診療ガイドラインにおける画像検査の推奨度の決定基準についての研究

文献情報

文献番号
201922041A
報告書区分
総括
研究課題名
診療ガイドラインにおける画像検査の推奨度の決定基準についての研究
課題番号
H30-医療-指定-024
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
隈丸 加奈子(順天堂大学 医学部 放射線診断学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 片岡 正子(京都大学・医学研究科)
  • 伊良波 裕子(琉球大学医学部附属病院・放射線科)
  • 東 美菜子(宮崎大学・医学部)
  • 藤井 進也(鳥取大学医学部・画像診断治療学分野)
  • 石神 康生(琉球大学医学部附属病院・放射線科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
5,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
画像検査は頻繁に診療ガイドラインに登場するが、推奨の決定方法が確立しているとは言い難く、診療ガイドライン間で画像検査の推奨には乖離が見られる。結果として画像検査に関するガイドラインの現場定着率は低く、本邦の豊富にある画像検査機器は、その利点が十分活かされた使用ができているとは言い難い。

本研究が目指す最終的なゴールは、画像検査が国民の健康に最も寄与するように推奨が付与されたガイドラインが、医療現場に広く定着することである。そのゴールに向かって、まずは既存の診療ガイドラインにおける画像検査の推奨を調査し(1年目)、その結果を踏まえて「診療ガイドラインにてCT・MRI検査等の画像検査の取り扱う際の手引き」を策定する(2年目)ことが目的である。
研究方法
 前年度抽出された下記の12の齟齬要因をもとに、診療ガイドラインにて画像検査を取り扱う際に、画像検査を効果的・効率的かつ安全に実施するために、診療ガイドライン作成者が理解しておくべき事項として反映すべきものを、分担研究者で分担して検討した。
結果と考察
画像検査に関する診療ガイドラインの推奨に関する齟齬要因を分析した結果、下記の12の項目を、今後診療ガイドラインを作成する者に周知すべきであるという結果となった。
【1】CQにて画像検査を取り扱う場合には、ガイドライン作成過程において、放射線診断専門医の関与が望ましい
【2】CQにて画像検査を取り扱う場合には、安全および効果的に画像検査を施行できる設備・体制の必要性について適切に明示する
【3】CQで取り扱う画像検査の種類・撮影プロトコルは、詳細をできる限り明示することが望ましい
【4】CQにて画像検査を取り扱う場合には、比較対照する検査(診療行為)をできるだけ明示することが望ましい
【5】CQにて画像検査を取り扱う場合には、画像検査の対象となる患者の詳細(検査前確率を含め)を明示する ことが望ましい
【6】CQにて画像検査を取り扱う場合には、検査閾値となる検査前確率を適切に吟味した上で、推奨を作成することが望ましい
【7】CQにて画像検査を取り扱う場合には、画像検査の益と害のアウトカムを明示する
【8】画像検査を読影・解釈する医師として、放射線診断専門医試験の合格ラインのレベルを想定した上で推奨を作成する
【9】画像検査の推奨作成にあたって、用いた手法をガイドラインに明示する
【10】CQの選定基準(標準的な診断や、新しくエビデンスの少ないテーマの扱いをどうしたか)を明示する
【11】ガイドライン作成のために検索した文献の出版時期を明示する
【12】推奨を決める際に、考慮したコストの範囲を明示することが望ましい

上記の項目の詳細等について作成した手引きは、「診療ガイドラインの今後の整備の方向性についての研究」代表の中山健夫先生など有識者や、協力学会である日本医学放射線学会の診療ガイドライン委員会にレビュー頂きフィードバックを得た。
結論
 前年度抽出された齟齬要因を基に、診療ガイドラインにて画像検査を取り扱う際に、画像検査を効果的・効率的かつ安全に実施するために、診療ガイドライン作成者が理解しておくべき12の重要事項を、「診療ガイドラインにてCT・MRI検査等の画像検査の取り扱う際の手引き」としてまとめた。MINDSのホームページにて公開する手続きを進めている。

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201922041B
報告書区分
総合
研究課題名
診療ガイドラインにおける画像検査の推奨度の決定基準についての研究
課題番号
H30-医療-指定-024
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
隈丸 加奈子(順天堂大学 医学部 放射線診断学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 片岡 正子(京都大学・医学研究科)
  • 伊良波 裕子(琉球大学医学部附属病院・放射線科)
  • 東 美菜子(宮崎大学・医学部)
  • 藤井 進也(鳥取大学医学部・画像診断治療学分野)
  • 石神 康生(琉球大学医学部附属病院・放射線科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
画像検査は頻繁に診療ガイドラインに登場するが、推奨の決定方法が確立しているとは言い難く、診療ガイドライン間で画像検査の推奨には乖離が見られる。結果として画像検査に関するガイドラインの現場定着率は低く、本邦の豊富にある画像検査機器は、その利点が十分活かされた使用ができているとは言い難い。本研究が目指す最終的なゴールは、画像検査が国民の健康に最も寄与するように推奨が付与されたガイドラインが、医療現場に広く定着することである。そのゴールに向かって、まずは既存の診療ガイドラインにおける画像検査の推奨を調査し(1年目)、その結果を踏まえて「診療ガイドラインにてCT・MRI検査等の画像検査の取り扱う際の手引き」を策定する(2年目)ことが目的である。
研究方法
 平成30年度は、臓器・領域別に下記の6つの研究グループを置き、それぞれの領域における主要な診療ガイドライン中に含まれる画像検査の推奨度を調査した。
 令和元年度は、前年度抽出された齟齬要因をもとに、診療ガイドラインにて画像検査を取り扱う際に、画像検査を効果的・効率的かつ安全に実施するために、診療ガイドライン作成者が理解しておくべき事項として反映すべきものを、分担研究者で分担して検討した。

結果と考察
各領域のガイドラインを分析した結果、主要な齟齬要因として12の項目が抽出された。それらの齟齬要因ごとに、指針の項目として反映すべきものを検討し、下記の12の項目を含む指針「診療ガイドラインにてCT・MRI検査等の画像検査の取り扱う際の手引き」を作成した。手引きは「診療ガイドラインの今後の整備の方向性についての研究」代表の中山健夫先生など有識者や、協力学会である日本医学放射線学会の診療ガイドライン委員会にレビュー頂きフィードバックを得た。MINDSのホームページにて公開する手続きを進めている。
【1】CQにて画像検査を取り扱う場合には、ガイドライン作成過程において、放射線診断専門医の関与が望ましい
【2】CQにて画像検査を取り扱う場合には、安全および効果的に画像検査を施行できる設備・体制の必要性について適切に明示する
【3】CQで取り扱う画像検査の種類・撮影プロトコルは、詳細をできる限り明示することが望ましい
【4】CQにて画像検査を取り扱う場合には、比較対照する検査(診療行為)をできるだけ明示することが望ましい
【5】CQにて画像検査を取り扱う場合には、画像検査の対象となる患者の詳細(検査前確率を含め)を明示する ことが望ましい
【6】CQにて画像検査を取り扱う場合には、検査閾値となる検査前確率を適切に吟味した上で、推奨を作成することが望ましい
【7】CQにて画像検査を取り扱う場合には、画像検査の益と害のアウトカムを明示する
【8】画像検査を読影・解釈する医師として、放射線診断専門医試験の合格ラインのレベルを想定した上で推奨を作成する
【9】画像検査の推奨作成にあたって、用いた手法をガイドラインに明示する
【10】CQの選定基準(標準的な診断や、新しくエビデンスの少ないテーマの扱いをどうしたか)を明示する
【11】ガイドライン作成のために検索した文献の出版時期を明示する
【12】推奨を決める際に、考慮したコストの範囲を明示することが望ましい
結論
1年目に合計69個の診療ガイドラインを分析したところ、合計321のCQのうち、画像検査の推奨度に明らかな齟齬があるものが24個(7.5%)認めれらた。その主要な原因として12個の要因が抽出された。この分析結果をもとに、2年目に「診療ガイドラインにてCT・MRI検査等の画像検査の取り扱う際の手引き」を作成した。

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201922041C

成果

専門的・学術的観点からの成果
画像診断における診療ガイドライン作成の特異性を分析し、診断分野における診療ガイドライン作成方法に関する分析を行った
臨床的観点からの成果
ガイドライン作成委員会が参照すべき指針を作成し、診療ガイドラインの質の改善に寄与した
ガイドライン等の開発
「診療ガイドラインにてCT・MRI検査等の画像検査の取り扱う際の手引き」を作成した。
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
学会のシンポジウムで紹介した

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
5件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
藤井進也
「産婦人科領域の画像検査の推奨度に関する,ガイドライン間の齟齬の研究」
米子医学雑誌  (2020)
原著論文2
隈丸加奈子
各種診療ガイドラインにおける画像検査項目の推奨度の現状と課題
医学のあゆみ  (2019)
原著論文3
隈丸加奈子
画像診断に関するChoosing Wisely・Clinical Decision Support
京都府立医科大学雑誌  (2020)
原著論文4
隈丸加奈子
画像検査の適正使用に関しての潮流
脊椎脊髄ジャーナル  (2018)
原著論文5
隈丸加奈子・青木茂樹
画像検査適正化の現況
画像診断  (2018)
原著論文6
隈丸加奈子
医学のあゆみ:画像検査のChoosing Wisely
医学のあゆみ  (2018)

公開日・更新日

公開日
2023-05-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201922041Z