死因究明等の推進に関する研究

文献情報

文献番号
201922035A
報告書区分
総括
研究課題名
死因究明等の推進に関する研究
課題番号
H30-医療-指定-015
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
今村 聡(公益社団法人 日本医師会)
研究分担者(所属機関)
  • 城守 国斗(公益社団法人 日本医師会)
  • 澤 倫太郎(公益社団法人 日本医師会)
  • 上野 智明(日本医師会ORCA管理機構株式会社)
  • 水谷 渉(公益社団法人 日本医師会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
1,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
社会の高齢化が進展するにつれ、在宅における孤独死等や大規模災害の発生時の検案等、死因を究明することが困難な事例も増加していくものと考えられる。こうした背景のもと政府は「死因究明等推進計画」を策定し(平成26年6月)、今後は死因究明の充実に向けた取り組みを進めることとされている。平成26年度より、本研究班において「死因究明等推進計画」の諸課題について研究に取り組んでおり、平成30年度までに一定の成果を収めた。その中では、将来の死亡診断書(死体検案書)の電子的交付によって市区町村における戸籍事務の効率化や死因究明の精緻化といった包括的な施策の実現の可能性を提示した。そこで令和元年度の研究においては、平成26~30年度の研究成果を踏まえつつ、死亡診断書(死体検案書)を電子的に提出することを想定したうえで、電子的提出によって収集された「死因情報の活用」に視点を置き、死亡診断書(死体検案書)の様式の検討を深め、今後の死因究明体制の充実に向けた行政施策に資する成果を得ることを目的とした。
研究方法
令和元年度の研究では、様式を含めた死亡診断書(死体検案書)の在り方について平成30年度に引き続き検討を重ね、死亡診断書(死体検案書)によって収集された「死因情報の活用」により重点を置き、書式案を精査した。これを受けて、死亡診断書(死体検案書)作成支援ソフトの追加機能についても、死亡診断書(死体検案書)の記載情報を統計情報として活用するうえでデータ上のやり取りを可能とする機能を加えた。死亡時画像診断に特化したe-learningを含めた自己学習用の教材については、平成26~30年度に引き続き、症例の追加等により開発を継続した。また、平成30年度に策定した検案書発行料についての一定の基準についての見直しをした。
結果と考察
 死亡診断書(死体検案書)の様式については、統計上の便宜性から死亡診断書と死体検案書を「死亡証書(仮称)」として一本化する意義について問題提起を行った。また、これまでの研究において検討した書式の内容を整理し、新たにチャイルド・デス・レビュー(CDR)についての所見欄の追加を提案した。死亡診断書(死体検案書)作成支援ソフトにおいても、CDR所見欄の追加に伴いメニューの変更をし、死亡診断書(死体検案書)の記載情報を統計情報として活用するうえでデータ上のやり取りを可能とするCDAデータ形式の作成機能を追加した。e-learningを含めた自己学習用の教材については、平成30年度までと同様、厚生労働省が日本医師会を委託先として実施している小児死亡例に対する死亡時画像診断のモデル事業で収集した症例5例を、e-learningシステムに追加し専用サイトの充実を図った。検案に際して行われる検査の費用や検案書発行料の費用負担のあり方については、最終的に具体的な料金提示をするまでには至らなかったものの、平成30年度研究において提示した、一定の基準を示すたたき台を見直すことによって、今後の具体的な料金設定について国の検討会において提言するための足掛かりとした。このような結果を踏まえ、令和2年度においては、厚生労働省において実施されている他の事業において得られた検証結果等も参照しつつ「死因情報の活用」という視点により重きを置いた研究に取り組み、今後、死因究明等推進本部での会議への提言について検討を行いたい。
 現在は死亡診断書と死体検案書の区別が統計上活用されていないことから、この2つの書類を将来的に「死亡証明書(仮称)」として一本化してはどうかという提案も今後議論が必要であると考えられた。死亡診断書(死体検案書)を実際に医師から行政に対して電子的に提出してみるといった全体像の考察からは、運用面での課題が見受けられるものの、今後、実運用に向けた実証実験を行うことによって解決する必要があると考えらえた。また、検案を担う医師が死亡時画像診断に習熟しやすい環境を整えるためにも、e-learningシステムについては、さらに読影の学習効果が高まる内容へと進化させる仕組みを模索する必要があると思われた。検案書発行料の検討においては、今回提示した一定基準を示すたたき台をもとに、具体的な算定根拠と料金を検討し、国に対して提言することを今後の目標としたい。
結論
今後、死因究明等推進基本法の施行に伴い、死因究明等推進本部の設置及び新たな死因究明等推進計画の検討がなされる見込みであるが、本研究においても、これまでの研究成果を踏まえ、政策立案に資する提言を試みたい。

公開日・更新日

公開日
2020-08-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-08-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201922035Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,500,000円
(2)補助金確定額
1,455,000円
差引額 [(1)-(2)]
45,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 90,000円
旅費 97,100円
その他 1,268,520円
間接経費 0円
合計 1,455,620円

備考

備考
「補助金確定額」と「支出合計」の差異620円は、預金利息9円と自己資金611円を充当した。

公開日・更新日

公開日
2022-05-24
更新日
-