製造業における高年齢労働者の労働災害予防に関する研究

文献情報

文献番号
201923008A
報告書区分
総括
研究課題名
製造業における高年齢労働者の労働災害予防に関する研究
課題番号
H30-労働-一般-004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
佐伯 覚(産業医科大学 医学部 リハビリテーション医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 松嶋 康之(産業医科大学 医学部 リハビリテーション医学講座)
  • 越智 光宏 (産業医科大学 医学部 リハビリテーション医学講座)
  • 加藤 徳明(産業医科大学 医学部 リハビリテーション医学講座)
  • 伊藤 英明(産業医科大学 医学部 リハビリテーション医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
1,898,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 わが国では労働人口の高齢化が急速に進んでおり、高年齢労働者の労働災害(労災)が若年労働者に比べて増加傾向にある。労災の大部分は労働者の「不安全行動」に起因するが、加齢に伴う心身機能の低下も重要な要因であり、視力低下・筋力低下・バランス能力低下などにより、危険回避行動の遅れや転倒・転落などを生じている。また、高年齢労働者は、若年労働者に比べて被災した場合にその程度が重くなる傾向があり、長期にわたる休業を余儀なくされている。そのため、高年齢労働者の労災を防止するための対策が喫緊の課題である。
 本研究では、製造業における高年齢労働者の身体的特有の労災のリスク要因を同定し、労災防止対策を作成することを目的とする。
研究方法
 本研究では、1.文献調査(平成30~令和元年度)、2.労災防止対策立案(平成30~令和元年度)、3.外部評価(令和元年度~2年度)にて対策案の実行性と適用を検討し、4.対策案の最終決定(令和2年度)、5.情報公開(令和2年度)を行う。
 本年度については、上記1、2及び3を実施する。すなわち、GRADEシステムの手順に則り、GLグループで分析枠組みならびにKQ1~4を設定するとともに、GLスコープを作成し、文献調査の基本資料としてSRチームへ提供する。SRチームではシステマティックレビューに基づく文献調査を行い、得られたエビデンスの評価・統合結果に基づき、最終的な推奨レベルをGLグループで決定する。
結果と考察
 KQ1:リスク因子評価または体力測定などの評価・介入により、転倒に関連する労働災害事故が減少するか? 【推奨】リスク因子評価または体力測定などの介入により、リスク因子評価や体力測定、運動介入を行うことは、労働者の転倒・躓き等の労災事故の予防に繋がることが予測される 
(*推奨の強さ=強い推奨、エビデンスの確実性=弱、グレード1C)。
 KQ2:その労働者は転倒に関連する労働災害事故に関して、「高リスク」か? 【推奨】年齢が増加すること、男性よりも女性であることが転倒に関連する労災事故に関して高リスクであるといえる。また、床摩擦係数などの環境因子も考慮にいれるべきである(*推奨の強さ=強い推奨、エビデンスの確実性=高、グレード2B)。
 KQ3:労働者が転倒に関連する労働災害事故の「高リスク」の場合、運動介入は有効か?【推奨】労働者が転倒に関連する労災事故の「高リスク」の場合、運動介入を行うことを提案する(*推奨の強さ=強い推奨、エビデンスの確実性=弱、グレード1C)。
 KQ4:労働者が転倒に関連する労働災害事故の「高リスク」の場合、介入に伴う害は利益を上回るか? 【推奨】労働者が転倒に関連する労災事故の「高リスク」の場合、介入を行うことを提案する(*推奨の強さ=強い推奨、エビデンスの確実性=弱、グレード1C)。
結論
 各KQにおいて、エビデンスの高い無作為化試験がほとんどなく、コホート研究などの観察研究にとどまることが多く、概してエビデンスレベルは弱いものであった。しかし、益と害のバランス、労働者の価値観・希望、コスト評価、職場での適応性などの点では極めて有用であり、総合評価ではいずれも強い推奨となった。
 本推奨結果に関して、「分担研究3.外部評価」で現場の産業医・産業保健スタッフに評価を実施し、内容をブラッシュアップし、労災防止計画の一案として本指針を最終決定する予定である。

公開日・更新日

公開日
2020-11-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-11-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201923008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,467,000円
(2)補助金確定額
2,288,000円
差引額 [(1)-(2)]
179,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 67,456円
人件費・謝金 739,337円
旅費 429,250円
その他 483,732円
間接経費 569,000円
合計 2,288,775円

備考

備考
物品費支出が増え支出合計が775円オーバーしたため、超過分は自己資金支払いとしています。

公開日・更新日

公開日
2020-11-19
更新日
-