歯科医療従事者の働き方と今後の需給等に関する調査研究

文献情報

文献番号
201922024A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科医療従事者の働き方と今後の需給等に関する調査研究
課題番号
19IA1010
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 宏子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 大島 克郎(日本歯科大学東京短期大学 歯科技工学科)
  • 田野 ルミ(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 則武 加奈子(東京医科歯科大学歯学部附属病院 歯科総合診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
1,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究事業の目的は、若年層の歯科医療従事者の就業意向や動向の可視化を図り、歯科衛生士と歯科技工士の今後の早期離職防止策の方向性を検討することである。当該年度は3つの分担研究を実施し、歯科衛生士調査では主として20歳代の就業意識を把握する全国調査を行うとともに、厚生労働省事業として開設された歯科衛生士総合研修センターの修了生に対する就業意識についても把握した。一方、歯科技工士については、性別・年代別の免許登録者数や就業者数の二次データを取得し、これまで十分な報告がなされてこなかった「年代・性別ごとの就業者率」を明らかにした。
研究方法
歯科衛生士養成校の最終学年在籍者に対するキャリア意向に関する調査については、全国歯科衛生士教育協議会の協力を得て、6,264名から回答を得た。また、歯科衛生士総合研修センター在籍者に対する調査については、東京医科歯科大学に設置されたセンターで提供されているプログラム修了生91名を対象とし、67名から回答を得た。一方、歯科技工士の就業状況については、2次データを用いた就業分析を行った。用いた2次データは、厚生労働省歯科保健課から提供された2018年における免許登録者の詳細データと、衛生行政報告例での就業者数等のデータを併せて分析し、年代別・性別ごとの就業者率を求めた。
結果と考察
歯科衛生士養成校卒業直前の学生6,264名において、93.1%の者が歯科衛生士としての就業を希望していたが、最初の勤務先での希望就業期間としては5年未満と回答した者が64.3%を占めた。その一方で、10年後も歯科衛生士として活動したいと回答した者が80.2%であった。歯科衛生士総合研修センター修了者への調査では、80.9%が研修を受講して「とても良かった」あるいは「良かった」と回答した。研修を受講して感じられたこととして、「新しい知識・技術が身についた」、「相談できる環境・仲間ができた」、「自信がついた」を挙げる者が多かった。
歯科技工士の就業状況分析の結果、20歳代の就業者率は47.9%,30歳代29.0%,40歳代28.2%であった.また、今後の歯科技工士の供給量の推計を行う基盤的データを求めるために、2019~2028年の間に新たに必要な就業歯科技工士数を約5,400人と仮定した場合での2021~2028年の間に必要な1年あたりの新規資格取得者数を推計したところ、20歳代の就業者率が現状の47.9%で推移する場合は1,203人であった。
結論
20歳代の歯科衛生士における離職傾向は、今後も続くと考えられた。その一方で、10年後も歯科衛生士として勤務を希望する者は高率であったため、20歳代からの再就職支援を拡充する必要性が示唆された。歯科衛生士総合研修センター修了者への調査においても示された「歯科衛生士の仕事に対する魅力」をどのように維持していくかが課題であると考えられた。歯科技工士については、免許登録者の詳細データを得ることにより、これまで不明だった年代・性別の就業者率を明らかにすることができた。20歳代後半で、既に未就業者が半数以上に達し、早期離職対策は喫緊の課題であることが示された。

公開日・更新日

公開日
2020-08-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-08-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201922024Z