診療ガイドラインにおける医療経済的評価手法に関する研究

文献情報

文献番号
201922051A
報告書区分
総括
研究課題名
診療ガイドラインにおける医療経済的評価手法に関する研究
課題番号
19IA2021
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
池田 俊也(国際医療福祉大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 白岩 健(国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
5,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
診療ガイドライン作成過程において医療経済に関する情報の活用状況と課題について明らかにするため、診療ガイドライン作成者にアンケート調査を行うとともに、諸外国および日本の診療ガイドラインのレビューを行い、医療経済評価(費用対効果分析、費用分析、財政影響分析等)の活用状況に関する情報を収集することを目的とした。
研究方法
 日本医療機能評価機構Mindsのホームページに掲載されている診療ガイドラインのうち、過去10年以内に作成あるいは改定されたものについて、作成にかかわった学会・団体あるいは作成代表者に対してアンケート調査を実施した。また、国内外における本態性高血圧症、糖尿病、喘息の診療ガイドラインを収集し、費用や医療経済評価に関する記述と、費用に言及した「推奨」等の診療ガイドラインへの反映について確認を行った。
結果と考察
 アンケート調査では、「医療財源への影響」や「患者の医療費自己負担」についてガイドライン作成の際にそれぞれ約1/3の回答者が考慮していることが明らかとなった。但し、経済的なエビデンスが不足しており考慮できなかったとの回答も多かった。診療ガイドラインのレビューでは、費用や医療経済評価が診療ガイドラインに反映されていたのは本態性高血圧の診療ガイドライン11件中で3件、糖尿病の診療ガイドラインは16件中8件、喘息の診療ガイドライン6件中で1件であった。
 今後、日本で診療ガイドライン作成の際に医療経済や費用対効果を考慮する場合の対応として、医療者に対する医療経済の必要性に関する啓発や医療経済の分析に関する知識や技術の習得、ガイドライン作成過程における医療経済学者の参画に加え、一般国民に対する啓発、医療経済に関する情報収集とエビデンス創出の必要性等が必要と考えられた。診療ガイドラインのレビューでは糖尿病の薬剤選択において安価な薬剤を選択することについての記述が多かった。
結論
過去10年以内に作成あるいは改定されたガイドラインの作成にかかわった学会・団体あるいは作成代表者に対してアンケート調査を実施したところ、「医療財源への影響」や「患者の医療費自己負担」についてガイドライン作成の際にそれぞれ約1/3が考慮していることが明らかとなった。今後、日本で診療ガイドライン作成の際に医療経済や費用対効果を考慮する場合の対応として、医療者に対する医療経済の必要性に関する啓発や医療経済の分析に関する知識や技術の習得、ガイドライン作成過程における医療経済学者の参画等が必要と考えられた。
 国内外の診療ガイドラインのレビューにおいては、糖尿病の薬剤選択において安価な薬剤を選択することについての記述が多かった。今後、他の疾患の診療ガイドラインの調査も行い、診療ガイドライン策定における経済性の取り扱いについて検討を続ける必要があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201922051Z