次世代バイオ医薬品等の革新的な医薬品創出に向けた環境整備に関する研究

文献情報

文献番号
201922049A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代バイオ医薬品等の革新的な医薬品創出に向けた環境整備に関する研究
課題番号
19IA2019
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
坂巻 弘之(神奈川県立保健福祉大学 大学院ヘルスイノベーション研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
3,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年の医薬品開発は、遺伝子組換え医薬品や、細胞・組織加工製品、遺伝子治療などの再生医療等製品のように多様な治療手段(モダリティ)の開発を目指している。わが国において革新的な医薬品が今後も継続して創生されるためには、モダリティ毎の課題を明らかにし、必要な環境についての検討が重要である。その中で、研究開発から申請、製造に至るまでの多段階にわたる人材不足の問題も指摘されている。そこで、本研究では、バイオ医薬品、再生医療等製品の研究・開発、薬事、製造等に関わる人材ニーズについて明らかにすることを目的とした調査を実施した。一方、バイオシミラー(BS)の発売品目数が増えるなかで、医療費削減や医薬品適正使用のための一手段として、近年「フォーミュラリー」の議論が活発になっている。そこで、2つ目の目的として、病院ならびに地域におけるバイオ医薬品を含むフォーミュラリー作成状況、BSの採用や使用、処方せん発行の状況とともに、BS使用促進に関わる課題を明らかにすることを目的とした調査を実施した。これらの調査と関連して、海外調査ならびにBS用促進ならびにバイオ基盤産業の推進のためのロードマップに関する検討と提言も取りまとめた。
研究方法
人材ニーズに関するアンケート調査については、日本製薬工業協会 バイオ医薬品委員会、日本ジェネリック製薬協会 バイオシミラー委員会、一般社団法人 バイオシミラー協議会、一般社団法人 再生医療イノベーションフォーラムの会員企業あてにメールベースでの調査を実施した。また、フォーミュラリーに関する調査では、地方厚生局の公開情報から抽出した病院を対象に調査を実施した。ほかに、英国Cell and Gene Therapy CatapultおよびアイルランドNational Institute for Bioprocessing Research & Trainingの現地調査を行った。また、バイオシミラーの使用促進ならびにバイオ基盤産業の推進のためのロードマップ」策定のために、現状の課題を整理し、それぞれの背景、状況、課題を分析した。これらの調査結果等をもとに、関係者から構成される研究班会議において議論を行い、わが国におけるバイオ医薬品産業振興について考察した。アンケート調査の入力・集計ならびに公表資料の調査は、業務委託先である(株)矢野経済研究所が実施した。
結果と考察
バイオ医薬品、再生医療等製品の人材ニーズについては、39社、48名から回答が得られた。人材充足状況は、全体的に不足しているとの回答が多く、いずれも、人材育成のニーズが高いと考えられた。ただし、モダリティにより違いがあることがうかがわれた。一方、フォーミュラリーに関する調査では、1,757施設を対象とし434件からの回答を得た。病院におけるBSの採用状況は、85.0%の病院がBSを採用しており、いずれのBSも採用していない病院は15.0%であった。BS採用・供給管理・モニタリングに病院薬剤師の関わりが重要と思われることが示唆された。院内フォーミュラリーは回答病院の21.4%が作成あるいは作成予定と回答し、うち25%はバイオ医薬品のフォーミュラリーを作成していたが、地域フォーミュラリー作成は回答病院のうち2件にとどまっていた。
結論
バイオ医薬品、再生医療等製品を開発している企業における、これら製品の研究・開発、薬事、製造等に関わる人材の充足状況は、全体的に不足しているとの回答が多く、いずれも、人材育成のニーズが高いと考えられた。ただし、モダリティによる違いがあることがうかがわれた。また、わが国でのバイオ医薬品のフォーミュラリー作成はまだ緒についたところであるが、フォーミュラリー作成とともに、BSの採用や管理等において薬剤師の関わりが重要であることが示された。今後、バイオ医薬品、再生医療等製品の人材育成プログラム作成や組織設置などの検討が求められる。また、バイオシミラー使用促進のためにフォーミュラリーのあり方を含む診療報酬その他の制度設計の議論が必要である。

公開日・更新日

公開日
2020-07-06
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-07-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201922049C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究は、医療において役割が増しているバイオ医薬品、再生医療等製品など、新たな治療手段(モダリティ)開発活性化のための課題を明らかにした上で政策的な議論の方向性を示しており、今後、「医薬品産業ビジョン」、「医薬品産業強化戦略」等、医薬品開発振興の議論に活用されることが期待され、医薬品産業政策のための成果が得られた。
臨床的観点からの成果
バイオ医薬品、再生医療等製品については、いまだわが国における開発製品が少ないが、これまで治療手段がなかった難治性疾患や希少疾患に対して高い有効性を示すことが期待されている。新しいモダリティ開発振興は、難治性疾患の根本的治療につながる可能性があり、臨床的な観点からの成果につながる。
ガイドライン等の開発
登録時点ではなし
その他行政的観点からの成果
登録時点ではなし
その他のインパクト
登録時点ではなし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-05-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201922049Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,000,000円
(2)補助金確定額
4,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 45,000円
人件費・謝金 0円
旅費 1,260,687円
その他 2,094,313円
間接経費 600,000円
合計 4,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-05-01
更新日
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