障害者等への歯科保健医療サービスの提供状況の把握及びその提供体制構築のための調査研究

文献情報

文献番号
201922025A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者等への歯科保健医療サービスの提供状況の把握及びその提供体制構築のための調査研究
課題番号
19IA1011
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
弘中 祥司(昭和大学 歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 野本 たかと(日本大学 松戸歯学部障害者歯科学講座)
  • 猪狩 和子(東北大学病院 障害者歯科治療部)
  • 柿木 保明(九州歯科大学 老年障害者歯科学分野)
  • 小松 知子(神奈川歯科大学 大学院歯学研究科全身管理医歯学講座)
  • 楠本 康香(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 船津 敬弘(昭和大学 歯学部小児成育歯科学講座)
  • 内海 明美(昭和大学 歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
1,350,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯科口腔保健の推進に関する法律では、国民における歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持を図ることが明記されている。特に、同法第九条で示すように、国及び地方公共団体は、障害者、介護を必要とする高齢者その他の者であって定期的に歯科検診を受けること等又は歯科医療を受けることが困難なものが、定期的に歯科検診を受けること等又は歯科医療を受けることができるようにするため、必要な施策を講ずるものとする。とあり、障害者等に対する歯科保健医療サービスの提供体制の整備・拡充は、重要な保健課題である。しかし、2018年9月に厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会で取りまとめられた中間評価報告書によると障害者施設等における定期的な歯科検診実施率は62.9%と低く、2022年に予定されている最終評価時における目標の 90%まで現時点では大きな乖離がある。一方で、地域によっては歯科検診(健診)の意識の高まりから受益者負担で歯科検診を行うケースも増加しており、医療関係者主導型から患者や施設主導型に変化している例も散見する。その受益者からの視点において歯科保健医療サービスの提供状況については全国的調査が不足しており、実態が必ずしも十分に明らかになっていると言えない。
そこで、本研究では、2012年から2019年までのこの7年間の推移を踏まえた障害児・者入所施設での定期的な歯科健診等の歯科保健医療サービスの提供状況についてアンケート調査を行うと共に(2019年)地域口腔保健センターならびに口腔保健支援センターの障害者施策について全国的な調査を行い報告する。また、(一社)日本障害者歯科学会の協力のもと、得られた調査結果について、9つの地域関連団体(地方会)での地域特性を詳細に分析し報告する(2020年実施予定)。
研究方法
(1)独立行政法人福祉医療機構(WAM)に登録されているWAMNETから全国2917か所の障害児・者入所施設を無作為に抽出し、自記式質問紙調査を行なった。当該年度では過去の厚労科研での障害者等への歯科保健医療サービスの提供状況に関する調査での調査内容を踏襲しつつ、2012年から2019年までのこの7年間の推移を踏まえ、全国2917か所の障害児・者入所施設を対象に、郵便留め置き法にて自記式質問紙調査を行なった。調査項目については、「入所者が、歯科健診を受ける機会がある」「歯科専門職による歯科保健指導を受ける機会がある」「入所者への歯科健診・歯科保健指導以外の歯科疾患の予防活動」「施設での摂食機能訓練の実施」等を継続調査するとともに、「歯科口腔保健の推進に関する法律」(通称:歯科口腔保健法)の中に、「障害者が定期的に歯科検診または歯科治療を受けることができるようにする」とした内容が記載されていることをご存知ですか?という設問を新たに追加項目として設定した。
(2)全国約280か所の地域口腔保健センター及び口腔保健支援センターへのアンケート調査準備
地域口腔保健センターの行う障害者活動に(1)で挙げた施設調査の調査内容に補完する項目を入れたアンケート調査を行うための項目の立案を行なった。調査項目は「施設に出向いて検診(健診)している」「施設から検診を依頼されている」に加え、口腔保健支援センターには、地域に対して「情報提供されているか」「研修の実施はあるか」等の実態について新規に調査を行う立案をした。
結果と考察
(1)アンケート送付件数は2917件であり、回答総数は1327件であった(回収率45.5%)。地域別回答数(図1)では、関東が230件で最も多く、次いで九州・沖縄の212件であった。回答のあったアンケートのうち、同意の記載があるものは992件で、有効回答率は34.0%であった。同意しないものは16件で、施設名の記載の無いものは19件あった。同意の確認が得られていない回答が多いため、次年度に確認作業を行う予定である。
(2)日歯総研が行った、口腔(歯科)保健センター等業務内容調査の送付先が全国約280か所設定されており、直近の施設を確認する作業を(一社)日本障害者歯科学会に依頼を行った。また、地域の口腔保健支援センターはインターネット上で検索可能な約50施設を抽出している。
結論
アンケートの時期的な点と一部に新型コロナウイルスの影響により、回収率が45.5%と低値になったが、これからの解析により、全国で特徴的な障害者に対する歯科健康診断等歯科保健医療サービスの提供状況について実態を明らかにするとともに、歯・口腔の健康状態や歯科保健医療サービスの提供状況の効果的な把握方法についても課題を抽出し、課題解決のために必要な取組についても検討したい。

公開日・更新日

公開日
2020-12-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-12-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201922025Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,500,000円
(2)補助金確定額
1,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 177,628円
人件費・謝金 344,968円
旅費 174,220円
その他 653,184円
間接経費 150,000円
合計 1,500,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-12-25
更新日
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