の条件下でデータを収集し機能安全の要求水準を満たすかの検証を実施します。
公開日・更新日
公開日
2020-11-19
更新日
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