医療機器の保守点検指針の作成等に関する研究

文献情報

文献番号
201922031A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機器の保守点検指針の作成等に関する研究
課題番号
H30-医療-指定-007
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
菊地 眞(公益財団法人 医療機器センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
7,296,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は生命維持管理装置等や放射線関連機器等の保守点検・研修指針の作成、高度な画像診断検査装置の精度管理の標準化の検討の2つである。
研究方法
[1] 生命維持管理装置等および放射線関連機器等の研修・保守点検指針の作成 
平成29年度厚生労働行政推進調査事業(地域医療基盤開発推進研究事業)「中小医療機関向け医療機器保守点検のあり方に関する研究」において作成した「CT装置およびMR装置の保守点検指針」の作成方法を踏襲するものとした。具体的な方法については、学会や職能団体などが作成した生命維持管理装置等や放射線関連機器等に関する既存の保守点検ガイドラインや各社製品の取扱説明書等を収集・分析し、保守点検や研修の内容について検討した。作成したガイドライン案について、関係学会などに対してレビューを依頼した。
[2] 高度画像検査機器に対する精度管理の標準化の検討
2018年度に実施した臨床の現場におけるMRI検査の安全管理に関するアンケート結果について、機械学習モデル等を用いて解析を行った。MRI検査に関するヒヤリハットや事故をアウトカムとし、その他のアンケート質問回答(特に安全管理体制の有無など)とアウトカムとの関係性を解析した。調査結果は(一社)日本磁気共鳴医学会の『臨床MRI安全運用のための指針』の設定の基礎資料として用いられるように、調査結果を供出する。さらに、本研究班での保守点検指針を供出し、手本として整合性のある指針となるように協力する。診療報酬での安全管理体制への加算の検討や中核病院の施設条件などの設定に役立つことを期待して、各種の情報提供などの協力を行う。
結果と考察
[1] 生命維持管理等および放射線関連機器等の研修・保守点検指針の作成
平成30年6月12日付医政地発0612第1号・医政経発0612第1号通知では、特定機能病院における定期研修として、とくに安全使用に際して技術の習熟が必要と抽出されている医療機器、特性等に鑑み保守点検が必要な医療機器を抽出した。これらのうち、2019年度は生命維持管理装置等から人工呼吸器および血液透析監視装置、放射線関連機器等から診断用粒子線照射装置の保守点検および研修のガイドラインを作成することとした。ガイドラインの作成については、記載内容の検討に先立ち、取りまとめの方針について議論を行った。また、検討にあたって重要な視点として、医療の安全を確保することは当然のことながら、医療機関の現状を踏まえて過度な負担とならないよう、適切な指針となるように議論を深めることが重要であることを確認した。2019年度は、人工心肺装置について、学会のレビュー後の指針案の再検討を行なった。さらに、人工呼吸器および血液透析監視装置について、ガイドラインに記載すべき内容を検討し、指針案を作成後に学会へレビューを依頼した。
放射線関連機器等の研修および保守点検ガイドラインについても生命維持管理措置等と同様の方向性とした。内容は日常的に、毎日、実施可能な最低限の要求水準を取りまとめる方針とし、施設の状況に応じて放射線治療の質と安全の確保のために必要に応じて学会等のガイドラインを参照することとした。2019年度は、CT装置、MR装置およびリニアック装置について、学会のレビュー後指針案の再検討を行い、リモートアフターローディング装置について、ガイドラインに記載すべき内容を検討し、指針案を作成後に学会へレビューを依頼した。
[2] 高度画像検査機器に対する精度管理の標準化の検討 
平成30年度に実施した臨床の現場におけるMRI検査の安全管理に関するアンケート結果について、すでに発表した通常の集計に加えて、機械学習モデル等を用いて解析を行なった。MRI検査に関する事故をアウトカムとし、その他のアンケート質問回答(特に安全管理体制の有無など)とアウトカムとの関係性を解析したところ、Light Gradient Boosting on ElasticNet Predictionsによる機械学習アルゴリズムにて最も精度の良いモデル化ができた(交差検定:AUC>0.7)。この解析結果を関連学会と検討し、(一社)日本磁気共鳴医学会では『臨床MRI安全運用のための指針』を設定した。また、MRIの安全管理体制のモデルとなるよう診療報酬の管理加算2、3等では施設要件に上記『臨床MRI安全運用のための指針』に基づく運用が2020年4月の診療報酬改定で求められることになった。
結論
生命維持管理装置等や放射線関連装置等の研修・保守点検指針のうち、人工心肺装置、CT装置、CT装置およびリニアック装置について指針案を作成した。また、高度な画像診断検査装置の精度管理の標準化の検討に向け、MRI装置の安全な運用に関する調査研究を実施した。

公開日・更新日

公開日
2020-07-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-07-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201922031Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,484,000円
(2)補助金確定額
9,484,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 343,266円
人件費・謝金 3,088,325円
旅費 705,718円
その他 3,162,960円
間接経費 2,188,000円
合計 9,488,269円

備考

備考
4269円の差異は自己資金によるもの

公開日・更新日

公開日
2020-07-25
更新日
-