災害時等の産業保健体制の構築のための研究

文献情報

文献番号
201923011A
報告書区分
総括
研究課題名
災害時等の産業保健体制の構築のための研究
課題番号
H30-労働-一般-007
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
立石 清一郎(産業医科大学 保健センター)
研究分担者(所属機関)
  • 森 晃爾(産業医科大学 産業生態科学研究所)
  • 久保 達彦(広島大学 公衆衛生学)
  • 岡崎 龍史(産業医科大学 産業生態科学研究所)
  • 中森 知毅(横浜労災病院 救急災害医療部)
  • 三田 直人(横浜労災病院 救急災害医療部)
  • 鈴木 克典(産業医科大学病院 感染制御部)
  • 吉川 悦子(高橋 悦子)(日本赤十字看護大学 地域看護学)
  • 真船 浩介(産業医科大学 産業生態科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
3,195,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
災害発生時に機能する産業保健専門職の研修を強化して、全国に広げていく方法を検討した。
研究方法
2019年度は7つの研究による検討を行った。
結果と考察
自治体職員の災害時の健康管理の実践を行うためには、①自治体職員の健康確保のための事前の準備、②実効性を持たせるための方策、③職員支援のための具体的スケジュール、が重要であることが示された。医療機関による検討では外部支援へのためらいがあることからコーディネーター派遣の可能性について示唆された。新興感染症に関する検討では災害産業保健マニュアルのニーズリストについて、新興感染症に適応するために、8つの提案事項が抽出された。①フェーズ0(P0)感染拡大準備期の設定について、②感染期に備えた衣食住の準備の必要性の明記、③生物学的ハザードおよび特定危険行為の確定、④有症状者や濃厚接触者が出勤せず周囲に感染させないための仕組みづくり、⑤ボトルネック資源の確保、⑥易感染性など影響を受けやすい職員の安全確保、⑦急遽テレワークをせざるを得なくなった職員の健康障害防止および生産性の確保、⑧対策本部への提言を行うためのポジション確保。災害時のメンタルヘルス対応による検討では、産業医に対する研修ボリュームが大きすぎるためにICTなどを用いた研修会の在り方が示唆された。災害産業保健マニュアルの改訂に関する研究では107のニーズ一つひとつに対して、必要と思われる事前準備項目について検討され、5カテゴリー、30項目から成る事前準備アクションチェックリストが作成された。 コンピテンシーを検討する研究では探索的因子分析の結果、因子負荷量が低いなどの理由で7項目が除外され、残りの22項目について、最尤法を用いプロマックス回転にて分析した。3因子が抽出され、第1因子<組織調整力>、第2因子<状況に応じた実践力>、第3因子<産業保健専門職としての一貫性>の要素が抽出された。 企業、自治体職員あるいは医療機関の災害対応に対する災害産業の教育プログラムの具体的な方法を検討した。産業医学的な視点がないところから、現在作成している災害産業保健マニュアルに沿ったもの、並びに災害時にほとんどの場合に発生するメンタルヘルスに対応するためには初動としてはメンタルヘルス対策が入りやすいことが示唆された。
結論
災害時の産業保健は通常の産業保健活動の延長線上にある一方で、独特の考え方から自社の災害時に役に立つ産業医であっても一定の教育が必要であると考えられた。一方で、災害派遣についてはいくつかの災害に際して派遣要請を聴取しても躊躇するケースばかりで派遣チームを作成してもそのままでは機能しない可能性が高い。したがって、3段階の災害産業保健への貢献方法を研究班で模索した。
【事前協定型】災害産業保健派遣チームと受援者チームが事前協定を結ぶことで準備の部分から関わり対応できる方策
【要請対応型】災害産業保健派遣チームを準備しておき依頼者からの求めに応じ派遣できるメンバーを現地派遣し指導を行う方策
【情報提供型】受援者が受援負担を心配するケースにおいては産業保健ニーズを的確に把握できるためのニーズ集をダウンロードなど入手しやすい形で提供を行う方策
これらの対応がうまくいくような研修プログラムとツールの作成が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2020-11-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-11-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201923011Z