製造現場におけるIoTを活用した安全管理システムに関する研究

文献情報

文献番号
201923017A
報告書区分
総括
研究課題名
製造現場におけるIoTを活用した安全管理システムに関する研究
課題番号
19JA1003
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
梅崎 重夫(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 )
研究分担者(所属機関)
  • 清水 尚憲(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所)
  • 齋藤 剛(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所)
  • 濱島 京子(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
2,765,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和元年度は、国内外の先行技術調査を実施した後に製造現場におけるIoTを活用した階層的安全管理システムの開発に関する研究を行った。
研究方法
先行技術調査では、文部科学省所管のJDreamⅢ、特許庁の特許情報プラットフォーム、国立情報学研究所のCiNii及びGoogle検索を対象に実施した。また、階層的安全管理システムの開発では、作業空間内における人と機械の識別と存在位置検知を高い信頼性で行う装置として、独自の可視光通信機能を備えた装置(カシオ計算機株式会社製ピカリコ)などを選定し、実験的検討を進めた。
結果と考察
1)国内外の先行技術調査は、文部科学省所管のJDreamⅢ、特許庁の特許情報プラットフォーム、国立情報学研究所のCiNii及びGoogle検索を対象に実施した。その際、当研究所が実施した「ITを活用した安全衛生管理システム構築の手引き」(2009)と、当研究所、厚生労働省及び日本鉄鋼連盟が連携して実施した「ITを活用した新しい安全衛生管理手法の構築に関する実証試験報告書」(2007、2008)に記載された内容を基盤(最先行)技術とした。
 その結果、IoTに関しては、著者らも研究を進めてきた人間機械協調システム、経済産業省が進めているConnected Industries、国土交通省が進めているi-Construction、ICTを活用した人体のウェアラブルセンサなどの分野で先行研究が認められた。また、IoTに関する研究では、本研究で提唱している「モノのインターネット」の「モノ」に人を含める研究が前述した日本鉄鋼連盟の傘下にある企業でIoHまたはIoXと称して進められ、製品化も実施されていた。これに対し、「作業空間内における人と機械の空間状態の把握」及び「作業者支援システムの構築」では類似する研究はあるものの、明確な先行研究は認められなかった。
2)国内外の実態調査では、日本国内の次世代型物流施設1社と安全装置メーカー2社の現地調査、及びドイツとオランダの専門家に対するヒアリング調査を行った。その際、IoTだけでなく、ICT、AI、5Gなどの技術動向も含めて調査を実施した。
 この調査で明らかになったのは、既に日本国内でもIoTを利用して安全衛生管理を行うことが一般的となっていることである。
3)本研究では、作業空間内における人と機械の識別と存在位置検知を高い信頼性で行う装置として、独自の可視光通信機能を備えた装置(カシオ計算機株式会社製ピカリコ)を選定した。この装置では、人と機械にLED灯を取り付け、このLED灯の発行色(赤、緑、青)を100msec単位で24個の順列として変化させ(したがって1種類の情報の送信には2.4secが必要)、その変化をカメラで受信することで人と機械の識別と存在位置検知を三次元的に行う。したがって、この装置は数10msec単位の迅速な応答が要求される現場には向かないが、外乱の要因となる太陽光(直流光)との識別も可能であり、かつ死角が生じないように複数のカメラを受信器として配置できれば、人と機械の識別と存在位置検知が可能と考えられる。
 実験の結果、本装置の水平方向の測定誤差は欠損率が問題にならないという条件の下で400mm程度、垂直方向の測定誤差は20mm程度であり、作業者と機械の危険源の接近検知用として十分な精度で三次元計測を行えることが確認できた。ただし、この装置では三次元位置計測の欠損率と測定誤差はトレードオフの関係にあるため、欠損率と測定誤差の両方を満足できるように最適設計を行う必要がある。
結論
 先行技術調査の結果、日本国内でもIoTを利用して安全衛生管理を行うことが一般的となっていた。ただし、安全に関しては制御安全の観点から十分な検討がされていないと考えられた。
 また、階層的安全管理システムの開発では、作業空間内における人と機械の識別と存在位置検知を高い信頼性で行う装置として、独自の可視光通信機能を備えた装置(カシオ計算機株式会社製ピカリコ)などが有用と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2020-11-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201923017Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,465,000円
(2)補助金確定額
2,752,990円
差引額 [(1)-(2)]
712,010円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 270,138円
人件費・謝金 0円
旅費 824,205円
その他 958,647円
間接経費 700,000円
合計 2,752,990円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-11-19
更新日
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