医療機関における最新の院内感染対策及び発生時対応のための研究

文献情報

文献番号
201922056A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関における最新の院内感染対策及び発生時対応のための研究
課題番号
19IA1005
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
八木 哲也(名古屋大学 大学院医学系研究科 臨床感染統御学)
研究分担者(所属機関)
  • 村上 啓雄(岐阜大学医学部 地域医療医学センター)
  • 三鴨 廣繁(愛知医科大学 大学院医学系研究科 臨床感染症学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
2,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究課題では、近年の最新の情報や知見を集約して、
1)平成26年に発出された政局課長通知「医療機関における院内感染対策について」の更新
2)「医療機関における院内感染対策マニュアル作成のための手引き(案)(070413 ver. 3.0)」の更新
3)「医療機関における院内感染多発事例等発生時の公表対応時に有用な資料」の作成
を目的とする。
研究方法
上記3つの課題を1)村上啓雄、2)八木哲也、3)三鴨廣繁で役割分担した。八木の研究協力者には、これまでの通知文書作成に関わった専門家、医療安全専門家、全国保健所長を加えた。村上、三鴨の研究協力者は、それぞれ国公立大学附属病院感染対策協議会(国公共)と私立医科大学感染対策協議会(私大協)の4職種のメンバーを選抜した。それぞれの研究グループは、基礎となる過去の資料を基に、各グループのメンバーで役割分担し、課題に関するこれまでの経緯を踏まえつつ、最新の内外の情報を調査して、主にメール会議にて議論して今後のたたき台をまとめた。12月に開催された第2回班会議では、それぞれの研究グループが作成したたたき台を提示し、全体で討議を行った。その際に出た意見を基に修正点を追加した。それぞれの成果物の内容は相互に関連しており、齟齬がないように注意した。
結果と考察
1)「医療機関における院内感染対策について」の更新(村上啓雄)
平成26年12月19日に発出された通知「医療機関における院内感染対策について」を基に、院内感染対策に関する国内外の最新の知見および国内外で発生した事例、薬剤耐性菌(AMR)対策アクションプラン等を参考に、地域連携、アウトブレイク対応、環境整備・環境管理、抗菌薬適正使用プログラム:Antimicrobial Stewardship Program(ASP)を中心に修正を加え、とくにASPに関しては、抗菌薬適正使用チーム:antimicrobial Stewardship Team(AST)活動の実践について新規に加えた。
2)「医療機関における院内感染対策マニュアル 作成のための手引き」の更新(八木哲也)
「医療機関における院内感染対策マニュアル作成のための手引き(案)(181226 ver.7.1)」をたたき台として、新たに「抗菌薬適正使用支援(Antimicrobial stewardship)」、「行政及び地域との連携」などの項目を加え、11項目にまとめた。形式は、これまでのガイドライン形式ではなく、院内感染対策マニュアルに盛り込む項目が明示し、記載すべき内容のポイントと参考文献(主に日本語のもの)を提示する形式とした。また、医療機関のレベルにおいて、どの程度の内容をマニュアルに盛り込むべきかの基準となる表のたたき台を別途作成した。
3)「医療機関における院内感染多発事例等発生時の公表対応時に有用な資料」の作成
愛知県院内感染ネットワークで作成した「院内感染発生時の公表指針」を基礎とした。第1回目の班会議では、医療安全の専門家からも意見を聞き、医療安全と感染対策での公表のあり方や考え方の共通点と、相違点について議論した。院内感染多発事例(アウトブレイク)発生時の公表には、
第一に医学的に的確な情報を提供することにより同様のアウトブレイクの防止を図ること、第二に
医療の透明性を高め、社会に対する説明責任を適切に果たすこと、の2つの目的があり、アウトブレイクの公表にあたっては、アウトブレイクの被害者である患者及び家族並びに医療関係者の個人情報の保護に留意する事が重要である。アウトブレイクを疑う基準、介入を実施する基準、保健所への届け出の基準と公表の基準とは各々異なることも踏まえ、公表事例の解析をもとに主な対象病原体検出から外部公表までの流れをまとめた。
来年度は幅広くパブリックコメントを求め、最終更新案を策定する予定である。
結論
近年の多剤耐性菌の世界的蔓延を契機としたAMR対策や抗微生物薬適正使用の推進の動きを踏まえ、また近年の院内感染事例を振り返り、院内感染対策についての最新の内外の知見を集約して「医療機関における院内感染対策について」通知の更新のためのたたき台を作成した。「医療機関における院内感染対策マニュアル作成のための手引き」についても、その今日的意義を再検討し、院内感染対策マニュアルに盛り込むべき項目を明示し、記載すべき内容のポイントを挙げ、さらに参考となる資料(アクセスが可能な主には日本語のもの)を提示するという形式で新たにたたき台を作成した。アウトブレイク発生時の対応については、院内での医療安全部門との調整、院外での保健所等の行政機関との連携も重要で、公表の目的やその際の注意点も踏まえ、新たな資料の骨格となる主な対象病原体検出から外部公表までの流れをまとめた。

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201922056Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,600,000円
(2)補助金確定額
3,600,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 961,798円
人件費・謝金 978,510円
旅費 788,890円
その他 40,802円
間接経費 830,000円
合計 3,600,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2022-05-12
更新日
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