日本の都道府県別の保健システムパフォーマンス評価方法の開発

文献情報

文献番号
201922033A
報告書区分
総括
研究課題名
日本の都道府県別の保健システムパフォーマンス評価方法の開発
課題番号
H30-医療-指定-009
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
渋谷 健司(東京大学大学院医学系研究科 国際保健政策学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 野村 周平(東京大学大学院医学系研究科 国際保健政策学教室)
  • 田中 詩織(東京大学大学院医学系研究科 国際保健政策学教室)
  • Md Mizanur Rahman(エムディー ミジャヌール ラーマン)(東京大学大学院医学系研究科 国際保健政策学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
1,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
保健政策立案や保健介入における優先順位決定のためには、その基礎データとして死亡と障害を含む包括的かつ比較可能な保健アウトカム指標(burden of disease:疾病負荷)が必要である。本研究は、研究代表者らによるこれまでの疾病負荷に関する研究成果を元に、保健アウトカムに疾病負荷を用いた都道府県別の保健システムパフォーマンス評価方法の開発を行う。具体的には、1)我が国の最新の疾病負荷の推定。さらに、2)世界保健機関(WHO) の保健システム評価の枠組みを発展させ、 特に人材・インフラや保健支出評価の枠組みの構築、そしてそれらと健康アウトカムとの関係を包括的に分析する枠組みを確立する。本研究は、我が国の主要な保健医療課題を都道府県レベルで評価し、それらに対応する最善の対策を見つけるための方法論を提示する我が国で初めての試みである。
研究方法
平成31年度では、まず我が国の最新の疾病負荷の推計を行った。また、本研究の研究協力者であり、米国における保健システムパフォーマンス評価の第一人者である米国ワシントン大学のJoseph Dieleman氏、Christopher Murray氏等との研究連携を確認し、高度な分析知識とスキルが求められる本研究の技術的な課題の同定を図った。GBD2017のアップデートである最新の疾病負荷(GBD2019)の暫定的推定を完了し、査読付き国際誌ランセットに受理され、発表待ちの段階である。
結果と考察
国内外のシンポジウムで、成果を発表した。
• 日本の疾病負荷について, シンポジウム招待講演, 野村周平, Asia Forum of National Burden of Disease, 2019/11/28–29, 国外(台湾)

• 疾病負荷と政策活用について, シンポジウム招待講演, 野村周平, 第42回日本がん疫学・分子疫学研究会総会, 2019/10/27, 国内

次年度は、GBD2019の枠組みに基づいた、医療費と保健アウトカムとの関連評価を中心に研究を進める。我が国の医療費評価において重要な情報ソースである医療費レセプト情報では、一枚のレセプトに複数の傷病名が記録される場合があるため、傷病別医療費を集計することは困難である。そこで、主傷病-副傷病ペアの頻度に基づいた傷病別の医療費推計モデルを開発する。

結論
本研究は、世界に先駆けて超高齢社会に突入した我が国の主要な健康課題を都道府県レベルで評価し、それらに対応する最善の対策を見つけるための新たな方法論を提示するものである。国レベルではなく都道府県別の包括的な保健システムパフォーマンス評価方法を開発し、格差是正に向けた健康に関する新たな研究プロジェクト遂行や政策立案、各県民を対象とした詳細な疾病負荷研究などに生かされることが期待される。具体的には、従来国レベルやインプット(例:医療施設数、医療従事者数)という観点で行われていた保健政策の議論を、都道府県レベル及びアウトカム志向(DALYs)で評価し、「保健医療2035」に示された方向性をより具体的に検討することが可能となる。また本研究では、ベイズ統計・メタ回帰分析など、新たな統計手法の活用も行い、今後の当該分野の発展に大きく貢献することが期待される。本研究の成果を国内外に積極的に発信し(MEDITECH FINDER等)、より開かれた透明性の高い保健政策立案に向けたエビデンス形成のための保健システム評価基盤を強化する。

公開日・更新日

公開日
2020-10-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-05-11
更新日
2021-11-09

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201922033Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,000,000円
(2)補助金確定額
2,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 415,919円
人件費・謝金 660,650円
旅費 112,500円
その他 410,931円
間接経費 400,000円
合計 2,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-10-16
更新日
-