文献情報
文献番号
201922017A
報告書区分
総括
研究課題名
医療事故の再発防止策の効果的な作成および実践されるための促進要因・阻害要因の研究
課題番号
19IA1002
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学 医学部 医学科 社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
- 飯田 修平(公益社団法人全日本病院協会)
- 永井 庸次(公益社団法人全日本病院協会)
- 平尾 智広(香川大学 医学部)
- 藤田 茂(東邦大学 医学部)
- 小谷野 圭子(公益財団法人東京都医療保健協会(医療の質向上研究所) 研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療事故の事例等を収集し、それに基づき再発防止のための提言を行うことは世界的にも広く行われている。本研究は、医療安全に関する提言の作成プロセス、提言を受けた病院での利用状況と利用に関連する因子、医療機器・医薬品の業界団体およびメーカーでの提言作成・利用状況を体系的に明らかにすることを目的とした。
研究方法
本研究では、(1)提言作成を行っている主要な組織に対する半構造化インタビュー調査、(2)医療機器メーカーの業界団体および個別企業に対する半構造化インタビュー調査、(3)病院を対象にしたアンケート調査、(4)現職の医療安全管理者に対するアンケート調査を行った。
結果と考察
日本医療機能評価機構は、医療事故とヒヤリハットに関する大規模なデータベースを有し、豊富なデータに基づいて毎月1回提言(医療安全情報)を作成していた。医療安全情報は、情報提供を希望する約6000の医療機関に対しFaxで送信されていた。年1回は療養上の世話に関する医療安全情報を発行し、急性期病院以外でも利用できる情報を提供することで、提言を広く活用してもらえるように工夫していた。医薬品医療機器総合機構は、新しい提言(PMDA医療安全情報)を作成すると、無料のメール配信サービス(メディナビ)を通じ、当該サービスに登録している約17万件のアドレスへ情報発信しており、費用対効果の高い周知方法であると考えられた。日本医療安全調査機構は、提言(医療事故の再発防止に向けた提言)を作成すると、約45万部印刷し、約27万箇所に郵送していた。提言の内容は分量が多いものの、概要版のPowerPointや動画、漫画など、さまざまな媒体を作成し、医療機関が利用しやすいように配慮していた。
病床規模で層別化し無作為に抽出した病院を対象に郵送法によるアンケート調査を行った。回収率は20%(656/3,216)であった。日本医療機能評価機構の医療安全情報、PMDA医療安全情報、医療事故の再発防止に向けた提言の3つは、いずれも8~9割の病院で利用されており、職員への注意喚起や自院の状況の確認などに役に立ったと回答する割合が高かった。提言を活用するうえでの阻害要因として、医師、看護師以外の職種が利用できる内容が少ないことを挙げる者が多かった。院内での利用促進ツールとしてコメディカルの職種別の特集や、提言の内容を解説した動画、概要をまとめたPowerPoint等を求める者が多かった。
病床規模で層別化し無作為に抽出した病院を対象に郵送法によるアンケート調査を行った。回収率は20%(656/3,216)であった。日本医療機能評価機構の医療安全情報、PMDA医療安全情報、医療事故の再発防止に向けた提言の3つは、いずれも8~9割の病院で利用されており、職員への注意喚起や自院の状況の確認などに役に立ったと回答する割合が高かった。提言を活用するうえでの阻害要因として、医師、看護師以外の職種が利用できる内容が少ないことを挙げる者が多かった。院内での利用促進ツールとしてコメディカルの職種別の特集や、提言の内容を解説した動画、概要をまとめたPowerPoint等を求める者が多かった。
結論
病院における各種提言の活用促進には、各提言作成組織のこれまでの取り組みに加え、登録者(個人)へのメール配信、動画・PowerPointの提供など、病院および個人の扱う情報の電子化の進展に合わせ、利用しやすい形態での提供が望まれると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2020-07-17
更新日
-